メンズが腕時計を選ぶなら、機能かルックスかブランド力か。知っておきたい5つの基準
腕時計は実用品であると同時に、着用者の人物像やセンスを反映する装飾品。ここでは機能と見た目、そしてブランドなど、さまざまな面から腕時計の選び方を解説します。メンズが腕時計を選ぶとき、何をポイントとして考えるべきか
新生活の始まりか、仕事の節目か、あるいはまとまったお金が手に入ったときなのか。人生において何度か訪れる“ちょっと良い時計”を検討する時間というのは、モノにこだわる男性にとって何事にも代えがたい至福のときでしょう。しかし、本当に必要な1本に出会うというのは至難の業。ブランドだけに惹かれて買ったものの、どこにも着けて行けず観賞用に……ではあまりにも悲惨です。
腕時計を選ぶ際にまず考えるべきなのは、調速方式と駆動方式による時計の「種類」です。これはクルマ選びでいうと、ガソリン、ディーゼル、電動などの駆動方式に当たるもの。その種類によって、腕時計の性格はガラリと変わります。また、自分の仕事や趣味において、あると便利な腕時計の「機能」も選びの鍵として重要でしょう。もちろん、「デザイン」も重要です。極端ですが、男性が自分を主張できる小物は腕時計と靴のみ、といわれるほどに腕時計はとにかく人から見られるアイテム。ケースやストラップに気を配り、TPOにふさわしい腕時計を選べればグッと第一印象での信頼感が増すはずです。そしてそれらをすべて踏まえたうえで、自分の年齢や立場に合った確かな「ブランド」の1本を選び取れば、時計選びは必ずや成功へと繋がるはずです。当記事では、主な種類・機能・デザインごとにメンズの時計選びのポイントを解説しつつ、最後に世代別におすすめしたいブランドのアイテムを紹介します。自身のライフスタイルを顧みつつ、最適な1本を導き出しましょう。
基準1:メンズのロマンか利便性か。ムーブメントの長所・短所から腕時計を選ぶ
まずは、腕時計の調速駆動方式について読み解いていきましょう。大きく分けて2つあり、1つ目は電池の力で動き、電気を通すと決まった数の振動を起こす水晶を用いた正確なクォーツ式。後ほど紹介しますが、このクォーツ式には時間情報を乗せている標準電波や、GPS信号を使って常に正しい時刻を表示する進化版も登場しています。そしてもう1つは、巻き上げたゼンマイがほどける力を利用して時計を動かす機械式です。例外はありますが、この機械式はヒゲゼンマイという振り子のような動きをするパーツが規則正しく動くことで時を刻んでいます。クォーツ式が電子製品なのに対し、機械式は電気の力を使わない昔ながらのアナログな仕組みを採用しているのです。
ムーブメント1
とにかく安価で時間も正確。実用性第一で選ぶなら断然、クォーツ
我々が目にする、世の中のほとんどの腕時計はクォーツ式です。大量生産ができる電子製品なので安価に製造できますし、精度は抜群。もちろん価格により性能はピンキリですが、信用できるブランドの商品なら1番廉価なアイテムでも1か月に15秒から30秒しか狂いません。手間なのは電池交換のみでほぼメンテナンスフリーなのも魅力です。ただ、電子部品を使用しているためメーカーが生産を終えたらそこでおしまい。どんなにお気に入りでも、基本的に修理はできません。いわゆる、孫の代まで受け継ぐというような一生モノではなく、資産価値はそれほど高くありません。とはいえ値段と使い勝手のメリットは非常に大きく、最初の1本としてもクォーツ式はおすすめです。
ムーブメント2
日々共に時を刻む喜び。腕の動きを動力とする自動巻き式ムーブメント
『ロレックス』をはじめとする高級ブランドがこぞって採用するのが自動巻き上げの機械式です。裏蓋が透明なガラスになっているモデルが多く、伝統的な機構がチクタクと動いている様子を眺める喜びは機械式ならではのものでしょう。また、自動巻きなら毎日身に着けていればいちいちゼンマイを巻き上げる必要もありません。動力がアナログゆえ、メンテナンスさえ欠かさなければ孫の代まで使えるのも魅力です。その分、メンテナンスには少々のコストを覚悟しなければなりません。3~5年に一度はオーバーホールという分解掃除が必要になり、これが数万円の出費に。また、精度面ではクォーツに軍配が上がります。クォーツは1か月に15秒~30秒ほどのズレは発生しますが、機械式は1日で同程度狂うことが普通です。
ムーブメント3
毎朝ゆっくり巻き上げる、かけがえのない時間を提供してくれる手巻き式
機械式時計の中でも、手巻きはもっともオーセンティックな機構。腕の動きをゼンマイに伝えるパーツがないので、自らの手でほどけきる前に巻き上げる必要があります。しかし、20世紀中頃に自動巻きが普及するまで百年単位で継承されてきたその手間こそが、手巻きの魅力。伝統を手にするという嗜好品としての楽しみが1番あるのはやはりこの手巻きでしょう。また、自動巻き機構がないためエレガントな薄型モデルを作ることも可能になり、パーツ数の少なさからオーバーホール代も安く済むことがあります。デメリットとしては、前述の通り手巻きが必要なことに加え、自動巻きと同じく精度はクォーツ式に及ばない点。そのため、手巻きは余裕のあるときに着けるセカンド、サードウォッチとして買い求める人が多いのです。
ムーブメント4
時刻の精密さにおいて比肩なし。電波・GPS時計はビジネスマンの強い味方
最後はクォーツ式に戻って、最近一般的になってきた電波・GPS時計を紹介しましょう。電波時計とは、各国機関が発している時刻情報を乗せた標準電波をキャッチし、自動的に時刻を修正してくれる機能を搭載した時計です。GPS受信時計も同じように、人工衛星からのGPS信号を捉えることで常に正確な時刻を表示します。どちらも同じように聞こえますが、標準電波が届かない地域では普通のクォーツ時計になる電波時計に対し、GPS受信時計は世界のどこにいても信号を捉えることが可能となっています。少し前まで電波受信機能を備えたモデルは外装が厚くなったり、電池の消耗が激しかったりといったデメリットがありましたが、現在では技術革新により実用的にまったく問題にならないレベルまで進化しています。
基準2:ライフスタイルにマッチする、便利な機能から腕時計を選ぶ
自分のライフスタイルを振り返り、搭載されている機能を見極めることは非常に重要です。なにしろ腕時計は毎日着けるモノ。その分、必要な機能が1つないだけでストレスに感じることもあるでしょう。逆にオーバースペックなモデルを選ぶと、当たり前ですが購入価格やメンテナンス代が高くつきます。真に必要な1本を見つけるためにも、腕時計の主な機能とその特徴を解説していきましょう。
機能1
数値の高さが安心の証し。海に潜らずとも、防水性能には気を配りたい
水は腕時計の大敵。そのため、ある程度の防水性能は必要です。手を洗うときに数滴時計に水が跳ねる程度なら、日常生活防水といわれる3~5気圧あれば十分でしょう。しかし、急に雨に降られることなどを考慮すれば100m防水(10気圧)あると安心です。海に潜りたいのなら、JIS規格で潜水時計としてみなされる200m防水(20気圧)を備えた本格的なモデルを検討すべきです。最後に気をつけたいのがシャワーです。防水スペックはあくまで該当の気圧やメートルに耐えられる数値であり、シャワーによる水圧は考慮されていません。そのため、パッキン(内部のゴムパーツ)が弱っているといとも簡単に浸水することがあります。入浴時は外すこと、また定期的なメンテナンスを欠かさないことが大切です。
機能2
現代ではもはや必須か。電子機器からの影響を軽減する耐磁性能
意外と知られていないのが磁気の影響です。腕時計の部品は大半が金属でできています。スピーカーやPCなど、磁気を発する機器に腕時計を近づけると帯磁してしまい、稼働に影響が出てしまうのです。特に機械式時計は精度に狂いが出やすく、ひとたび帯磁してしまったら磁気抜き機で脱磁する必要があります。そのため最近では、磁気を通さない部品でムーブメントを覆ったり、磁気の影響を受けない素材でパーツを作ったりと、磁気対策の施されたモデルが多く発売されています。磁気を出す機器に囲まれた仕事をしている人は、そのような耐磁モデルを買うべきでしょう。
機能3
ビジネスマンにはかなり重宝。デイト・デイデイト表示でカレンダーいらず
スケジュールにシビアな環境にいるなら、カレンダー表示機能が付いたモデルを選ぶと良いでしょう。日付のみの表示機能を備えたデイトのものは多く存在しますが、曜日表示機能もあるデイデイトを選べばさらに便利です。数字や曜日を画像のようにデジタル表示するモデルが一般的ですが、サブダイヤルを持ち、針で日付と曜日を指し示す『オリス』のポインターデイトのようなモデルも存在します。こちらはルックス的にアクセント効果も抜群です。
機能4
身近な複雑機構。メカメカしさが男心に響くクロノグラフ
クロノグラフ、とはストップウォッチ機能のこと。デジタル時計ならばいざしらず、アナログ時計のクロノグラフ機能でコンマ単位の時間計測をする機会は現代ではほぼないといっても良いでしょう。とはいえ、パーキングメーター利用時や料理中など、ちょっとした時間計測ならばスマホを使うより腕時計上で計測したほうが断然便利です。それに、アナログ式のクロノグラフといえばパーツも多く複雑な仕組みを持つため、通常の3針時計より高級機という立ち位置になります。そんな機構を腕に着けるという満足感は、別格。また、計時用のサブダイヤルと針が所狭しと並ぶさまは、スポーティさを演出するのにうってつけです。機能は使わなくとも、そのルックスに価値を見出している人は数多くいます。
機能5
電池交換の手間も削減。ソーラー発電はコスパ面も優秀
光をパネルに集め、バッテリーを充電できる腕時計も増えています。一般的に「ソーラー充電」という言葉で広まっていることから強い太陽光でなければ充電できないイメージがありますが、最近の発電パネルは技術革新が続いており、室内光でも十分充電が可能です。もちろん電池交換はまったく必要なし。時計を10年使うと考えると、その間に4回から5回は電池を変えるでしょうから、単純計算で4,000円以上はお得になる計算です。また、電池交換に行く手間もなくなることを考えれば、光充電は極めてメリットが高いといえます。日々忙しく駆け回るビジネスマンには、うってつけの機能でしょう。
機能6
ジェットセッターなら一度は触れてほしい、デュアルタイムの便利さ
出張や旅行で海外へよく行く人は、デュアルタイム機能を持った腕時計が便利です。デュアルタイムとは、2か国の時刻を1つの文字盤上で表示できる機能のこと。つまり日本時間のほかに、渡航先の時間を同時に表示することができるのです。アナログ時計でもっとも一般的なのは、センターに時針を2本設置し、2か国分のタイムゾーンを表示するタイプ。また、メインのダイヤルのほかにサブダイヤルを配置し、そこで第2時間帯を表示する写真のようなモデルもあります。
基準3:与える印象も千差万別。腕時計のケース形状で選ぶ
次は印象に大きな影響を与えるケース形状を紹介していきます。基本となるのは丸型。現在もっとも普及しており、安定感は抜群、悪く言えば無難といえます。直線を使う角型は、丸型よりもシャープで知的な印象。角型にはさまざまなバリエーションがあるので、細かく好みを反映できます。より個性を求めたいなら、ブランドの独自性を極めた変形を選ぶと良いでしょう。
ケース形状1
基本中の基本。ラウンドタイプの腕時計なら、まずハズさない
ラウンドタイプは、現在の腕時計ではもっとも多く見られるなケース形状です。時計の針は円を描くものなので文字盤を効率的に使えますし、内蔵するムーブメントも円型が基本になっているので、生産数の少ない角型ムーブよりコストを抑えることができます。そしてなにより、スタンダードなフォルムだけに安心感、安定感を得られます。特に信頼を大切にするビジネスシーンでは、奇をてらわない丸型が間違いのない選択といえるでしょう。まずはラウンド型を選んだ後、TPOに合わせて他のフォルムを2本目・3本目として加えていくのがおすすめです。
ケース形状2
知的な空気を漂わせる長方形型、レクタンギュラータイプ
レクタンギュラーケースとは、長方形ケースのこと。1920年代から続く、当時流行した芸術様式であるアールデコのスタイルを色濃く残す歴史あるフォルムです。現代では丸型のケースが世を席巻していますが、当時レクタンギュラーは非常にメジャーな形状でした。そのクラシカルで繊細なケースフォルムは、大人っぽく知的な印象を与えます。特に有名なのは『ジャガー・ルクルト』の「レベルソ」シリーズや『カルティエ』の「タンク」シリーズでしょう。
ケース形状3
レトロなムード満点。エレガントな腕元を作り出すトノー(樽)タイプ
レクタンギュラーと同じく、アールデコの影響を強く受けたエレガントなケースがトノー型。トノーとはフランス語で樽の意味で、トノー型とは文字通り丸みを帯びた樽型時計のことを指します。ケース側面に曲線があるため、柔和でエレガントなテイストを醸し出すことができます。レクタンギュラーと並んで歴史あるケースフォルムですが、現在トノー型の時計といえば何をおいても『フランク ミュラー』が有名です。また、なかなか手にすることはできませんが、新興超高級ブランド『リシャール・ミル』もトノー型にこだわるブランドとして知られています。
ケース形状4
程良い主張と品の良さを併せ持つ、スクエアタイプの腕時計という選択
スクエアは正方形のケースのこと。腕時計の歴史では由緒正しいフォルムで、1904年に登場したメンズ腕時計の元祖とされる『カルティエ』の「サントス」は、このスクエア型を採用しています。「サントス」のほか、『タグ・ホイヤー』の「モナコ」や『ベル&ロス』の「BR-03」など、腕時計の歴史を飾るアイコニックなデザインのウォッチによく採用されています。
ケース形状5
トライアングルに“H“型……、ブランドの個性がほとばしる変形タイプ
強い個性がほしければ、丸型、角型以外の選択肢もあります。例えば、『ハミルトン』の「ベンチュラ」。三角形の未来的なフォルムは腕元のアイキャッチとして効果的で、腕時計初心者からも玄人からも等しく注目を浴びる存在として有効です。他に『オーデマ・ピゲ』のオーバルケース「ミレネリー」、まるでクラッシュしたようなユニークな形状の『カルティエ』「タンク フォル」など奇抜なモデルも多数存在します。
基準4:腕時計の見た目を左右する、ストラップの種類で腕時計を選ぶ
ケースとともに時計の印象を大きく左右するのがストラップです。同じケースでも、ストラップの素材や形状によって、ドレス寄り、カジュアル寄りをコントロールすることが可能。腕時計の調味料ともいえる、主なストラップの特徴を見ていきましょう。
ストラップ1
フォーマルな場では革が正解。レザーストラップはマストハブ
冠婚葬祭などフォーマルの場では、金属ストラップではなくブラックのレザーストラップが基本です。ブラウンになるとややカジュアル寄りになり、シボやアリゲーターなどの模様が付くレザーになるとラグジュアリーな雰囲気になります。そのため、レザーストラップはTPOを想定して色や素材でバリエーションを揃えておくと便利です。ただし、レザーは消耗品。夏場は腕から出る汗でかなり傷むため、使い終わった後のケアは欠かせませんし、雨にも注意が必要です。基本は2年で交換、と覚えておきましょう。
ストラップ2
スポーティで重厚な印象を作り出すメタルブレス
メタルブレスのもっともオーソドックスな形状は、シルバーステンレススチールの3連ブレスレットでしょう。メタルのタフな質感がもっとも効果的に表現される形状で、スポーティな雰囲気を醸し出すことができます。端正で若々しい印象なので若い人でも使いこなせますし、年を重ねた大人でもエネルギッシュさを演出するのに役立ちます。このように3連ブレスレットは、着ける人を選ばないのもメリット。レザーのような劣化もないのでコスパも良く、汎用性の高い最初の1本として間違いありません。
一般的にブレスレットが細かくなればなるほど華奢になるため、繊細でエレガントな印象へと変わっていきます。例えば『ロレックス』ならば、3連ブレスレットはスポーツモデルに装着されることが多く、ジュビリーブレスレットと呼ばれる5連ブレスレットは、もっともドレッシーな「デイデイト」や貴金属モデルを中心に装着されています。『グランドセイコー』でも、5連ブレスが採用されているのは渋みのほとばしる手巻きライン。このような理由から若者にはハードルが高いと思われがちですが、コマが細かく分割されているため腕馴染みの良さは極上なんです。この着け心地のためにチョイスする人もいます。
ストラップ3
メタルながらも華奢で繊細。調節も楽々行えるメッシュブレスタイプ
素材密度がないため高級感では上記に及びませんが、メッシュやミラネーゼはカジュアルウォッチにぴったりの繊細さを備えたストラップ。控えめな存在感は、シンプルな文字盤のモデルによくマッチします。『スカーゲン』や『ベーリング』をはじめとする北欧デザインウォッチによく使われており、ユニセックスな雰囲気を醸し出せるのも特徴です。また、3連や5連のメタルブレスと比べると無段階に湾曲すると言っても良いため、腕馴染みに優れているのもメリットです。
ストラップ4
ナイロンにコットン。カジュアルなシーンならテキスタイルタイプがおすすめ
ナイロンをはじめとするテキスタイルストラップは、もともとはミリタリー用途で使われていたモノ。軍の配給品はできるだけ安くというのが鉄則であったため、当時『ハミルトン』や『ブローバ』が手掛けていた軍用時計もテキスタイルストラップを装着していました。最大の魅力は、ローコストゆえの気軽さ。色柄も豊富に展開されているため、何本が揃えてカスタムする楽しみも生まれます。しかし、メリットはそれだけではありません。とにかく軽量、そしてレザーよりタフで水にも強いなど日常での使い勝手に優れているのです。また、紹介した中ではカジュアルファッションとの相性が抜群に良く、高級時計にミリタリーストラップの王道であるNATOストラップを着けるというカスタムは定番となっています。
基準5:年齢に見合ったブランドを。20代・30代・40代におすすめしたい腕時計を厳選
着ける人のパーソナリティを雄弁に物語る腕時計。年輪を重ねれば価値観や立場が変化するため、世代によって嗜好や着けるべき腕時計が変わってくるのは当然のこと。ここでは、handbagが考えるおすすめブランドの腕時計を世代別にご紹介します。
▼20代:求められるのは誠実さと堅実さ。知名度のある腕時計ブランドなら、話も弾む
20代といえば、社会人としての第一歩を踏み出し経済的に自立する世代です。もちろん1万~2万円台のカジュアル時計も良いですが、どこへ着けていっても恥ずかしくない腕時計を1本は手に入れておくべきでしょう。ここでは、少し背伸びをして20万未満の逸品をご紹介します。20万もあれば、スイスの名門ブランドも狙えるからです。チョイスのポイントは若々しさを失わないこと。そのため、ケース&ブレスレットの素材はスポーティでフレッシュさを感じさせるシルバーステンレス、もしくは若々しさという面ではスタイリッシュなマットブラックステンレスが最適でしょう。また、バウハウス由来のウォッチなど、デザインコンシャスなモデルは若者にこそ似合うという点からぜひ押さえておきたいモデルです。
1本目
『タグ・ホイヤー』カレラ キャリバー5 デイデイト
『ロレックス』『オメガ』と並ぶ、スイスの三大メジャーウォッチブランドの一角が『タグ・ホイヤー』です。シンプルな3針「カレラ」なら、20万円以下で手に入ります。シースルーの裏蓋からは、電池ではなく、ゼンマイと歯車の力で動いている様子がはっきりと見られ、良いモノを手にしたという喜びで満たしてくれます。この「カレラ キャリバー5」は、インデックスが直線的かつ立体的、また3連のブレスレットもシャープで、アクティブな若者にぴったりなモデルです。
2本目
『セイコー』ブライツ
国産の雄『セイコー』からは、ソーラー電波ウォッチを紹介します。バッテリーで動くクォーツ式ですが、こちらは公共機関が発信している現在時刻の情報を乗せた標準電波をキャッチし、自動で正しい時刻に修正してくれる電波時計。つまり、絶えず正しい時刻を表示してくれるということでえす。さらにソーラー駆動なので、電池交換なしでOK。いつの間にか止まっていたという心配もありません。とにかく社会人は時間厳守が命。常に正しい時刻を把握しておくことは大切です。また、この「ブライツ」は全身マットブラックのため、ビジネスウォッチにありがちな“オジサンっぽさ”が皆無なのも、20代にぴったりな理由です。
3本目
『ユンハンス』マックス・ビル
ドイツに存在した今はなき伝説の美術学校「バウハウス」最後の巨匠と呼ばれるマックス・ビル氏がデザインした逸品がこちら。今流行のミニマルウォッチの元祖といっても過言ではありません。シンプルさを極めたインデックスや、ドーム型の文字盤や風防、先の曲がった秒針など、その歴史的なデザインや意匠は“良いモノ感”満点。非常にミニマルなので、スーツにもカジュアルにもマッチし、これ1本でオン・オフ両方に対応できるのも魅力。何かと出費のかさむ若者にもありがたいモデルなのです。
4本目
『ティソ』T-スポーツ V8
特にヨーロッパにおいて、もっともメジャーな腕時計ブランドの1つが『ティソ』。1853年に創業した歴史あるスイスブランドながら、4万円以内で買えるエントリーウォッチから50万円を超える高級ラインまで揃える巨大メーカーです。豊富なラインアップを誇る『ティソ』において、20代にはやはりスイス時計らしく機械式がおすすめ。しかも、モータースポーツをイメージしたアクティブなクロノグラフなら、腕元を若々しく彩ってくれます。10万円を超えますが、スイス製クロノグラフムーブメントを積んでこのプライスなら、納得といえます。
5本目
『ハミルトン』ジャズマスター オープンハート オート
創業は1892年と長い歴史を持つ『ハミルトン』。創業地はアメリカで、現在はスイスに本社を移しています。ミリタリーウォッチやパイロットウォッチでも世界的な有名な『ハミルトン』ですが、今回紹介する「ジャズマスター」は、オープンハート、すなわち時計の精密な心臓部が文字盤から見られることで、スイスの高い技術力を楽しめるドレスウォッチです。一度見たら忘れられないデザイン性は、付き合い先との話題作りにもおすすめ。顔を広げたい20代には最適ですし、信頼のスイス製を身に着けることで、自身のしっかり感をアピールにもつながります。
▼30代:仕事同様に深みを増した、“わかってる”腕時計ブランドが活路を拓く
責任感ある仕事を任され、自分自身を深める期間でもある30代。これまでの実績や自分への自信を証明するために、世間で高級時計と認知されている腕時計を持っておくべきでしょう。20代と違い、ステンレススチールだけではなく、落ち着いた革ベルトを選ぶのも信頼性アップにつながります。また、若い時分には古い価値観を持つ年長者から生意気と思われてしまう尖ったデザインの時計も許される年代。グッとセレクトの幅が広がるのも、30代の強みです。予算は自分へ投資する意味で、スイスの超高級ブランドが視野に入る50~60万台を上限におすすめモデルを紹介します。
1本目
『ロレックス』オイスター パーペチュアル
大人気モデル「エクスプローラーⅠ」そっくりのルックスで人気を博した旧「エアキング」。現行「エアキング」は全く違ったデザインとサイズに進化しましたが、この「オイスターパーペチュアル」は旧モデルと似たルックスを持ち、旧型好きにはたまらないモデルといえるでしょう。しかも、『ロレックス』の大高騰もあり、50万円台で新品の『ロレックス』が買えるのはもはやこれくらい。サイズは今となっては非常に小ぶりな34mmで、スーツの袖にスッポリと収まりますし、華奢な人にもおすすめできます。何より、ダントツの知名度を誇る『ロレックス』ブランドの威力は強力で、どこへ行ってもイバリが効くのがうれしいですね。
2本目
『ブライトリング』クロノマット 41
『ブライトリング』はもっとも有名なパイロットウォッチブランド。腕時計というより計器、といわれるほどの精巧さで、腕時計好きを魅了してきました。この「クロノマット」は、メカメカしい印象があるパイロットウォッチにおいて、鏡面仕上げベゼルや丁寧な仕上げが施された5連ブレスの採用によって、ラグジュアリーな印象を持醸しだしモデルです。したがって、スポーツモデルながらエレガントなスーツにも対応できるのです。
3本目
『IWC』ポートフィノ オートマティック
スイスの名門『IWC』はよく質実剛健と形容され、派手さはなくとも信頼性の高いプロダクトを生み出している高級ブランドです。今回紹介する「ポートフィノ」は、新品、かつ50万以下買うことのできる唯一の『IWC』。いわばエントリーモデルで、文字盤の装飾が少ない『IWC』らしいシンプルな作りを満喫できます。12時と6時位置に配したローマンインデックスでクラシカルなテイストを加味。若々しくありつつも30代が着用するのにふさわしい落ち着きが感じられます。
4本目
『カルティエ』ドライブ ドゥ カルティエ
宝飾のイメージが強い『カルティエ』ですが、実は世界初のメンズ腕時計を生み出したといわれる腕時計と縁の深いブランドです。この「ドライブ ドゥ カルティエ」は2016年に誕生した新しいモデルで、柔らかみのあるエレガントなクッション型ケースが特徴。文字盤中央のうねったギョーシェも非常に手が込んでおり、メゾンブランドにふさわしい高級感ある仕上げです。とはいえ、ステンレスケースの光沢あるシルバーにより過度にドレス方面に寄らず、30代でも十分着けこなせるテイストを持ち合わせています。また、『カルティエ』は性別年代を問わず非常に知名度が高いため、時計に詳しい人しか知らないブランドを着けるより、万人から信頼を得やすいというメリットがあります。
5本目
『ベル&ロス』BR03-92
30代はまだまだ攻める! という人におすすめなのが、フランスの『ベル&ロス』。スクエアフォルムを持つ「BR」シリーズはブランドの看板モデルで、1950年代の航空機のコックピットからインスピレーションを受けた、まさに計器的なルックスを備えています。ヴィンテージ風の味付けがなされたデザインも非常に個性的。デザイン面が注目されがちですが、100m防水を備えるなど機能面でも高級ウォッチの肩書きに恥じない出来となっています。
▼40代:成熟した自分に似合う、成熟した腕時計を。今ならブランドの重みが良く似合う
40代ともなると、ギラギラしたアグレッシブさより信頼感や包容力が大切になってきます。また、ビジネスの場では責任者になることも多いでしょうから、腕元にも格が必要でしょう。そうなると、ゴールドなどの貴金属ケースや革ベルトを採用したドレスモデルは揃えたいところ。とはいえ、人生80年時代。40代で落ち着いてしまうのも考えものです。ミドルの品格を落とさずに、色や形で少し遊んでみるのも一興。100万円を超えるものもありますが、老後の資産として考えれば、納得できるでしょう。
1本目
『ロレックス』デイトジャスト
高級時計の王様『ロレックス』は40代でもハズせません。ドレスモデル「デイトジャスト」は5連のいわゆる「ジュビリーブレス」とゴールドとのコンビで、ラグジュアリー感は抜群。少し若々しさを取り入れたい場合は、こちらのようにアラビアインデックスモデルをチョイスすると良いでしょう。品格はキープしながら、スポーティなテイストが加わり、フォーマル感が強いバーインデックスやローマンインデックスモデルよりもアクティブな印象になります。
2本目
『ジャガー・ルクルト』グランド・レベルソ・カレンダー
スイスの超名門『ジャガー・ルクルト』の代表作といえば、縦長のレクタンギュラーケースを持ち、ポロ競技中文字盤を保護するために反転文字盤を備える「レベルソ」。アールデコ調の優美なこのシリーズは3針のシンプルなモデルもありますが、月齢を表示できるムーンフェイズ付きならよりグレード感をアップできます。このクラシックな意匠は、なかなか若年層では使いこなすのが難しいもの。40代を超えたらぜひ試してみたいギミックです。
3本目
『グランドセイコー』 SBGA227 スプリングドライブ
『グランドセイコー』は、いつかは手に入れたい国産時計の最高峰ブランド。クォーツや機械式では20万円台から手に入るモデルもありますが、40代になったらぜひ所有したいのが「スプリングドライブ」採用モデル。この「スプリングドライブ」は、世界でも『グランドセイコー』しか搭載していないクォーツと機械式を掛け合わせた超絶機構なんです。つまり、機械式の温かみと所有感を持ちながら、クォーツの超高精度を実現しているということ。また、デザインも端正かつ実直そのもので、この時計を着ければ公正で信頼できる人物という雰囲気を演出できます。
4本目
『ウブロ』ビッグバン
40代になったけど、まだ枯れたくない、エッジィな感性は持ち続けたい。そんな人におすすめなのが『ウブロ』です。『ウブロ』は1979年に誕生した新興ブランドですが、今や世界中のセレブリティに愛されている最もホットなブランドといっても過言ではありません。「ビッグバン」は時計の一大トレンドとなっている“ラグジュアリスポーツ”を色濃く体現するモデルです。ベゼルやラグのビス打ち、シャープで立体的なケース形状、ラバーベルトなど、非常にスポーティな一面を持ちながら、サテンとポリッシュを組み合わせた高級感ある磨き分けにより上品なテイストへと昇華されています。まだまだアグレッシブさと風格を持ち併せた、攻める40代にぴったりなモデルです。
5本目
『パテック フィリップ』カラトラバ
300万円を超えてしまいますが、買ってしまったらもう後がないといわれる“アガリ時計”ブランドを紹介しましょう。スイスの老舗『パテック フィリップ』は、時計界の中でも最高峰のステータスを持つといわれ、ユーザーは羨望のまなざしを向けられます。特に型番が“96”で終わるいわゆる「クンロク」モデルは、すべてのドレスウォッチのお手本と呼ばれているモデルなのです。手巻きムーブを採用した薄型の極めてシンプルデザインですが、各パーツの作り込みが導く得もいわれぬ上品な佇まいと高級感は「クンロク」でしか味わえないもの。40代で買えなくとも、40歳に到達したら将来の購入を意識したいモデルです。思わず熱くなりましたが、「クンロク」ばかりが『パテック フィリップ』ではありません。自動巻きムーブを搭載し、よりオフィサーに向けたモデルとして2013年にリリースされたこちらも、ブランドが“ケースにおけるコンプリケーション”と呼ぶに値するハイエンドな1本。裏蓋スケルトンを採用していながらヒンジ付きの保護カバーによりそれを隠すことも可能と、ドレスと趣味の両方の欲求を満たしてくれる仕掛けも搭載しています。
海外での取材経験も多数。時計専門ライター
夏目 文寛
出版社勤務時にはファッション誌、モノ情報誌の編集を15年にわたって従事。各雑誌で編集長を歴任し、2017年よりフリーのleather bagに。男の嗜好品に詳しく、特に腕時計は機械式の本場スイスをはじめとするヨーロッパに何度も取材に行くほど情熱を傾けている。興味のない人にもわかりやすく!がモットー。
KEYWORD関連キーワード
腕時計