航空時計の伝説。ブライトリングのナビタイマーは、男の基礎教養だ
航空用回転計算尺を搭載し時計界に革新をもたらした『ブライトリング』の「ナビタイマー」。時計好きは知っていて当然!? ルックス面でも今なお新鮮な同作を掘り下げます。『ブライトリング』の代名詞。迷ったら、「ナビタイマー」が間違いない
腕時計を計器として捉え、大空を翔る飛行士たちを支えてきた『ブライトリング』。実用性を重視した骨太さと、それでいてスーツなどにも似合うドレス感、そしてロマンに溢れる時計は、いつの時代も世の男性にとって憧れの的として存在してきました。男が選ぶ腕時計ブランドとして、間違いない選択肢の1つといえるでしょう。そんな『ブライトリング』が誇るフラッグシップといえば「ナビタイマー」です。本記事では、ブランドの顔であると同時に、クロノグラフウォッチの代名詞的存在でもあるこのモデルを深掘りしていきます。
時計史においても重要。「ナビタイマー」について、知っておくこと
「ナビタイマー」といえば、クロノグラフに航空用回転計算尺を備えたフェイスが象徴的。ベゼルを回転させるだけで乗除算、速度・距離・所要時間・燃費の計算を簡単に行える仕組みで、登場した1952年当時、それはそれは画期的でした。なぜなら、まだ当時はすべてがアナログな時代。航法に必要な計算は、パイロット自らが複数の道具を用いて行っていたのです。それらを腕の上で行えるようにした「ナビタイマー」は、まさに“プロフェッショナルのための計器”。ブランドの哲学を最も端的に表すモデルというわけなんです。
そんな「ナビタイマー」ですが、誕生当時から現代まで基本的なスタイルを変えていないというのも魅力の1つ。3つ目のクロノグラフをベースに、回転計算尺の細かな目盛りと数字を配した文字盤は、視認性を追求してたどりついたもの。この独特のフェイスが、実に「ナビタイマー」らしい完成された機能美を発揮しているのです。また、ケースもプロフェッショナルの過酷なミッションに耐えられるよう、冷間鍛造で成形された高品質なものを採用します。そんな男くさい計器然としたスペックにもかかわらず、特に7連ブレス搭載モデルなどはラグジュアリーさもひとしお。そのギャップもファンが多い理由です。
『ブライトリング』らしさ満点。「ナビタイマー」の存在感は着こなしにも有用だ
男らしくも機能美に溢れた「ナビタイマー」は、ファッションへの対応力もしっかりと備えています。何せ基本的なデザインを変えないまま約70年も売れ続けているロングセラー。移りゆくトレンドにも左右されない、確かなスタイルが唯一無二の世界観を作り出すのです。マッシブなケースと密度の高いソリッドな文字盤が醸す男らしい存在感、そして、古さを感じさせないクラシカルさと、細部にまで気を配った仕上げの美しさからくる上品さがその秘密。
例えば、定番のジャケットの腕元に据えれば、品格を物語るどっしりとした雰囲気に。打って変わってTシャツ1枚のカジュアルな着こなしでは、大人の風格が漂うワンランク上の着こなしへと導いてくれます。『ブライトリング』の中でも、よりスポーティな「クロノマット」よりもクラシックなデザインであることで品良く見え、「プレミエ」ほどエレガントではなく、『ブライトリング』らしい骨太さもある。だからこそ、ビジネスからカジュアルまで、幅広い着こなしにマッチしてくれるのです。
顔も、機能も、シリーズもさまざま。今手に入れたい「ナビタイマー」6本
そんな「ナビタイマー」ですが、現在では多用なタイプのモデルが登場しています。自社開発のムーブメントを積んだ正統派や、袖口への納まりが良い小ぶりなモデル、アイデンティティである回転計算尺をあえて排した3針モデルまで。ここからは、気になる6本を見ていきましょう。
1本目
ナビタイマー B01 クロノグラフ 43
バルジュー72、ヴィーナス178、バルジュー7740にクロノマティックなど、時代によってその時々の最良のムーブメントを搭載してきた「ナビタイマー」。2009年に自社開発・製造のキャリバー01を積んだモデルが、1つの完成系といわれています。70時間のパワーリザーブを誇るだけでなく、操作禁止時間帯がない機構となっていることで、故障のリスクも少なく安心して使い続けられる1本となっています。
2本目
ナビタイマー1 オートマチック38
『ブライトリング』といえばクロノグラフ、というほどにブランドを象徴するディテールであったクロノグラフをあえて排したシンプルな3針モデル。実は1950年代にも3針は登場していて、こちらもその当時を思わせるスタイルが特徴的です。回転計算尺は残されているので、「ナビタイマー」らしさはそのまま。また、ケース径は38mmと小ぶりで、トレンド感もしっかりと備えています。
3本目
ナビタイマー クロノグラフ 41
「ナビタイマー」といえば、縦にインダイヤルを配置したスタイルを思い浮かべる方もいるでしょう。そのインダイヤルが初代モデルと同じように文字盤と同色であることも、ファンの心をつかむディテール。こちらは、ケース径41mmと少し小ぶりなサイズに、3時位置のロゴは、1940年代から50年代に使用されていた“B”マークを採用しています。
4本目
ナビタイマー B03 クロノグラフ ラトラパンテ 45
最も高価な「ナビタイマー」の1つがこちら。『ブライトリング』初の自社開発ラトラパンテ(スプリットセコンド・クロノグラフ)を実現したキャリバー03を搭載しています。2本のクロノグラフ針で異なる2つの時間を計測することができるコンプリケーション(複雑機構)で、ケースはローズゴールド。見た目にもラグジュアリーを極めた1本です。
5本目
ナビタイマー クロノグラフ GMT 46
意外と知られていない存在なのが、GMTモデル。こちらは、バルジュー7754をベースとしたキャリバー24を搭載するモデルで、ケース径が43mmから46mmへとサイズアップされているのが特徴。カジュアル使いがメインなら、よりボリューミーな腕元を演出できる大径モデルを選ぶのもアリですよ。
6本目
ナビタイマーREF.806 1959リ・エディション
2019年に発表されたこちらは、1959年のナビタイマーを忠実に再現したモデル。初代モデルをベースにした「オールド ナビタイマー」など、過去にインスパイアされたデザインはこれまでにもありましたが、ここまで忠実に再現されたのは初めて。現代のスペックで蘇った日常使いのヴィンテージ。1,959本の限定エディションです。
「モンブリラン」と「ナビタイマー」。その違いをきっちり知っておく
最後に触れておきたいのが、見た目がそっくりな「モンブリラン」です。ぱっと見てわかる違いは、中央の赤いデシマルメーター。航法の計算を単純化できるスケールで、「ナビタイマー」の先祖である初代「クロノマット」にも採用されていたもの。つまり、時代に合わせて進化をしてきた「ナビタイマー」に対して、1940年~50年代のヴィンテージデザインを貫いているのが「モンブリラン」というわけ。ケース径38mmのジャストサイズと昔懐かしいスタイルで、今でも根強い人気を有しています。ブランドの歴史にも深く関わる1本です。
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編集・ライターのアシスタントを経て独立。「ファイン」「LEON.jp」などでカジュアルを中心に手掛けるほか、企業広告、オウンドメディアにて執筆。絡まった糸を解くようなわかりやすい記事作りがモットー。(良い意味で)興味が散漫で影響されやすく散財する日々。