改めてリーバイス517に熱視線。ブーツカットの源流について今、知っておく
多数の名作ジーンズを誇る『リーバイス』の中で、ブーツカットといえば「517」。その歴史を掘り下げつつ、今どきの着こなし見本から現行のラインアップまでご紹介します!元祖ブーツカットジーンズ。『リーバイス』の「517」を、今またはいてみない?
ジーンズの生みの親として知られるブランド『リーバイス』には、多数の名モデルが存在します。ストレートシルエットの「501」がその代表格ですが、ブーツカットといえば「517」。その「517」が今、改めて注目度を高めています。
ブーツカットジーンズの「517」は裾に向かって広がっているシルエットが特徴的。ここ最近のファッションシーンでは裾に向かって細くなるテーパードシルエットのパンツが長らく主流となってきましたが、その反動もあって、正反対のシルエットともいえる裾広がりのブーツカットが洒落者たちの間でじわじわと支持を集めているのです。
『リーバイス』「517」の歴史とともに知る。そもそもブーツカットジーンズとは
ブーツカットジーンズはその名の通り、ブーツに合わせるためのジーンズとして生み出されました。大きな特徴は、裾が広がったシルエット。これによりブーツの筒部分を覆うようにはけるようになっています。そして、この広がっていくひざ下のラインが縦長な印象を醸成し、脚長効果が期待できる点も大きな魅力といえるでしょう。
実は、世界初のブーツカットジーンズこそが『リーバイス』の「517」。日常的にブーツを履くカウボーイたちのために開発され、1971年に登場したのが始まり。当時は「サドルマンブーツジーンズ」という愛称で呼ばれていました。
その後、1970年代に拡大したヒッピーカルチャーの定番アイテムとして、「517」をはじめとするブーツカットのジーンズが大流行。以降もブーツカットジーンズはたびたび注目を浴び、ここ日本では1990年代の古着ブームで人気が沸騰したのはご存じの方も多いことでしょう。ちなみに、ブーツカットは裾の広がり方がやや控えめ。『リーバイス』でいう「646」ような、裾がより大きく広がったシルエットはベルボトムと呼ばれます。そしてそれらを含め、裾が広がったシルエットを総称してフレアというのが一般的です。
時代に合わせた進化版。『リーバイス』517にはアップデートモデルも
前述の通り、『リーバイス』の「517」がブーツカットジーンズのオリジンとして登場したのは1971年。当時は、ひざ部分を細めに絞ったうえでひざ下に向けて広がっていくシルエットで、裾の広がりが強調され、美脚効果の高いフォルムになっていました。そのデザインは現行モデルにも踏襲されていますが、最近ではアップデート版の「517」も登場。ひざの絞りをやや緩くし、穏やかに広がるシルエットでモダナイズされています。この進化した「517」はストレートに近いフォルムなので、初心者でもはきやすいのが特徴。オーバーサイズをチョイスすれば裾のラフ感が高まり、ワイドパンツに近い感覚ではきこなすこともできます。
今はくならこんなふうに。『リーバイス』の「517」を使ったコーデ実例5選
ブーツに合わせるために生まれたブーツカットの「517」ですが、実はスニーカーとの相性も抜群。意外と自由にはきこなすことができます。お手本となるコーディネートを5パターンご紹介しますので、好きなスタイルに倣って「517」をはきこなしてみてください!
コーデ1
「517」の魅力をさりげなく生かしたシンプルコーデ
上下を『リーバイス』のデニムアイテムで揃えたシンプルなコーディネート。インナーに白いTシャツ、足元に定番スニーカーを合わせたスタンダードな着こなしですが、ジーンズにブーツカットの「517」をチョイスしている点が今の時代にかえって新鮮に映ります。ブーツカットの美脚効果に加え、コンパクトなアウターでスタイルをより良く見せているのもポイント。
コーデ2
ラフなアメカジスタイルも「517」ならどこか新鮮
カレッジテイストのロゴをプリントしたスウェットに、ジーンズとローテクスニーカーを合わせたアメカジスタイルがベース。ブーツカットの「517」が脚を長く見せ、ラフなコーディネートをスタイリッシュにブラッシュアップしています。大人なアメカジスタイルを築きたいときにも「517」は重宝!
コーデ3
ブラックの「517」を使ったクールなデニムスタイル
ブーツカットジーンズ+デニムジャケットの組み合わせは上述の「コーデ1」のコーディネートと同じ。ただし、上下ともブラックにしつつインナーもダークトーンにすることで、こちらはクールにまとめています。ミュール型のサンダルもブラックでまとめて隙のない着こなしに。
コーデ4
「517」でスタイリッシュに決めたジャケットスタイル
ブーツカットジーンズの「517」にサイドジップブーツを合わせ、大人っぽいコーディネートのベースを確保。そこへクラシックなダブルブレストのジャケットを合わせ、落ち着きのあるジャケットスタイルに仕上げています。ジーンズ×ジャケットというゆるいリンクでお揃いコーデを築くいたのもおしゃれ!
コーデ5
「517」の裾を大きく折り返してさりげなく個性を演出
トップスは『ユニクロ』のアイテムでまとめ、全体としてはシンプル。ただし、足元には個性を凝縮しています。まず、ジーンズの裾を大きく折り返してアイキャッチに。折り返すことでストレートに近いシルエットにアレンジしています。さらに、合わせたブーツは『メゾンマルジェラ』を象徴する「タビ アンクル」。足袋のようにつま先が2つにわかれていて独創的です。
通常ラインとLVC。『リーバイス』の517、今買えるおすすめの8本をピックアップ
ブーツカットジーンズの「517」は、『リーバイス』が誇る名作の1つ。だからこそ、『リーバイス』の通常ラインだけでなく『リーバイスヴィンテージクロージング(LVC)』でも復刻版がリリースされています。それぞれのアイテムラインアップを解説しますので、在庫があるうちに早めに入手しましょう!
▼『リーバイス』通常ラインの「517」
ジーンズのパイオニアである『リーバイス』は、歴史ある名作を多数擁していますが、時代の空気感に合わせてそれらの定番モデルをブラッシュアップし続けています。もちろん「517」も例外ではありません。正統派の現行ブーツカットジーンズは、まず『リーバイス』の通常ラインから選んでみるのがおすすめです。
アイテム1
517 ブーツカット リジッド
オーセンティックなブーツカットジーンズ「517」のリジッドデニムバージョン。加工が施されていないので、デニムをゼロから育てていくことができます。硬めの生地ゆえ、はき始めは持ち前の美しいシルエットが引き立ち、高い美脚効果を期待できます。
アイテム2
517 ブーツカット AMA プレミアムインディゴ
ほんのりアタリが出る程度の加工感が絶妙。落ち着きあるダークトーンと、即戦力となるこなれた生地感が共存しています。濃いめのインディゴブルーだからこそ、引き締め効果が感じられ、コーディネートに落ち着きを与えてくれます。
アイテム3
517 ブーツカット AMA ミッドヴィンテージ
太ももの色落ち加減はもちろん、ヒゲやアタリもかなりリアル。ジャケットスタイルを着崩したり、リラックス感のあるコーディネートを築いたりする際に重宝するミッドヴィンテージ加工の1本です。ジーンズらしい汎用性も備え、オールシーズン活用できます。
アイテム4
517 ブーツカット ブラック
ブラックデニムのブーツカットジーンズは、美脚効果がさらにハイレベル。どんなコーディネートでもクールに引き締めてくれます。「517」のブラックバージョンはステッチまで黒で統一されているので、かなりクールな面持ち。
アイテム5
517 ストレッチデニム ブーツカット ミッドブルー
名作の「517」をベースにしつつ、アップデートを加えたモデル。ひざの絞りを控えめにすることで、ナチュラルなフレアシルエットにアレンジされています。さらに、ポリウレタンを1%のみブレンド。デニムならではの風合いはキープしつつ、ストレッチ性をプラスして動きやすいブーツカットジーンズに仕上げられています。
▼『リーバイス ヴィンテージクロージング』の「517」
『リーバイス ヴィンテージ クロージング』は、『リーバイス』のアーカイブを忠実に再現しているライン。「517」に関しては、1971年~73年にレッドタブラインとして発売されていた初期モデルを復刻しています。他のブーツカットと比べてフレアな具合が程良いバランスなので、意外とはきこなしやすいジーンズです。
アイテム6
517 リジッド
「517」の初期モデルを丁寧に再現したモデル。濃厚なリジッドデニムは、世界屈指のデニム生地メーカーとして知られるカイハラ社製です。14.2オンスのレッドセルビッジデニムなので、エイジングを存分に楽しめます。
アイテム7
1970S オレンジタブ 517 ファンタジア
リアルなヴィンテージ感が漂うミッドウォッシュ加工の「517」。人気のオレンジタブを採用し、ディテールまでヴィンテージ調に仕上げています。軽快なトーンを生かしながら、リラクシングなコーディネートではきこなすのが今の気分です。
アイテム8
1970S オレンジタブ 517 ホワイトダヴズ
ホワイトに近いアイスウォッシュのジーンズは爽やかなニュアンス。トップスのカラーを引き立てることができ、アースカラーやニュアンスカラー、ビビッドカラーやネオンカラーとも相性が抜群です。もちろん、ダークなトップスでクールにまとめてもOK。ホワイトジーンズと異なり、コーデに馴染みやすいこなれ感が漂っているのも魅力です。
ウェア・コーデ
今、大人がはくべきデニムブランド34選。一生付き合える理想のジーンズに出会う
あらゆるボトムスの中で、一度手に入れたらもっとも長い付き合いになるのがジーンズ。それゆえ、確かなモノ作りを行うブランドをしっかり押さえておくことが重要だ。
那珂川廣太
2020.12.10
ウェア・コーデ
隠れた名作。リーバイス502の隠しきれない魅力とラインアップ
今、『リーバイス』の502が人気です。同ブランドといえばまず頭に浮かぶのが501ですが、なぜ最近になって502が注目されているのでしょうか? その理由を解説します。
髙須賀 哲
2021.03.22
ウェア・コーデ
大人の万能着。リーバイス505の春夏秋冬コーデを徹底解説
『リーバイス』といえばもはや説明不要ともいえる、大人の定番。当記事では、501と並び根強い人気を持つ505シリーズについて、その魅力と着こなしを詳しく解説します。
Roaster
2017.08.17
ウェア・コーデ
ジーンズの新たな定番。リーバイス511が大人の着こなしにハマる
120年以上もの歴史を誇るジーンズブランド『リーバイス』。同ブランドといえば501が最も有名だが、今回はモダンなシルエットで注目を集める511を紹介。
大中 志摩
2021.01.19
ウェア・コーデ
このゆるさが今、新鮮。リーバイスの550で旬なリラックス感を手に入れる
今、リラックスシルエットのジーンズが注目されています。王道ブランド『リーバイス』では、名モデルと名高い「550」が人気。支持される理由からコーデ例まで解説します!
平 格彦
2021.03.28
ウェア・コーデ
リーバイスレッドとは? 7年ぶりに復活した人気確定のラインアップ
一斉を風靡した『リーバイス レッド』が7年ぶりに復活ということで、デニムシーンが色めき立っています。今一度同シリーズについて解説するとともに、最新作を一挙公開!
山崎 サトシ
2021.02.13
60以上のメディアで執筆。「着こなし工学」提唱者
平 格彦
出版社を経て独立。「Men’s JOKER」と「RUDO」は創刊から休刊までほぼ毎号で執筆。さらに「MEN’S CLUB」「GQ」「GOETHE」など、60以上のメディアに関わってきた。横断的、俯瞰的に着こなしを分析するのが得意。そんな視点を活かし、「着こなし工学」としての体系化を試みている。