ソーラー電波時計12本を厳選。日本が誇る4メーカーのブランドからレコメンド
多忙なビジネスマンにとって、電池交換の手間もかからず常に正確な時間を表示するソーラー電波時計は心強い味方。信頼度の高い日本のブランドから、名品を厳選しました。テクノロジーの結晶、ソーラー電波時計。その特徴と選ぶメリット
すっかり腕時計選びのイチ基準として浸透している“電波ソーラー”。機械式時計のアナログ感が好き、という好事家の方からすると物足りないところもありますが、1度手に取って慣れてしまうとその手間のかからなさにハマってしまうこと請け合いです。そもそも電波時計とは、通信総合研究所が運用している標準電波を受け取ることで自動的に時刻修正を行う機能を搭載したもの。そこに、文字盤を透過した光がセルに当たることで発電する機能を搭載したのが“ソーラー電波時計”です。時刻の正確性と、故障しない限り絶える半永久的に駆動するという2つの特徴は、多忙なビジネスマンにとって何よりのメリットになります。
活用シーンはさまざま。ソーラー電波時計はこんなところで役に立つ
ビジネスの場において、正確な時間を常に把握できるというのは大きなメリット。しかし、ソーラー電波時計には往々にして+αの技術が搭載されているものです。例えば『アテッサ』や『アストロン』のようなソーラー電波時計には、海外の空港に降り立った際にワンプッシュで時刻を修正してくれるワールドタイム機能が。サマータイムなどにも自動で対応してくれるので、旅行が多い人にとって電波ソーラー時計の所有は大きなメリットです。国内の電波だけを受信するモデルの場合は、海外に出向いた際に電波の受信機能をオフにして、手動で時刻をあわせればOK。当然ですが、ソーラー発電システムは国内外問わずその力を発揮してくれます。
なお、ソーラー電波時計というと文字盤下のソーラーセルに光を透過させる必要がある以上、半透明の文字盤が高級感を損なう……、と考えている方もいるかもしれません。しかし、現在では各メーカー機構の改良に努めた結果、ベゼル内側のフランジ部分やインダイヤル部分など目立たない箇所に仕込めば十分な電力を得られるほど進化しています。文字盤の透過率もそこまで考慮しなくて良くなったため、見た目には通常のアナログウォッチと大差ありません。つまり、フォーマルな場においても気兼ねなく身に着けられるということ。大事な商談の場でも、しゃれたパーティでも、ソーラー電波時計の機能性を気負いなく甘受できるはずです。
実力派メーカー別に厳選。ソーラー電波時計の人気12ブランド
ブランド力や歴史においてはやはり欧州ブランドに軍配が上がります。しかし、こと技術力においては時計大国スイスをしのぐのが日本のメーカーです。ソーラー電波の分野でも同様で、こと日本の「セイコー」、「シチズン」、「カシオ」、「セイコーエプソン」の4社においては他の追随を許しません。ここからは上記メーカーに属するブランドから、人気モデルを紐解いていきましょう。
▼メーカー1:数々の”世界初”を作り出してきた「セイコー」
『セイコー プレザージュ』のグローバル展開や『セイコー プロスペックス』のラグジュアリー化も続き、ただでさえ高い海外評価がうなぎ登りの「セイコー」。同社のソーラー電波時計といえば、『セイコー アストロン』や『セイコー ブライツ』などが挙げられるでしょう。機能に見合ったストイックでメカニカルなルックスと、同メーカーらしいクセのないデザインはどれを選んでもオン・オフ対応してくれます。
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『セイコー アストロン』SBXC063
都市名が刻まれていたベゼルはチタン製となりシンプル&ソリッドに、ケースは鏡面とヘアラインを巧みに使い分けたメリハリの利いた仕様に。シルエットを崩さないプッシュボタンの形状や色味を抑えた顔立ちなど、『セイコー アストロン』の「グローバルライン スポーツ」は従来のモデルと比較してもとにかくスマートです。『セイコー アストロン』由来の機能性はさらにブラッシュアップされており、ムーブメントにはブライド史上最高性能の5X53を採用。1日に最大2回自動で時刻修正を行ってくれる『セイコー アストロン』だけの「スーパースマートセンサー」に加え、2時・4時位置のボタンの長押しによりホーム&ローカルタイムを瞬時に切り替えられる「タイムトランスファー機能」など、“ならでは”なスペックを備えています。今作ではサイズも42.9mm径に抑えられており、2018年8月時点ではGPSソーラーウォッチとしては世界最小最薄を実現しています。
2本目
『セイコー ブライツ』SAGA233
『セイコー アストロン』と双璧をなす「セイコー」のハイテクウォッチがセイコー 『セイコーブライツ』です。幾分コストパフォーマンスも高いため、必要な機能と相談しつつ『セイコー アストロン』と比べてみるのも良いでしょう。とはいえ、こちらもソーラー発電に電波修正機能標準装備。ベゼル部分の国名表記が示すようにワールドタイム機能も搭載されています。10気圧防水に、ケース表面にはダイヤシールドという表面硬化処理も施されており、性能面においてはプライス以上の働きが期待できます。ケース径43.2mm、11.4mm厚というサイズも、ジャケットの袖元に馴染み良いものです。
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『スピリット』SBTM217
サンレイ仕上げの黒文字盤がスタイリッシュかつエレガントで、SSケースとのコントラストも美しく、腕時計のスタンダードと呼ぶにふさわしいデザイン。『スピリット』が属する「セイコーセレクション」はまさにそんなベーシックな腕時計を数多く揃えているラインです。こちらも日常生活強化防水の10気圧防水対応。過充電防止やパワーセーブをはじめ、時差修正機能などビジネスシーンに活躍する機能が豊富。マテリアルもチタンで、着け心地も軽快です。ソーラー電波時計が初めてなら、「こういうものか」と知るうえでも手に取ってみても良いでしょう。
▼メーカー2:最先端技術の結晶。「カシオ」のソーラー電波時計
『Gショック』で1990年代に一世風靡したジャパンブランド「カシオ」。一足先にデジタルウォッチの分野に傾注してきたメーカーらしく、ソーラー電波の分野においても高機能なモデルを取り揃えています。そんな「カシオ」のソーラー電波時計は、『オシアナス』に代表されるようにエレガントながらどこかスポーティさの強いデザインが特徴。防水機能をしっかり備えたモデルも多く、長く付き合う腕時計を探しているなら選択肢に入れておいて損はないでしょう。
1本目
『オシアナス』マンタ OCW-S5000APL-2AJF
海の神に名前の由来を持つ『オシアナス』。同ブランドを代表するのが「カシャロ」、「マンタ」の2種です。ビジネス使いにもぴったりなレギュラーモデルに加え、毎年どちらのシリーズからも個性的なモデルがリリースされています。そして2021年、「マンタ」より発表されたのがこちらです。文字盤に白蝶貝をあしらい、その裏面を沈殿藍法で抽出した濃厚な藍で着色。“阿波藍 白蝶貝文字板”と名付けられ、世に送り出されました。もちろん、スペックはいつもの『オシアナス』準拠。標準電波受信に加え、Bluetoothを搭載することでスマートフォンとリンクしての時刻修正も可能となっています。素材はザラツ研磨と表面加工を施したチタン素材。風防には硬質なサファイアガラスを採用しており、作りの面も抜かりありません。
2本目
『オシアナス』OCW-T200SB-1AJF
フルメタルウォッチとしては世界初のGPSハイブリッド電波ソーラーを搭載し、あらゆる場所で正確な時間を刻んでくれる『オシアナス』。馴染み深いのはメカニカルなクロノグラフモデルでしょうが、こんなシンプルな3針タイプもリリースしています。程良い主張を放つ41.4mmサイズのケースにはブラックIP処理が施されており、“オシアナスブルー”のインデックスも相まって非常にスタイリッシュなルックスを形成。マットな質感は、オンだけでなくオフシーンでの活躍も見込めそうです。もちろん、「カシオ」のタフソーラー機能に加え、腕時計単体でも使用可能な時刻修正機能を搭載。さらに、スマートフォンとリンクさせることでタイムゾーンの設定や電池残量のチェック、さらにスマホからの通知を受け取るなどさまざまな機能を使用可能です。洗練の見た目に最新鋭のスペックを搭載していながら、5万円台で購入できる点も見逃せません。
3本目
『カシオ』ウェーブセプター WVQ-M410DE-1A2JF
『オシアナス』に代表される同社のテクノロジーをよりお手頃に手に入れたいなら、「ウェーブセプター」シリーズが良いでしょう。ケースと一体化した流線型を描くメタルバンドが、高級感とスポーティさの両方を兼備しています。蛍光灯などのわずかな光をも動力とできるタフソーラー機能はもちろん、日本国内の2か所に加え、中国・アメリカ・イギリス・ドイツの標準時刻の電波を受信するマルチバンド6という機能も搭載しています。
▼メーカー3:“より良きもの”へのマインドが生む名作の数々。「シチズン」のソーラー電波時計
チタンを世界で初めて腕時計に落とし込んだメーカーらしく、「シチズン」ブランドの腕時計は着け心地と軽さにおいてはお墨付き。名前の通り“市民”に広く受け入れられるスタイリッシュかつシンプルなデザインが多く、ビジネスファッションの良きエッセンスとなってくれることでしょう。また、電波式の時刻修正機能をいち早くフルメタルケースに導入した技術力の高さと、電池交換の必要がない光発電の独自技術である光発電エコ・ドライブの搭載が「シチズン」の強みです。
1本目
『アテッサ』CC4014-62E
ビジネス色が強い印象を受ける『アテッサ』ですが、今「アクトライン」はスーツとカジュアルスタイル、その両方を横断するラインとしてデザインされたモノ。インデックスと時分針をややシャープに絞りつつ、インダイヤルを白く縁取ることでカジュアルに似合うスポーティさも加味。各所に落とし込まれたオレンジも、良いアクセントとなります。また、機能も充実。今作も、同社ならではの光発電エコ・ドライブやサテライトウェーブ GPSによる時刻修正機能に加え、ワールドタイムやパーペチュアルカレンダー、クロノグラフまで搭載した技巧派に仕上がっています。その中でも、リューズを引いて都市を選択するだけで、瞬時に時刻とカレンダーの修正が行えるダブルダイレクトフライト機能は特筆モノ。海外旅行中の機内で直感的な時刻修正が可能なため、旅行が趣味であったり出張の多い方にもおすすめなんです。また、独自の表面硬化技術デュラテクトにより堅ろうに仕上げられたチタニウムにより、見た目を裏切る抜群の軽さを提供してくれます。
2本目
『サテライトウェーブ GPS』F990 CC7005-16G
値は張りますが、「シチズン」の技術の粋に触れたいならこちらのモデルはいかがでしょう。2011年、衛星電波時計の先駆けとして発表された名品の復刻となる『サテライトウエーブ GPS』こちらは、視認性抜群の針とドーム型のケース、何枚ものディスクが文字盤上で複雑に絡み合う未来を感じさせるデザインが実に魅力的です。同社最新鋭のムーブメントに、抜群の硬度を誇るデュラテクトDLC加工、ダイレクトフライト機能にデュアルタイム機能を掛け合わせ2都市の正確な時刻を同時に表示できるようにするなど良い意味でやりたい放題の1本。オリジナルは鮮やかな宇宙的なグリーンが印象的ですが、ビジネスカジュアルなどにも落とし込むならブラック×ゴールドの組み合わせが妥当でしょう。
3本目
『エクシード』AT6000-61A
ハイテク感の強いモデルが続きましたが、「シチズン」の中でも随一のドレス感を有する『エクシード』からはこんなオーセンティックな顔立ちの1本も出ています。プレーンなシルバーのケースと馴染む、同様にシルバーの文字盤。電波による時刻修正機能を備えながら、デイデイト窓を装備したムーブメントは実は貴重です。これだけの高級感を持ちながら、ケースには軽量かつ堅牢なスパーチタニウムを使用しているというのも見どころでしょう。
▼メーカー4:積み重ねてきた技術の集大成、「セイコーエプソン」が放つ“ひと味違う”電波ソーラー時計
「セイコーエプソン」と聞くと耳慣れないかもしれません。その名前から上記「セイコー」の子会社かと思われがちですが、実は独立した別会社。細かいことを言うと資本的にはまったく関係が無いわけではありませんが、現在はメーカーとしては別物と考えて大丈夫です。そんな同社は、実は「クォーツアストロン」の開発など「セイコー」の技術革新を支えてきた実力派でもあり、クォーツを自社で製造できる数少ない企業でもあります。オリジナルブランドでは『トゥルーム』が有名ですが、2017年からは『オリエント』も統合。腕時計業界の中でめきめきと力をつけてきている、ホットなメーカーなのです。
1本目
『トゥルーム』Cコレクション TR-MB5006
どこまでもアナログな顔立ちながら、その内部に「セイコーエプソン」のテクノロジーを集結させた見た目にも重厚な『トゥルーム』。S・L・C・Mの4シリーズから構成されており、こちらは都市=CityをイメージしたCコレクションとなります。何層にも色を塗り重ねた、肉厚なアドバンティックレザーストラップの高級感は並ではありません。GPS受信システム・サテライトリンクに、自動で省電力モードとの切り替えも行う光充電・ライトチャージ、そして気圧硬度センサーに方位センサーまでも盛り込んだまさに“男のおもちゃ”ともいえる充実具合は、ここならではといえるでしょう。なお、ビジネスシーンにもうれしいメタルバンドも付属しています。
2本目
『オリエント』RN-SE0004B
『オリエント』といえば機械式時計のイメージが強いですが、実は「コンテンポラリー」シリーズからは電波ソーラーのモデルも登場しています。見た目にもミニマルなこちらは、日本の標準時間を受信して時刻修正を行うラジオコントロール機能を装備。フル充電で6か月間駆動するパワフルさも備えているので、値段も含めて日常使いの1本としてはベターな選択といえるでしょう。高機能ながら、ケース径が40mm未満に抑えられているのもポイントです。
3本目
『オリエント』WV0071SE
実は、日本の他メーカーには見られない独自性の高いデザインも『オリエント』の魅力。国外への輸出が始まった際に、力のある海外ブランドとの差別化を図るべく行われた、企業努力の賜です。以前機械式時計としてリリースされていた「ネオセブンティーズ」というシリーズはまさにそのデザイン哲学の中にあり、上下部分にカットの入った風防やグラデーションのかかった文字盤などはその最たるもの。名称の通り70年代を思わせる豊かなカラーリングも見ものですが、オン・オフでの兼用を考えるならブルーが最適でしょう。
ブツ欲が動力源のモノ好き編集部員
牟田神 佑介
「Men’s JOKER」、「STREET JACK」と男性ファッション誌を経た後、腕時計誌の創刊に携わり現職。メンズ誌で7年間ジャンルレスに経験してきた背景を生かし、handbagでは主に腕時計や革靴、バッグなど革小物に関する記事を担当している。