男らしさと知的さと。レイバンのクラブマスターは知る人ぞ知る名作だ
『レイバン』が多数擁する名モデルの1つ「クラブマスター」。実は大人にイチ押しのモデルなんです。その魅力を詳しく読み解いていきましょう。忘れてはならない名モデル。『レイバン』が誇る「クラブマスター」
『レイバン』は1937年にスタートした名門サングラスブランド。アメリカ空軍の要請に応えるため、光学機器メーカーの『ボシュロム』が創設しました。誕生以来、『レイバン』 はタイムレスな名作をいくつも生み出してきました。ウェリントンタイプの代表格「ウェイファーラー」、ティアドロップタイプの象徴「アビエーター」があまりにも有名。それらに埋もれがちですが、ブロウタイプの「クラブマスター」もれっきとした名作です。
「クラブマスター」のデザインは、1950年代のスタイルからインスピレーションを得ています。レトロなデザインなのでトレンドを超越して使うことができ、どこか知的なムードも感じさせるのが大きな特徴。聡明さを感じさせるクラシックなサングラスなので、下品に見えたりワイルドな印象になり過ぎたりすることがなく、大人が使いやすいサングラスなのです。
『レイバン』のクラブマスターはサーモントタイプの代表格
「クラブマスター」はサーモントタイプと呼ばれたり、ブロウタイプと呼ばれたりしています。ここで改めて、サーモントについて説明しておきましょう。その起源は1950年代、眉毛が薄くて威厳のない顔立ちであることに悩んでいたアメリカ軍将校のモント氏のために、メガネメーカーの『アメリカンオプティカル』が彼の威厳を補完すべく新たなメガネを誕生させました。それが「Sir Mont(サー・モント=モント将校)」と呼ばれるようになったのです。こうしたエピソードから、本来は『アメリカンオプティカル』製のフレームでないとサーモントと呼ぶことができないという話もあります。『レイバン』の「クラブマスター」がサーモントタイプだけでなく、ブロウタイプとも呼ばれるのはそのためです。とはいえ特徴はどちらも一緒で、レンズ上部のリムが太くて眉毛(ブロウ)のように見えるのがポイント。ただし、リム上辺が1本につながっているデザインはブロウタイプであってもサーモントタイプではありません。
「クラブマスター」のモチーフは、1950年代当時のカウンターカルチャーの知識人や、公民権運動のリーダーたちが使っていたアイウェア。知性の象徴であると同時に反体制スピリットのアイコンでもあります。そのイメージを活用し、映画「マルコムX」ではデンゼル・ワシントン氏が着用し、また「レザボア・ドッグス」ではティム・ロス氏が使用。こうして知名度と人気を一気に高めました。ちょいワルだけどインテリジェンスも感じさせるデザインなので、「クラブマスター」は大人の男性に最適というわけです。
フィッティングもデザインも実に多彩。『レイバン』「クラブマスター」の主要8モデル
同じ「クラブマスター」でも、ディテールの違いによってバリエーションが豊富に展開されています。ここでは主なアイテムをピックアップ。自分にぴったりの「クラブマスター」を見つけるために、それぞれのポイントを解説していきます。
アイテム1
クラブマスター クラシック(USフィット)
最も正統派といえるのは「クラブマスター クラシック」。メガネを囲うリムの上辺のみ太くなっていて、眉毛のように見えるのが特徴的です。フレームのセル部分はブラックかブラウン、メタル部分はゴールド、レンズはダークグリーン系という色使いがクラシックなムードを高めます。
アイテム2
クラブマスター クラシック(JPフィット)
アジア人向けにフィッティングをアレンジしたのが、アジアンフィッティング(JPフィット)モデルです。ノーズパッドを高めかつ細めに設定しつつ、その分レンズ幅を少しワイドにしているのが特徴的。さらに、フレームにゆるやかなカーブを持たせてフィット感を高めています。ジャパンフィットは「クラシック」以外のタイプでも展開されているので、フィッティングも意識して選んでみてください。ちなみに写真の1本はセル部分がマーブル(べっ甲)柄で、少しマイルドな雰囲気です。
アイテム3
クラブマスター メタル
プラスチック樹脂をメタルに置き換え、フレーム全体をメタルで仕上げたタイプです。スタンダードな「クラブマスター」よりもスタイリッシュな印象で、モダンなイメージを演出できます。グレー(ガンメタル)基調だけでなく、レッド系やグリーン系もラインアップ。
アイテム4
クラブマスター フォールディング
名作「ウェイファーラー」でも人気を高めているフォールディング仕様は、「クラブマスター」でも展開されています。一見オーセンティックなデザインですが、コンパクトに折りたたむことができて持ち運びやすくなっているのが特徴。折り曲げるために追加されたテンプル中央付近のメタルパーツがデザイン上のアクセントとしてさりげなく主張してします。
アイテム5
ブレイズ クラブマスター
ひとつながりのフラットレンズを採用し、メタルフレームのクールなイメージを一層強調した革新的モデル。テンプル部分のデザインもエッジィです。さらに、テンプル部分にブラッシングを加えて表情豊かに仕上げられているのもポイント。コーディネートのスタイリッシュなアクセントとして適任です。
アイテム6
クラブマスター オーバーサイズド
「JPフィット」よりもさらに大きなレンズを採用し、小顔効果も期待できるモデル。使用している「フラッシュレンズ」は多層のミラーコーティングが施されていて、ラグジュアリーな光沢を放っています。太めのブリッジ&テンプルがクラッシックな印象を強調。
アイテム7
クラブマスター ダブルブリッジ
メタル製のブリッジを追加することでよりクラシックな雰囲気を高めたタイプ。ダブルブリッジはトレンドのディテールでもあるので、新鮮なムードを感じさせます。名作の「クラブマスター」を取り入れつつ、適度に差別化を図りたい人におすすめ。
アイテム8
クラブマスター スクエア
スリムなスクエアレンズを採用し、スマートにアレンジしたモデル。シャープな印象を演出したいときにおすすめです。ちなみに、写真の1本で起用されているのは「ポラライズドレンズ(偏光レンズ)」。乱反射などをカットしてくれるので、ドライブなどに最適です。
トレンド感をMIX。派生モデル「クラブラウンド」もチェック
2016年に誕生した「クラブラウンド」も注目モデルです。ブロウタイプの「クラブマスター」をベースにしながら、1960年代のカウンターカルチャーから着想を得たラウンド型のシェイプを融合。多くの伝説的ミュージシャンに愛されてきたボヘミアンなムードが加わったことで、より個性的でファッショナブルなモデルへと進化しています。
実際はラウンドやオーバルとは少し異なる「パントス」と呼ばれるシェイプのレンズを採用していて、一般的なボストンタイプに近い感覚で着けることができ、意外とオールマイティに使えます。「クラブマスター」の知的でクラシックなムードを感じさせる上品さも持ち合わせたサングラスです。
意外と使いやすいんです。クラブマスターを使った大人なコーディネート5選
インテリジェントな雰囲気やクラシックなムードを感じさせるサングラスの名作「クラブマスター」は、大人なコーディネートと相性抜群。見事に掛けこなしている好サンプルをピックアップして解説しますので、ぜひ参考にしてください!
コーデ1
シンプルなコーディネートの味付けとしてプラス
品格が感じられる「クラブマスター」とはいえ、やっぱりサングラス。ワイルドな要素もあるので、シンプルで少し上品なスタイリングのハズしとしてプラスするのが基本形です。この実例のように、白シャツ+ジーンズにプラスするのもおすすめ。違和感なく馴染み、こなれた着こなしへと昇華してくれます。
コーデ2
モノトーンの装いに馴染ませてクールに演出
「クラブマスター」は存在感があるので、コーディネートに馴染ませると着けやすくなります。この実例では、サングラスに合わせてブラックを軸にしたスタイリングにまとめているのがポイント。総柄シャツやキャップを用いて大人なストリート調を感じさせるクールな着こなしへと仕上げています。
コーデ3
ベーシックなTシャツスタイルに個性を上乗せ
Tシャツがメインのベーシックなコーディネートは、小物で自分らしくアレンジするのがおすすめ。このコーディネートでは、「クラブマスター」だけでなくバンダナ柄のショルダーバッグも個性的なアクセントとして加味しています。サングラスを含めてモノトーンで揃え、大人っぽくまとめているのもポイント。
コーデ4
ラフなコーディネートの引き締め役として活用
ルーズなオーバーオールやグリーンのボーリングシャツなど、ラフな印象の強いアイテムをセレクトしたコーディネート。子供っぽい印象になりかねないスタイリングですが、少しダンディで品格のある「クラブマスター」を加えることで大人っぽくまとめたバランスが巧妙です。
コーデ5
ワイルドな夏スタイルに合わせるのも王道
季節を問わず使いやすい「クラブマスター」ですが、サングラスが最も活躍する季節はやはり夏。当然、ワイルドなサマースタイルにもハマります。このコーディネートではブルー系のレンズを選び、全身もブルーをキーカラーにして構築。男っぽさと爽やかさが絶妙なバランスで共存しています。
気に入ったら。メガネとして「クラブマスター」を使うという選択肢も
「クラブマスター」は名作だからこそバリエーションが豊富で、実はフレームのみを購入することも可能になっています。セットするレンズによって伊達メガネや度入りメガネとして使うことができるんです。
写真は、クリアレンズを入れたメガネとして使用する想定の「クラブマスター オプティクス」。フレームのみなのでレンズは別途セットする必要があります。サングラスの「USフィット」よりもさらに小ぶりなレンズサイズに設定されているのが特徴的。「オプティクス」<「USフィット」<「JPフィット」<「オーバーサイズ」の順でレンズのサイズが大きくなるので、試着などで比較して自分にとってベストなサイズ感を把握しておくと便利です。
60以上のメディアで執筆。「着こなし工学」提唱者
平 格彦
出版社を経て独立。「Men’s JOKER」と「RUDO」は創刊から休刊までほぼ毎号で執筆。さらに「MEN’S CLUB」「GQ」「GOETHE」など、60以上のメディアに関わってきた。横断的、俯瞰的に着こなしを分析するのが得意。そんな視点を活かし、「着こなし工学」としての体系化を試みている。