いまも昔も職人品質。オガワ(ogawa)のテントはなぜ100年愛されるのか?
「オーナーロッジ」「ティエラ」「アポロン」などの名品が揃う『オガワ(ogawa)』のテント。かつて「小川テント」と呼ばれた時代から、実は100年以上も歴史があるんです。名作テント多数。『オガワ(ogawa)』って、どんなブランド?
「キャンパルジャパン」が展開するアウトドアブランド『オガワ(ogawa)』は、キャンパーの間では一目置かれるブランドです。もともとは「小川テント」として、軍用のリュックやテントなどを取り扱い、長年“職人品質”といわれる高規格・高機能なテントを作り続けていました。その代表的なシリーズが1961年に誕生した「オーナーロッジ」です。
それまで一般的だったテントは地上に立てた2本のポールに布をかぶせ、両端を地面にペグで打ち止めたものでした。壁が屋根と一体化しているため、室内の端へ行くほど高さがなくなります。これを解消すべく、壁を立てて居住性を確保した五角形のテントを作り出したのです。幕体もポールもこだわりまくった品質は職人仕事と評され、かつて“職人品質”は「小川テント」のスローガンになっています。
キャンプ用のテントだけでなく、運動会などで校庭に立てられる野外活動用テントなども手掛けてきた「小川テント」。90年代以降、日本でも野外フェスやファミリーキャンプなどアウトドアのブームが到来すると、過酷な環境に耐える本格的なキャプギアよりも、安価で手頃なアウトドア用品が好まれるようになりました。その影響もあり「小川テント」は経営難に陥り、2011年に破綻。しかし『オガワ』ブランドはさまざまな企業の支援を受けて今に引き継がれているのです。
現在『オガワ』ブランドを引き継ぐ「キャンパルジャパン」は、「小川テント」時代のDNAをしっかり引き継いでいます。現在のテントのラインアップは、以前のモデルをしっかり継承しながらブラッシュアップしたものが揃っています。前述の「オーナーロッジ」は今も新作が登場するや即完売となる人気モデル。その他、ツールームテントの「ティエラ」、ワンポールテントの「ピルツ」など、どのモデルも廃盤になることなく販売されています。
さらに『オガワ』ブランドのすごいところは廃盤モデルもすべて永久保証(ただし製品の劣化や破損の具合によって不可能な場合もあり)している点です。愛着あるテントを大切に使うため、修理や部品の管理体制を万全に整え、アウトドアを愛する多くの人々を支えています。
『オガワ』のテントの特徴とは
『オガワ』のテントのラインアップはソロキャンプ用の小型テントより、ファミリーキャンプ、グループキャンプ向けの大型テントが多く揃っています。今どきのキャンプはオートキャンプが主流ですから、持ち運びやすさよりも、居住性に特化したテント作りに注力していることがわかります。
代表作ともいえるロッジ型の「オーナーロッジ」、ドーム型のツールームテント「ティエラ」、大型ワンポールテント「ピルツ」は、それぞれシリーズとして進化しながら継承されているモデルです。さらに避難生活者用テントをリリースしているところなど、アウトドアメーカーとは一味違うテントへの本気度が伺えますね。
さらに今季は満を持してソロ用ワンポールテントもリリース。居住性を考慮し、完全なソロというよりも、余裕のある2~3人用として開発しているところが『オガワ』らしいところでもあります。
何を重視する? 『オガワ』のテント、3つの選び方
『オガワ』のテントを実際のキャンプ使いの候補とする場合、どのような選び方ができるでしょうか。もちろん使う人数で選ぶというのも1つの方法ですが、やはり『オガワ』らしいモデル選びをしてほしいと思います。そのあたりをご紹介しましょう。
選び方1
「小川テント」の歴史を受け継ぐ名モデルを選ぶ
「小川テント」が1961年に販売開始した「オーナーロッジ」は1980年代に、ほぼ今の形に落ち着きました。その後もリファインを繰り返して進化し続け、最新モデルは「オーナーロッジ タイプ52R T/C」。インナーテントにT/C素材(コットン×ポリエステル混紡素材)を採用することで、通気性に優れるため乾燥しやすく、シワになりにくいという利点が。初回入荷モデルは即完売となり、次の入荷が待たれるほど人気です。
選び方2
ファミリーキャンプの王道なら2ルームテントがおすすめ
寝室とリビングスペースを一体化した2ルーム型のテントも「小川テント」時代から受け継がれたものです。大型で居住性の高い「オーナーロッジ」にインナーテントを入れて寝室を作り、残りの空間をリビングスペースとしたことが2ルームテントのベース。その後、2003年に発売された「ティエラ」シリーズは、今もファミキャンの人気モデルとして毎年新作が登場しています。
選び方3
設置のしやすさで選ぶならワンポールテント
センターポール1本で立ち上がるワンポールテントは、今でこそ多くのメーカーがリリースしていますが、1937年には「小川テント」の前身である小川治兵衛商店の「八錐型天幕」としてすでに商品化されていました。2009年に誕生した「ピルツ」シリーズは、そのDNAを継承するワンポールテントとして、最も有名なモデルとなっています。
これを選べば間違いなし。『オガワ』のおすすめテント10選
それでは実際に今買える『オガワ』のテントのラインアップをご紹介します。ソロから2~3人対応のコンパクトテント、ファミリー&グループ向けの大型テントといったように、わかりやすくサイズ別にピックアップしました。
▼タイプ1:ソロ&ペア向けコンパクトテント
まずは今流行りのソロキャンプから、親子2人、カップルといった少人数向けのテントです。『オガワ』 のテントは大型のイメージがありますが、山岳登山用の小型テントもあるんです。
アイテム1
ワンポールテント タッソ
センターポールの高さを変更することで、直径370cmの六角形から480cmの八角形まで変形するフライシート型のテント。某白クママークのテントなら、余裕で4~5人サイズですが、この大きさでもソロまたは2~3人での使用を推奨するのが『オガワ』ならでは。床がないので、コットやインナーテントの用意が必要ですが、六角形のときには「ツインピルツフォークL」のハーフインナーが利用できます。
アイテム2
ドームテント ステイシー ST-2
ソロ用ドームテントとしてロングセラーモデルの「ステイシー」シリーズの最新モデル。前室があるので、荷物や靴が夜露で濡れることがありません。サイドファスナーはパネルのエンドとゴムのループで連結されているのでパネルを開いたときにも裾が汚れないなど、これまでユーザーが個人的に工夫してきた機能を搭載。よく考えられた作り込みがされています。
アイテム3
2ルームテント ティエラ リンド
2ルームテントの最小最軽量モデル。小さくてもしっかり寝室と前室を備えています。3人用ですが、親子2人、カップルで使うのにちょうど良いサイズ感です。室内も170cmの高さゆえ、ヘッドクリアランスも十分。ポールをフライのスリーブに通す一般的な方式ではなく、ポールを組み合わせて自立したフレームにフライをかぶせる方式のため立てやすさも抜群です。
アイテム4
エアフレームテント ムース
2人用のドーム型テントは金属ポールではなく、空気を入れることでフレームを構成するエアフレーム方式は『オガワ』初のモデル。フライシートのままでシェルターとして使うこともできるうえ、吊り下げ式インナーテントを使えば居住性も安定します。エアーポンプを持っていく必要はありますが、ポールが付属しないので幕体自体は軽量です。立ち上げも簡単なので、重たいテントの持ち運びや設営の面倒を考慮するなら選ぶ価値ありますよ。
▼タイプ2:ファミリーキャンプに最適なミドルクラステント
スペック上は3~4人用、実際は大人2人、子供2人ぐらいでちょうど良いファミリーキャンプ向きのテントをご紹介します。最も使い勝手の良いカテゴリです。
アイテム5
ドーム型テント ピスタ34
跳ね上げ式前面パネルのドーム型テントは、オープンエアでリビングスペースを使えてフィールドを思い切り楽しめます。2本のポールをフライシートのスリーブに通すクロスフレーム構造は初心者でも設営が簡単。オプションの「ドームシェルターラナ」とドッキングすれば、大型2ルームテントとして活用できるので、シーンに合わせて使い分けも可能です。
アイテム6
2ルームテント ファシル
全方向フルメッシュで快適な2ルームテントは、左右対称なデザインが美しいモデル。一般的な2ルームと違い、吊り下げ式のインナーテントが、左右どちらにも設置できるので、設営時に入り口の向きを気にしなくて済むのはかなり便利。しかもインナーを外した状態なら、シェルターとして仲間で食事したり語らったりと多目的に使えます。
アイテム7
モノポールテント グロッケ8
「グロッケ」は五角形のモノポールテントのシリーズ。「8」は幕体にリップストップナイロンを使うことで、軽さと耐久性を備え、女性でも簡単に持ち運びと設置ができるようになりました。壁の立ち上がりが72cmもあるので室内の広さを十分に感じられます。バスタブシートの採用でグランドシートに砂や虫が入り込みにくいのも、女性や小さなお子さんのいるキャンプにはうれしい仕様です。
▼タイプ3:仲間とわいわいグループキャンプ用の大型テント
仲の良い友達同士や家族同士でキャンプに行くとき、テントを持っていなくても寝袋や毛布さえあれば雑魚寝できる大型テントはとっても便利。寒い季節のデイキャンプや、夏場のシェルターとしても使い方はいろいろ。『オガワ』はこのサイズの大型テントがとても豊富なんです。
アイテム8
オーナーロッジ タイプ52R T/C
『オガワ』テントのオリジナリティを最も強く打ち出すロッジ型テント。居住性を重視して、壁と屋根を持つフレーム構造は、総重量は少々重いですが、快適なキャンプを楽しめます。吊り下げ式のインナーテントでワンルーム仕様ですが4面メッシュで通気性が良く、暮らすようにキャンプできる優れモノです。
アイテム9
2ルームテント ティエララルゴ
2ルームテント「ティエラ」シリーズ最新モデル。よく比較される『スノーピーク』の「ランドロック」より横幅が1mほど小さいので、その分区画サイトで焚き火などするスペースを広く取れるのがポイントです。細身な分、風向きをきちんと考慮すれば耐風性にも優れるといえるでしょう。「ランドロック」との大きな違いは、ポールをフライシートのスリーブに通すのではなく、フレームを組み立ててからフライシートをかぶせるところ。これは好みともいえますが、こちらのほうが初心者には設営しやすいかもしれません。
アイテム10
ワンポールテント グロッケ12
先程ご紹介した「グロッケ8」の大型版。入り口が大きく、しかもひさしが付いているので雨の日の出入りも、室内に雨が入り込みにくく作られています。別売りのハーフインナーテントを吊り下げれば、室内を2分して寝室とリビングスペースを作ることもできて、ワンポールテントの室内レイアウトがしやすくなります。
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ビジネススタイルからアウトドアまで幅広く執筆
池田 やすゆき
「FINEBOYS」編集部を30歳で独立。以後フリーのファッションエディター&ライターとして「MEN’S EX」「LEON」「GQ」「AERA STYLE MAGAZINE」など各メンズ誌・WEB版のほか、企業広告、オウンドメディアにて執筆。BBQインストラクター、第二種電気工事士など資格多数。目下の目標は危険物取扱者乙種4級取得。