ジムフレックスのシャツはなぜ大人に支持されるのか?
スポーツウェアに端を発する英国の老舗ブランド『ジムフレックス』。興味深いのは、シャツが人気アイテムの1つであるということ。高支持を得るそのワケとはいったい?スポーツウェアが出自の『ジムフレックス』が作る、“ならでは”の魅力とは
『ジムフレックス』の誕生は1936年。もともと英国軍学校用の体育ショーツを生産し始めたのがきっかけだ。それもあり、質実なモノづくりが彼らの基盤にある。その後、’60年代にはスポーツ店や百貨店へと販路を拡大しブランドとしての地位を確立。’90年には日本初上陸を果たし、両面編みのカットソーは好評を得た。そのほかにもラグビーシャツやポロシャツなど、英国の伝統をつぶさに感じさせるアイテムがラインアップする。
そして、2013年春夏よりスタートしたのが、スポーツウェアをベースにしつつ、日常着へと昇華させたシリーズ「ロッカールーム」。代表作の1つに挙がるのが、アイコンのグリフォン刺繍をあしらったシャツだろう。コシの強い生地は屈強で、身に着けるたびに柔らかさが増して体へすんなり馴染んでくれる。何より基本に忠実なパターンやデザインは高い汎用性を生み、種類もとにかく豊富。我々にとって非常に取り入れやすいアイテムといえるだろう。
『ジムフレックス』のおすすめシャツ10選
『ジムフレックス』のシャツは、色、柄、ディテールの違いなどを含めると、実に種類が豊富。そして、どれもが汎用性に富み、屈強にしてオールマイティ。そのため、1枚持っておくだけで大いに重宝する。なかでも“これぞ”というべき厳選10枚をお届けしたい。
アイテム1
バンドカラーシャツ ECP MEN
ポリエステル×コットンから構成される、ブランドオリジナルのチェックブロード生地。軽量かつシワになりにくいファブリックなので、さらりと気楽に袖を通せそうだ。加えて、速乾性が高いのもポリエステルMIXならではの長所。すっきりしたバンドカラー仕様で、ゆったりめながら野暮ったさを感じさせないのも技あり。
アイテム2
長袖ボタンダウンシャツ YOX MEN
繊維長が長い高級綿、スーピマコットンを惜しみなく使用したオックスフォード生地。しなやかな風合いとほんのりとした光沢感を併せ持っていて、シンプルながらも大人っぽい雰囲気を放つ。胸元にはブランドアイコンであるグリフィンのワンポイント刺繍をオンし、さりげなく“らしさ”をアピール。
アイテム3
リネンクロスシャツ
フランス・ベルギー・オランダにまたがるフランダース地方で栽培された、最高品質のフランダースリネンを使い仕立てた1枚。麻特有のざっくりとした軽さがある一方、ほのかに上品さも漂わせる。シワが付いてもサマになる気軽さもリネン素材の強みなので、洗い晒しのままサラッと羽織りたい。
アイテム4
長袖ボタンダウンシャツ TSS MEN
素材に使われているのは上質コットンとして世界的に名高いエジプト綿。糸表面の毛羽を焼く“ガス焼き”という工程によって、シルクのような光沢感を持たせているのもこだわりだ。ゆるすぎず・細すぎずのスタンダードなフィット感で、きれいめコーデからカジュアルスタイルまで柔軟に対応してくれる点も高評価。
アイテム5
チェックフリースシャツ
アウトドア素材としてお馴染みのフリースを活用。保温性に優れたマテリアルなので、少し肌寒い日などに重宝しそう。ふんわりとした、包み込まれるような肌触りも抜群だ。形は今季らしい肩の落ちたリラックスフィットで、コーデに抜け感を演出することが可能。フロントは脱着のイージーなスナップボタンとなっている。
アイテム6
T/Cチェックシャツ
1960年代の古着をモチーフとした雰囲気の良いチェック生地は、日本の機屋にて製作。薄く柔らかな気持ち良いタッチも、夏コーデに取り入れるうえで好都合だ。ポリエステル×コットンの生地だけあって、速乾性や防シワ性に関しても非常に優秀。シックなモノトーン配色を生かすなら、品行方正なスラックスと組み合わせるのも1つの手だ。
アイテム7
長袖ボタンダウンシャツ COD MEN
エイジングを楽しみやすい、ライトオンスのシャンブレーシャツ。着ていくとどんどんコクが増し、自分だけの1着へと仕上がっていく。さらに、タックインとタックアウトのどちらにも対応できる絶妙な着丈感も見どころ。アメカジっぽいコーデに合うのはもちろん、テーラードジャケットのインナーとしてもおすすめ。
アイテム8
バンドカラーシャツ MUP MEN
高密度に織り上げられたタイプライタークロスを使っているため、光沢とハリのある風合い。トラッドなストライプ柄も手伝って、端正な面持ちだ。ただし、シルエットは程良くゆったりとしていて、堅苦しいイメージは皆無。ショーツのような軽やかなボトムスと合わせ、メリハリ良く着こなすのも面白そう。
アイテム9
リネンボタンダウンシャツ
きっちりとした印象のある白シャツも、ニュアンスの良いリネン100%素材だとどこかあか抜けたムード。品の良さを担保しつつ、涼しげな着こなしに帰結させられるのも利点といえるだろう。ボタンを上まで留めてとことんスマートに攻めても良いし、カットソーの上から羽織って力みなく着こなしてもOK。
アイテム10
『ビショップ』別注 半袖ビッグプルオーバーシャツVTW MEN
人気セレクトショップによる別注モデルは、ボタンダウン型のシャツでは珍しいプルオーバー仕様。さりげなく周囲との差別化を狙える、小粋なルックスの1枚だ。バイオウォッシュ加工の着慣れ感あるツイル地や、たっぷりとゆとりあるサイジングなど、リラクシングなアプローチもカギとなっている。
『ジムフレックス』のおすすめシャツを取り入れたコーディネートサンプル
『ジムフレックス』のシャツは、オーソドックスゆえにオールマイティに使える。それは逆を言えば、“無難”と捉えられなくもない。そうならないための解決の糸口を、うまく取り入れながらさりげなくしゃれた雰囲気に見せている洒落者たちから学びたい。
コーデ1
ベーシックなコーデはシャツのサイズアップで洒落感増長
シャツをサイズアップさせ、羽織りとして取り入れればいつもの姿とはまた違った印象になる。こちらはその好例。大きめサイズは時にダラッとした印象になりがちだが、それをクリーンな白Tで回避した点も技あり。きれいめなボトムスとレザーサンダルでさりげなく品の良さもプラスしている。
コーデ2
シャツの素材感で個性的なボトムスを味方にする
透け感のある軽やかなシャツは、それだけでもリラックスした雰囲気を演出可能。絶妙なのは、さらに個性的なイージーパンツの“アク”を抑える役として機能させていること。パンツのカラーを拾ったきれいめなインナーもその効果に一役買っている。
コーデ3
オーバーサイズのシャツをニットベストで馴染ませる
こちらもまたシャツをたっぷりとしたサイジングで着用し今っぽさを表現。ボトムスは細身を選び、上下のメリハリをつけながら重たい雰囲気を払拭している。特筆すべきはビッグサイズのニットベスト。品を損なわず、大柄なシャツを生かした最良の一手。
コーデ4
ショーツコーデはカラーシャツで大人らしく
リネン素材のシャツは軽快な着心地ゆえ盛夏でも羽織りモノに良いが、シックなネイビーを選ぶことでそのリラックス感をひた隠しにし、凛々しい姿を演じた。白のボーダーTでセンターに奥行きを作りながら、ショートパンツにチャコールグレーを選んで大人っぽさを漂わせている。
コーデ5
サイジングとシルエットでアメカジを新鮮に
バッファローチェックのシャツにコーデュロイパンツというアメカジの王道にして潔いシンプルなスタイル。このコンビは得てして野暮ったくなりがちだが、トップをジャストフィットかつバンドカラーですっきりさせ、テーパードラインで脚をスマートに見せたサイジングの妙ですべてを解決。
無類のスポーツ好き。得意ジャンルは革靴
菊地 亮
地方の出版社にて編集を経験した後、独立。フリーのエディター・ライターとしてメンズファッションを中心に、スポーツ、グルメ、音楽など幅広い分野で活動。現在は、生まれ故郷である岩手県、そして東北の魅力を発信すべく東奔西走中。