メスティンはソロキャンプの万能クッカー。使い方や調理例を徹底解剖
キャンプの食事はダッチオーブンやBBQが定番かもしれませんが、ソロキャンプは簡単で便利なクッカー使いが基本。その万能ギアといわれる「メスティン」の魅力に迫ります。アウトドアの万能調理器「メスティン」とは何なのか?
メスティンとは、スウェーデンのトランギア社が作っているアルミ製調理器具(クッカー)のことを指すのが一般的。深さのあるお弁当箱のような形が特徴で、取り外し可能な折りたたみ式のスチールワイヤー製ハンドルが付いています。アルミは熱伝導率が高く、ガスバーナーや焚き火より火力の小さいアルコールバーナーや固形燃料でも高温調理が可能。ご飯を炊くのはもちろん、パスタを茹でたり、煮込み調理をしたり、これ1つであらゆる調理が手軽に楽しめるのです。
ハンドルを取り外すとお弁当箱サイズに収まるので携帯性も抜群。ハンドル以外にもアルコールバーナーやゴトクを収納することもできます。いろいろな調理に使えるうえ、コンパクトに収納できて携帯性にも優れているとなれば、ソロキャンパーなら取り入れない手はありませんよね。さらに最近では、コロナ禍の外出自粛の影響でおうちキャンプを楽しむ方が増え、テーブル上で調理できるクッカーとしても人気を集めています。
メスティンレシピの料理本が登場するほど人気に拍車が掛かっており、完売御礼が続いています。そういうわけでトランギア社のメスティンは、多くのECサイトやオークション、フリマアプリでも高値取引されているんです。
ちなみに、メスティンの日本の正規代理店は火器専門商社のイワタニ・プリムス。トランギア社のメスティンは、ハンドルの取り付け位置の刻印が目印です。オプションで、蒸し器やスモーカーとして使うときに便利なメッシュトレイやハンドルカバーもリリースされています。他社製品も「メスティン」の名称で販売されているものがありますが、本家に劣らない便利な機能が付いた使い勝手の良いものが揃っているんです。そこで今回はスクエア型のアルミクッカーを「メスティン」と総称して、使い方やレシピ例を紹介してみたいと思います。
メスティンを使用する際のワンポイント
どんなギアでも、心地良く使うためにお手入れは肝心。そこでメスティンを使用する際に気を付けたいポイントをご紹介します。
ポイント1
新品のメスティンは縁周りのバリを取って使う
トランギア社のメスティンは、1枚のアルミ板を打ち抜いて作る昔ながらの製法ゆえ、個体差があり、口縁が滑らかに整えられていないものがあります。そのため購入したら、縁周りを必ずチェック。バリ(加工する際に発生する突起)があるようなら紙やすりなどで滑らかに研磨してから使うことが推奨されています。そのままだと、洗うときなどに指を切りかねませんのでご注意ください。他メーカーのメスティンも同様ですが、この仕様を改良して口縁が滑らかに処理されているものも多いようです。
ポイント2
アルミの金属臭はシーズニングをして取る
メスティンをそのまま使うと、アルミ臭が気になったり、肉など炒めたときに焦げてこびりついたりします。そのため、使用前にシーズニングを行って皮膜を張ります。メスティン本体と蓋が漬かるくらいの鍋を用意し、野菜のくずを水を入れて沸騰させたら、メスティンを入れて一緒に煮込みます。米のとぎ汁で煮込んでもOKです。このとき、白焼けすることもありますが、あまり気にしすぎる必要はありません。またシーズニング後も、臭いが気になったり、焦げ付きや炎の焼き跡が目立ったりすることも。しかし、メスティンは使い込んで味が出てからが完成品ですので、それほど神経質になることはありません。
ポイント3
火に掛けたら軍手で持つか、ハンドルカバーを使うこと
メスティンには折りたたみ式のハンドルが付いています。これは本家、他社製品ともに同様ですが、金属なので火に掛けるととても熱くなります。火力が強いとハンドルに火が接していることもあるので、必ず軍手などのグローブを使うようにしましょう。または、オプションのハンドルカバーを使用すること。稀にタオルでつかむ方がいますが、タオルの端が火に触れて燃えることがあるので大変危険です。
ポイント4
焦げ付きや白焼けは気にしすぎない
アルミのメスティンは一般的なアルマイトのコッヘルや鉄鍋系のダッチやスキレットと違い、火に掛けたり調理したりすると、焦げ付いたり、白く変色(白焼け)します。酢で煮ると落ちるとか、いろいろな裏技はあるようですが、そうして毎回元通りに修復するのはナンセンス。気軽に使い、使い込むほどに焦げ付きにくく、味が出るのがメスティンの魅力。いつまでもきれいに使いたいのであれば、メスティンではなく、ステンレス製のクッカーやテフロン加工された調理器をおすすめします。
ちなみに、どうしてもメスティンをきれいに使いたいなら……
最初からきれいに使いたいというのであれば、テフロン加工をしてくれる業者に依頼するという手もあります。ハンドル以外を加工して、焦げ付きのないハイパーギアとして使うことができます。
メスティン1つでアウトドア料理はここまでできる! 参考にしたい調理例
熱伝導性の高いメスティンは、炊飯だけでなくパスタを茹でたり、肉や卵を焼いたり、煮物調理も簡単です。そんなメスティン料理をいくつかご紹介しましょう。
調理1
メスティンの基本、ご飯を炊く
メスティンはご飯を炊くのが得意です。蓋1杯分の米(約1合)に同量の水を入れ、約30分放置。米が水を吸った分を補う程度に少量の水を足し、バーナーで炊き上げます(約15~20分)。湯気の吹き出しが少なくなったら火を止め、タオルに包んで15分ぐらい蒸らすと芯のないおいしいご飯が炊き上がります。
調理2
炊き込みご飯はアレンジし放題
お米を炊く際に、いろんな具材を入れてみましょう。市販の炊き込みご飯の素を使うのも簡単ですが、鶏肉をそのまま入れて炊き上げると簡単に海南鶏飯が出来上がります。山菜やきのこなどを炊き込んでもおいしいですし、最近はトマトをまるごと入れて炊飯する「トマト炊き込みご飯」なんてのも人気です。
調理3
パスタは具材と一緒に茹であげます
メスティンでお湯を沸かしたら、塩と二つ折りしたパスタを投入。その際、レトルトのパスタソースを一緒に茹でて温めるのがキャンプ料理らしい調理法です。またパスタを茹でるお湯を少なめにして、ソーセージやマッシュルーム、コンソメや牛乳・生クリームなどと一緒に煮込んでクリームパスタにするのもおすすめ。
調理4
工夫次第で凝ったパエリヤやブイヤベースも!
メスティンではちょっと凝った料理だって可能です。魚介をふんだんに使ったパエリヤやブイヤベースだって作れちゃいます。自分好みにいろいろアレンジできるメスティンレシピは、キャンプ飯=男の料理ならではの魅力がありますね。
キャンプのお供はどれにする? メスティンのおすすめ10選
最初に述べた通り、メスティンとは本来、スウェーデン・トランギア社のアルミ製調理器具です。しかし最近では、同様の角型アルミ調理器具もメスティンと呼ばれています。本家はその簡易な作りが人気ですが、他社製品は補強がされていたり、バリ取りが不要だったり。それぞれに良さがあるのでご自身のお好みで選んでください。
アイテム1
メスティンの本家『トランギア』
トランギア社のメスティンは、大きさの異なる2タイプが揃います。ラージサイズは約3.5号まで、レギュラーサイズは約1.8号まで炊飯できます。ソロキャンであればレギュラーサイズで十分ですが、ファミリーキャンプならラージサイズがおすすめです。その他、ハンドルカバーが赤色になったタイプもあり、専用ケースや交換用ハンドル、シンデレラフィットするメッシュトレイなどもラインアップされています。
1枚のアルミ板を打ち抜いて整形するため、縁にバリが立っていたり、蓋と容器のフィッティングがいまいちだったりすることがありますが、何より本物ならではの味わいはシンプルを極めた男のギア。傷ついたり、焦げ付いたり、白焼けしたりしながら、じっくり育てるつもりで使うことをおすすめします。
他にもこんなブランドで見つかります!
トランギア社以外にも角型のアルミ製調理器具を製造しているメーカーがあります。本家よりアップグレードされた仕上がりのものも揃うので、ぜひチェックを!
アイテム2
『ミリキャンプ』MR-250
『トランギア』と同等もしくはややお買い得価格で手に入る『ミリキャンプ』のメスティンは、YouTubeでも「買ってみた」動画がいくつも挙がる人気モデル。熱伝導を軽減するハンドルカバー付き&ドイツLFGB食品安全検定済です。
アイテム3
『キャンパーズコレクション』MESS-1
リーズナブルで使いやすく高品質なキャンプギアが揃う山善のアウトドアブランド『キャンパーズコレクション』のメスティンは、信頼できる一品。こちらはしっかりバリ取りしてあるので、口縁で手を切る心配もありません。
アイテム4
『KVASS』アルミ飯盒
専用のステンレス製メッシュトレイが付属しているので、蒸し器として使えます。肉まんやあんまん、シュウマイや餃子も蒸せるのでアウトドア料理の幅が広がりますね。内側には白米の合数と水の量が量れる目盛り付きなので、ご飯を炊くのにも便利です。
アイテム5
『ニーラック』メスティン
本アイテムは楽天の人気ナンバー1メスティン。バリ取りがきれいにされている内側には、お米の合数に合わせて水量の目盛りが刻まれているのもうれしいポイント。持ち運び時に傷がつくのを防ぐ、専用袋が付属。炊飯時に蒸らす際、タオルの代わりにこの専用袋が使えます。
アイテム6
『FYPARF』メスティン
『FYPARF』は、アリババにも出店している雑貨商社です。『トランギア』同様、縁の下が凸構造になっていて蓋の安定性が高く、密閉性に優れているため、よりご飯がおいしく炊けます。さらにステンレストレイ、カトラリー、アルコールストーブ、専用バッグまで揃っていてお買い得。一気にひと通り揃えたい方におすすめです。
アイテム7
『LIVE IN NATURE』アルミメスティン
蓋にエンボス加工でブランド名を入れたデザインがポイント。サイズは、『トランギア』のレギュラーよりやや幅広ですので、炒め物や焼き物に便利そうです。2020年9月末販売開始につき、予約受付中。
アイテム8
『YMCLKY』メスキットパン
米軍が使っていたメスティンタイプのクッカーを忠実に再現したオリジナルの形状。ステンレス製なので錆びにくく、焦げ付きにも強いのが特徴です。蓋の裏は2つに仕切られたプレートのようになっているため、料理を取り分けたり、汁物と焼き物を区別して盛り付けたりするのにも便利です。
アイテム9
『シャスタ』取っ手付きランチボックス
こちらのステンレス製の蓋付きボックスはお弁当箱としての製品ですが、ハンドル付きでクッカーとしても使えるのでメスティン同様。熱伝導性はアルミより劣るのでアルコールランプでの使用は難しいかもしれませんが、バーナーを用意しておけばOKです。
アイテム10
『トレスパス』アルミメスティン
スタックできるアルミ製メスティンが2つセットでこのお値段! 蓋がないので炊飯はできませんが、大きいサイズなので、料理用クッカーとして使い勝手は良さそうです。煮物や炒め物に威力を発揮しそう。
アウトドア以外にも。弁当箱として活用するのもおすすめ
メスティンはクッカーとしてだけでなく、弁当箱としても有用です。毎日の弁当用に使いながら、自宅で調理をしたり、休日にはアウトドアに持ち出したりと使い方はさまざま。味が出るまで使い倒したら、小物入れや道具箱にして、また次のメスティンを買うというのが、男のギアとしても楽しめる使い方だと思います。
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