ダッチオーブンで料理上手に。屋内でも屋外でも、一目置かれる男になる
食材を入れて焚き火にかけるだけで極上のローストチキンから無水調理のカレーまで作れてしまうダッチオーブン。男の料理にぴったりな、ダッチオーブンの魅力に迫ります!まさに万能鍋。屋内外で活躍するダッチオーブンは男の調理器具だ
簡単に本格的な料理が作れるとあって、キャンプで大活躍の調理器具、ダッチオーブン。分厚い鋳鉄で作られた鍋と蓋のおかげで、遠赤外線効果によって食材の芯までムラなく熱を通しつつ、水分を逃すことなく仕上げられるのがおいしさの秘密です。加えて、蓋の上に炭火を乗せることでアウトドアオーブンとして使えるのも魅力の1つ。ちなみに、ダッチオーブンを野外専用だと思っていたら大間違い。自宅のキッチンでも活用すれば、家にいながらにしてキャンプ気分を味わいつつ凝った料理だって作れてしまうのです。
焼く・煮る・蒸す・燻すetc.。ダッチオーブンで作れる料理とは
ダッチオーブンの真価を知るためには、まず定番のローストチキンを作ってみてはいかがでしょうか。塩胡椒やハーブで下味をつけた丸鶏に、ジャガイモやニンジン、玉ねぎなどの野菜を入れ、炭火で1時間~1時間半ほど加熱し、余熱で30分ほど熱を加えればOKです。蓋の上に炭を置けば焼き目も美しく仕上がり、ジューシーなおもてなし料理の完成! 自宅のコンロで作る場合は最初は強火で湯気が出てきたら弱火~中火にして、余熱の時間を少し長めに取れば良いでしょう。盛り付けず鍋のまま食卓に出せば、写真映えしつつ洗い物の数を減らせます。
煮物やスープ料理の鍋としてだけでなく、炒め物やピザやパン作りまで、万能調理器具として使えるのがダッチオーブンの魅力。さらには底に網やアルミホイルを敷けば、燻製グッズとしても使えます。キャンプならばじっくり燻製に挑戦するのも良いですが、自宅で挑戦してほしいのが蒸し料理。鍋に底上げ用のネットをセットし、伊勢海老やカニ、ムール貝やなどを放り込んで蓋をして火にかけるだけで、あとは食材から出る水分で蒸し焼きに。水を一滴も加えないので、旨味が逃げず風味豊かに仕上がります。お好みでケイジャンスパイスやトマト缶で作ったルイジアナ風のソースを絡めれば、流行り中のダンシングクラブ風手づかみシーフード料理の完成です。
難易度順に把握。ダッチオーブンの素材と長所・短所を把握
ひと口にダッチオーブンといっても、現在はステンレスから鋳鉄、さらにはカーボン製までさまざまな素材のモノがリリースされています。素材ごとにメリットとデメリットが存在するため、ここでは手入れや取り扱いが簡単な順にそれぞれの特徴をご紹介していきます。
素材1
まず気軽に試したいなら、ダッチオーブンは「ステンレス」を選ぶべし
自宅のキッチンで使用するのがメインなら、第1候補はステンレスでしょう。洗剤で洗うことができ、IT対応の製品も多いのがその理由です。また鋳鉄製と比べて軽く、後述するシーズニングや使用後の油の塗布も必要ないため、毎日のお手入れが簡単なのも魅力です。デメリットは鋳鉄製と比べると保温性や遠赤外線効果が低いため、火加減のコントロールが難しく、熱ムラが起きやすいこと。また、他の素材に比べて焦げが鍋に付着しやすいのも短所かもしれません。そこは見た目の問題なので、気になるなら重曹水に漬け込むことでこそぎ落とすこともできます。
素材2
手軽に鉄製ならではの調理性能を楽しめる「黒皮鉄」製
鉄製ダッチオーブン共通のデメリットは、油切れによる錆び。ゆえに完全に油を落としきってしまう洗剤の使用は基本的にNGです。そのため、使用後は水を張って火にかけることで汚れを浮かせたり、たわしや竹ブラシでゴシゴシ洗ったりする必要があります。しかし、黒皮鉄製のダッチオーブンは鋳鉄製の本体に酸化皮膜を施すことで防錆性を向上させており、洗剤の使用がOK。ただし、錆びにくいといっても使用後に油を塗る必要がありますし、初めて使用する際は防錆剤を落としてシーズニングする必要があるのでご注意を。なお、黒皮鉄製は鋳鉄製のように“ブラックポット”の状態まで育てる楽しみがない、という人もいます。しかし、鋳鉄製と比べて落としても割れにくく、急激な温度変化にも強いため、やはり初心者におすすめです。
素材3
タフ&ライトで鉄ならではの味を楽しめる「ダクタイル鋳鉄」
最近登場したのが、ダクタイル鋳鉄製。従来の鋳鉄製のダッチオーブンは溶けた鉄を型に流し込んで作るため、強度を確保するためには厚みが必要でした。しかし、このダクタイル鋳鉄は組織中の黒鉛の形状を調整し強度や延性を確保することで鉄製ながら薄手に作ることができ、従来製品と比べて2倍近い軽量化を実現しています。また、鉄製のダッチオーブンはヒートショックといって高温に熱せられている状態で水につけると割れてしまう恐れがありますが、ダクタイル鋳鉄は比較的ヒートショックにも強くなっているのが特徴です。お手入れに関しては鋳鉄製に準じるため、適宜シーズニングや使用後の乾燥&油の塗布が必要で、新しい素材のため製造しているメーカーが少なくやや高価なのが難点です。
素材4
ダッチオーブンといえば。育つ喜びを楽しめる「鋳鉄」製
蓄熱性や保温性が高く、無水調理が可能という、ダッチオーブンのスタンダードといえるのが鋳物に植物油を塗って熱を加えることで皮膜を作った鋳鉄製。初めて使用する前は空焼きして野菜を炒めるシーズニングという工程が必要で、使用後は毎回洗剤を使わずに汚れを落とし、油を塗って保管しなければ赤錆がすぐに発生してしまいます。また、熱した状態ですぐ水につけると割れる可能性があったりするなど、ダッチオーブンにつきまとう「手入れが面倒」というイメージは鋳鉄製の製品によって生まれたものなんです。しかし、適切に手入れを行った鋳鉄製のダッチオーブンは黒光りするブラックポットという状態になり、その状態にまで育てあげると油を使わずとも焦げつかず、使用後に頻繁に油を塗らずとも錆びが発生しなくなります。その状態まで育てる楽しみこそが、この素材の魅力でしょう。
何を作るかで考える、ダッチオーブンのサイズ
自宅での使用を想定するなら、キッチンに合わせてサイズを選ぶ必要があります。豪快に丸鶏やラムのラック(骨付きリブロース)を入れて調理したいのであれば大きめの12インチ、4人用のカレーであれば10インチもあれば十分です。また、ダッチオーブンといえば丸型が主流ですが、アクアパッツァなどの魚料理をしたいときは楕円形のオーバル型も検討したいところ。また、魚焼きグリルに入るサイズの角型もラインアップされているため、用途に合わせて大小を用意しておけば調理の幅も広がるでしょう。
人気ブランドから網羅。初めての方にもおすすめのダッチオーブン10選
キャンプ道具やキッチングッズは選ぶ時間も楽しいものです。とはいえ、今はさまざまなブランドからダッチオーブンがリリースされていて、迷ってしまうことも。そこでアイテム選びの参考になるように、おすすめのブランドをご紹介していきましょう。
アイテム1
『ロッジ』ロジック キャンプオーブン
1896年にアメリカのサウス・ピッツバーグで誕生した『ロッジ』は鋳鉄製ダッチオーブンの老舗中の老舗。この「ロジック」シリーズはあらかじめシーズニングが施されているため、鋳鉄製ながらすぐに使用が可能です。足つきタイプのため炭火の上に置いても安心ですが、自宅で使用する場合はコンロの五徳と干渉しないかどうかチェックしておいたほうがベターです。
アイテム2
『ユニフレーム』UFダッチオーブン
衝撃やヒートショックに強く錆びにくい黒皮鉄を使用したダッチオーブン。無水調理のキモである蓋と鍋の噛み合わせも非常に精密で、X字のハンドルのおかげで焚き火ハンガーに吊るしたときも安定するなど細かなところに配慮が行き届いているのは、ジャパンブランドの『ユニフレーム』だからこそ。
アイテム3
『スノーピーク』和鉄ダッチオーブン
強靭で粘りのあるダクタイル鋳鉄を使用することで2.25mmの薄さを可能にし、リッドとポットを合わせても約5.5kgとステンレス製並みの軽さを実現。耐熱シリコン塗装が施されているため焦げつきにくく、洗剤を使う必要もありません。ITヒーターにも対応しており、自宅からキャンプまで本格的なダッチオーブン料理を楽しめます。
アイテム4
『ソト』ステンレスダッチオーブン8インチ
ステンレス製の本命が『ソト』のダッチオーブン。2人暮らしの家庭にもぴったりの8インチサイズで、シーズニングや使用後の油の塗布も不要のため、通常の鍋と同じ感覚で使用が可能です。また、十分に慣らしを行っていない鋳鉄製は料理に鉄臭さが移ることもありますが、ステンレス製ならその心配は不要。両手鍋でさらにハンドル付きなため、家庭からキャンプまで活躍してくれます。
アイテム5
『チャムス』ダッチオーブン
人気アウトドアブランド『チャムス』のダッチオーブンの最大の特徴は蓋に施された脚。蓋を単独でグリルプレートとして使うときも蓋部分を裏返して炭火や薪を下にセットできるため、安定感抜群です。ブランドアイコンであるブービーバードの足跡マークもポップなアクセントになっています。
アイテム6
『キャプテンスタッグ』角型ダッチオーブン
幅270×奥行170×高さ120mmというコンパクトさで、B5サイズの焚き火台にぴったりの角型ダッチオーブン。1~2人用にぴったりのサイズで一般的なトースターにも入れやすく、オーブンがない家庭でも気軽に天火を使った料理を楽しむことが可能です。また、蓋は裏面に凹凸がつけてあるため、焼肉用プレートとして使用すれば、余分な油を落としておいしく仕上がります。
アイテム7
『及源鋳造』ダッチオーブン 天火
南部鉄器の老舗『及源鋳造』がアウトドアクッキングアドバイザーの菊池富二夫氏と共に作ったダッチオーブンは自宅で使いやすい直径24cmに、浅型のポットとスキレット兼用の蓋を採用。それぞれを独立して使うことも可能で、片手付きのため扱いも簡単なんです。超強火にも耐える南部鉄器のため、カンカンに熱してチャーハンを作れば驚くほどパラパラに仕上がります。
アイテム8
『ロゴス』 LOGOSの森林 スモークポット
人気アウトドアブランド『ロゴス』のダッチオーブンは、スモーカーとしての使用を想定し、スモーク用のウッドブロックが入りやすい縦長サイズを採用しつつ、スモーク用のスタンドネットも付属。蓋を裏返すことで温燻と熱燻の両方が可能で、33.5cmの幅を生かせば魚の調理にも使えます。
アイテム9
『岩鋳』マルチオーブン30
南部鉄器らしい厚みのある鋳鉄を使用しつつ、塊肉でも調理しやすいいオーバル型を採用したダッチオーブン。さらに横長の蓋部分は、グリルプレートとして使うときにも非常に優秀です。油を落としながら周囲に溜めていく構造になっているため、ラム肉を焼けばジンギスカンも楽しめます。五徳や中敷きにもなるロストルが付属しているのもうれしいポイント。
アイテム10
『バーミキュラ』オーブンポットラウンド
実は『ストウブ』や『ル・クルーゼ』などの琺瑯引き鋳鉄製のポットもダッチオーブンの一種。ただし蓋の取っ手の耐熱温度に限りがあったり、温度が急激に上がると琺瑯の割れや変色を招いたりと、キャンプでの使用は少し注意が必要です。その中で最もおすすめなのが『バーミキュラ』。取っ手の耐熱温度は300度と類似品の中で最も高いためオーブン利用も問題なし。琺瑯が割れた際もリペアサービスに出せば塗り直しを行ってもらえます。
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