壁掛けしたり吊したり。コウモリラン(ビカクシダ)の育て方と飾り方
コウモリラン(ビカクシダ)は、近年インテリア好きの間でブームとなっている観葉植物です。インテリアのアクセントとして、癒やしとして、取り入れてみませんか?コウモリラン(ビカクシダ)ってどんな植物?
コウモリランは熱帯、亜熱帯地域に分布し、樹木の幹に着生する着生シダ植物です。鹿の角のようなフォルムの葉ということもあり「ビカクシダ」という名称でも流通しています。コウモリランには、写真のようにコルクや板に付けられたもの、そして鉢に植わっているものなどがあります。そのワイルドな見た目に加え、壁掛けしたり吊したりして室内で育てることができるため、インテリアグリーンとして人気を集めています。
特徴的な2種類の葉を持つコウモリラン。1つはお椀のようにふっくらとした形で株元に張り付くように生える貯水葉(ちょすいよう)、もう1つは鹿の角のようにシュッと飛び出した胞子葉です。
さまざまな種類があるコウモリラン。代表的な6種類はこちら
コウモリランには、葉の形が細めのものから、幅の広くて大きいもの、長いのものなど、さまざまな種類があります。仕立て方や好みのタイプを選ぶのも良いですが、育てる環境に合わせて選ぶと管理がしやすいんですよ。以下では、お店でも見かける代表的な種類をご紹介します。
種類1
ビカクシダ・ビフルカツム
コウモリランの中でも特にメジャーでホームセンター、園芸店、インテリアショップなどでも手に入りやすい「ビフルカツム」。「ビカクシダ」のみの名前で販売されていることもあります。丈夫で子株の付きが良いためコウモリランを初めて育てるという方にもおすすめ。プレゼントにも向いていますよ。
種類2
ビカクシダ・ネザーランド
先にご紹介した「ビフルカツム」の改良したものが、「ネザーランド」といわれています。「ビフルカツム」同様にホームセンター、園芸店などでの流通も多く、価格がリーズナブルで育てやすいこともあり、初めてコウモリランを育てるという方におすすめの種類です。寒さには強いほう。
種類3
ビカクシダ・ビーチー
シュッとした鋭く細めの胞子葉が特徴の「ビーチー」。成長すると葉先が割れてきます。胞子葉には星状毛(せいじょうもう)という白い毛が生えているので白っぽく見えるのも特徴的です。星状毛は触りすぎたりすると剥がれてしまい、戻ることはありませんのでベタベタ触らないように。乾燥や寒さに強いので、うっかり管理を忘れてしまいそう……という方にもおすすめです。
種類4
ビカクシダ・コロナリウム
ご紹介している中でもやや育てるのが難しい「コロナリウム」。ライトグリーンの胞子葉は葉先が深く切れ込んで分岐し、育てる環境に合えば胞子葉は2~3mくらいまで成長します。大きく育った姿は圧巻の存在感と美しさです。貯水葉も育つと波打つようなシルエットになっていきます。
種類5
ビカクシダ・エレファントティス
幅のある大きな胞子葉が特徴的な「エレファントティス」。まるで象の耳のような姿が名前の由来になっています。寒さには強くはないため、秋冬の気温が低い時期は温かい場所で管理してください。日当たりと風通しの良い場所が理想的です。
種類6
ビカクシダ・グランデ
他のコウモリランと違い、深い切れ込み入りの貯水葉が立っている姿が特徴的な「グランデ」。その名の通り、大きく育つコウモリランです。大きな貯水葉は、中心部から左右に広がり植え込み材を包み込むように育っていきます。大きく育った株は圧倒的な存在感を放ちます。
コウモリランの育て方。水やりや置き場所のポイントは?
次に、コウモリランを健やかに育てるために知っておきたいことをご紹介します。最低限これだけは覚えておいてほしいポイントとしては、育てる環境によって水やりの頻度が異なるということ。日々、様子を観察し、管理する環境に合わせて適宜調整してください。
ポイント1
湿度が大切。水やりは植え込み材が乾ききる前に
コウモリランは湿度を好みます。種類によっては乾燥に強い種類もありますが、カラッカラに乾いてしまうのはNG。植え込み材が水苔、土のどちらにせよ乾ききる前に水やりをしましょう。胞子葉がシオシオになってからではもう手遅れ……なんてこともあります。ジョウロやシャワーで水をたっぷりかける、バケツに水を張って漬け込むなど水やりの仕方はさまざまありますので、やりやすいスタイルで行ってください。とはいえ、水のやりすぎも良くはありません。その日のコンディションによって、水やりではなく、霧吹きで葉水をするなど調整をするように。日々、水苔や土が湿っていることの確認はお忘れなく。
ポイント2
水やりとは別に葉水も大事。霧吹きが便利
湿度を好むコウモリラン。適度な湿度を保つためには水やりだけではなく、霧吹きで湿度を与えることも大事です。気温の高い夏は乾燥が早いので、気が付いたたらカラカラ……なんてことも。冬場の室内も乾燥しているので、こまめに霧吹きして湿度を保つと良いでしょう。
ポイント3
寒さは苦手。暖かい屋内で管理を
5月から秋くらいまでの気温の高い時期は屋外で管理できますが、寒さには強くはないので気温が低い冬は室内で育てることになります。その際、気になるのが日当たり。できるかぎり日当たりの良い場所に置くのがベストではありますが、どうしても日光が足りない場合もありますよね。そういうときは、植物育成用のLEDライトを使うのも手です。
壁飾りに挑戦! コウモリランの板付けのポイント
最初からコルクや板に着生しているものが販売されていますが、自分で付けることもできます。ここでは必要なものと合わせて、コウモリランをコルクや板に付ける方法を簡単にご紹介します。鉢植えやポットに入ったものを板に付ける、育って増えた子株を付けるのもOKです。
土は使わず水苔を用意。水で戻してふわふわにする
コウモリランの植え込み材としてメジャーなのは水苔です。乾燥し圧縮した状態で販売されているので、水に浸けて戻してから使います。しっかりと水を吸わせるために使う数時間前から浸けて準備をしましょう。パッケージに表示のあるAの数が多いほど品質が良いとされています。
水苔を詰め、ひもで固定。傷つけないよう行うこと
貯水葉のラインに沿わせるように水苔を詰めます。コルクか板の上に水苔を山盛りにし、その上に株を乗せてひもで巻きつけて固定します。ひもで固定する際、貯水葉はできるだけ傷つけないように。ひもが目立つのが気になる場合は伸縮性のあるテグスを使うのも◎。
板付け用のコルクやヘゴ板は、ジャストサイズより大きめを選ぶ
付けるものはバージンコルクやヘゴ板、焼き板(杉の板を焼いたもの)を使います。成長することを見込んで、板付けする場合は株より一回り大きめサイズを選ぶのがポイント。ジャストサイズを選んだらあっという間に大きくなって貯水葉が板を巻き込むようになることも。その場合にはまた付け替えないといけません。吊すために針金を通したり、ある程度の重みに耐えられるようにしたりするためにも、薄すぎず適度な厚みがあり丈夫なものを選びましょう。
植物用のバスケットを使って植え付けるのもおしゃれ
板付けの他にもバスケットを使って植えることもできます。蘭用に販売されているバスケットに水苔で植え付けます。通気性が良く、フックが付いている場合は吊して飾ることができるのでインテリアとしてもアレンジが楽しめます。壁などに掛けて飾りたいけれど、コルクや板付けは難しそう、うまくできるか心配……という方は、バスケットを使って植えてみましょう。
コウモリランを楽しもう! 真似したくなる飾り方をチェック
ここまではコウモリランの育て方など、知っておきたいことをご紹介してきました。それを踏まえて部屋でコウモリランを飾りつつ、育てている様子をご紹介しましょう。どういう場所で皆さんがコウモリランを育てているのかを参考にしてみてください。
インテリア例1
大きな窓から日光と風をたっぷり浴びられる、窓辺に壁掛け
コウモリランの造形美を生かして飾るなら板付けで壁に飾ること。ただ飾るだけではなく、コウモリランにうれしい環境といえる、日光と風がたっぷり当たる窓際に飾るのがポイントです。強すぎる日光は葉焼けの原因になるので、日当たりが強すぎる場合はレースカーテン越しにするなどして調整するように。
インテリア例2
板付けのコウモリランを飾って、空いたスペースを有効活用
掛けたり吊したりできる板付けのコウモリランは、植木鉢を置く場所が限られる場合でも、壁や窓辺の高い場所を生かして飾ることができるのがメリット。その際は、日の当たる場所が理想です。水やりはベランダやお風呂など、水が滴っても気にならない場所で行い、水を切ってから飾りましょう。
インテリア例3
プラントハンガーの色も統一して鉢植えで飾る
鉢植えタイプを吊して飾りたい場合に便利なのがプラントハンガー。インテリアのトーンに合わせて色を選ぶと一層おしゃれに仕上がります。モノトーンを基調にしたインテリアにコウモリランの明るいグリーンがアクセントに。窓辺に飾れるので日当たりも確保できます。使う鉢は陶器の化粧鉢より、軽めのプラスチック鉢や素焼き鉢が向いています。
インテリア例4
ダクトレールを生かして、天井を彩る
照明を取り付けるダクトレールがある場合は、専用のフックを使うことで天井から吊して飾ることができます。その際には、照明器具に近づけすぎないように吊すこと。直接空調が当たるような場所も避てください。また、鉢などが重たすぎる場合はやめておきましょう。
インテリア例5
ナチュラルテイストのお部屋に合う、バスケットでハンギング
植物溢れる空間のパーテーションの中央にご注目ください。バスケットを上手に使い、コウモリランを飾っています。木製のインテリア用品で統一された温かみのある部屋と相性ぴったり。鉢植えを入れるだけなので手軽にこなれた雰囲気が手に入ります。近くに霧吹きが置いてあるところも真似したいポイントであり、植物愛を感じます。
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自宅で育てている観葉植物は300以上
イトウ ジュン
都内のインテリア雑貨屋の観葉植物、多肉植物の仕入れ、販売を担当したことをきっかけに植物にのめり込む。さらにアレンジとディスプレイにも興味を持ち、アレンジメントスクールに通い、植物を使ったディスプレイなどの仕事にも携わる。特に好きなのは多肉植物。洋服もフラワープリントのものにときめく。