ファイヤーキングがある生活。1杯のコーヒーが楽しみになるおすすめラインアップ
古き良きアメリカを象徴するテーブルウェア『ファイヤーキング』。1940年代から今なお我々を魅了し続けるその魅力を、ヴィンテージから現行モデルまで含めて解説します!米国ヴィンテージファンを魅了。『ファイヤーキング』って何モノだ?
『ファイヤーキング』とはアメリカの有名ガラスメーカー、アンカーホッキング社が製造していた耐熱ガラス製食器プランド。高耐久で独特の透け感のある耐熱ミルクガラスを使用し、アメリカではダイナーやレストランの業務用食器としてだけでなく、家庭での普段使いとしても親しまれてきた定番品です。ミルクガラスの生産中止にともなって1986年に惜しくもその歴史に幕を閉じた『ファイヤーキング』ですが、日本では雑誌が特集を組んだことをきっかけに人気が沸騰。アメリカ好きな人やインテリア好きな人たちを中心に「実用的でルックスも良いヴィンテージアイテム」として注目を浴びました。
その後、日本での盛り上がりを受けて、2000年には本家アンカーホッキング社が誕生60周年を記念した復刻モデル「ファイヤーキング2000」をリリース。そこから2011年にファイヤーキングジャパンが立ち上がり、待望の復活を遂げました。なお、カップの形状は現行モデルで4種類、ヴィンテージを含めると25種類にも及び、さらにはカラーバリエーションやアメリカ企業のアドバタイジングものやキャラクターがプリントされたものも含めると無数のバリエーションが存在。今では実用品としてだけでなくコレクションアイテムとしても親しまれています。
名品「ジェダイ」を例に見る、『ファイヤーキング』の魅力とは
『ファイヤーキング』を代表するのが、その名の通りヒスイ色をした「ジェダイ」シリーズ。40年代のアメリカで巻き起こっていたオリエンタルブームを受けて、中国で最も高貴な石とされていたヒスイをモチーフにしたといわれています。陶器とは違う硬質ながら温かみのある肌触りやほんのりと光を通す様子は、ヒスイに勝るとも劣らない魅力を放っています。
魅力1
ブランドを象徴する素材“ミルクガラス”が、飲み物をより美しく見せる
ミルクガラスは半透過性を備えた素材のため、遠目にはわからなくても光が当たると中の飲み物が透けて見えるのが最大の美点。特にコーヒーなど色の濃い飲み物を入れたときは独特の深みを持った色合いへと変化します。特に「ジェダイ」や「ターコイズブルー」などの色付きのモデルはグラデーションを描いてほんのりと透けるため、その風合いに魅了される人も少なくありません。
魅力2
オールドに負けない品質を実現。現在の『ファイヤーキング』は日本製
2011年に復活した『ファイヤーキング』では、アンカーホッキング社のレシピをもとに日本のガラス職人が製造を担当。オールドものは練りムラや気泡痕のある個体も多く、それらも魅力の1つでしたが、それらの特徴は現行品でも引き継がれています。そのため使い込むにしたがって、ミントコンディションのオールド品のような風格を放ちはじめます。プレミアム価格のついたオールド品と比べて、普段使いしやすい価格帯なのも魅力です。
眺めているだけでも幸せ。『ファイヤーキング』のバリエーションをご紹介
コレクションピースとしても人気のアイテムゆえに、掘りはじめるとキリがないのが奥深き『ファイヤーキング』の世界。ここでは新旧を問わず、1つは持っておきたい定番品からコレクタブルな限定モノまで一挙にご紹介します!
アイテム1
ジェダイ エクストラ・ヘビーマグ
『ファイヤーキング』で最も人気なのが、こちらの「ジェダイ」の中でもエクストラ・ヘビーと呼ばれる分厚いミルクガラスを使用したライン。もともとレストランやダイナー用に製造されたという経緯もあり、ちょっと落としたぐらいでは割れないほどの丈夫さを備えています。また、分厚さのおかげで透け感も控えめなため、最もヒスイの質感に近いといえるかもしれません。
アイテム2
ジェダイ スタッキングマグ
オールド品のスタッキングマグは、赤やオレンジに塗装されたモノやアドバタイジング品が一般的。こちらは現行モデルで、オールド品には存在しないジェダイカラーに握りやすい2本がけタイプのハンドルを採用しています。重ねて収納できるようにデザインされており、現行モデルのため複数個を揃えて普段使いするのもおすすめです。
アイテム3
ターコイズブルー Dハンドルマグ
実は「ジェダイ」よりも入手難易度が高いのが、ターコイズブルーのマグカップ。というのも生産期間は1956~58年の3年間だけ。それも食器やカップ&ソーサーなどのディナーウェアを中心に製造されていました。こちらは使い勝手も良好なDハンドルマグのターコイズブルーモデルのMADE IN JAPAN版。ヴィンテージ市場では倍以上の価格で取り引きされていることを考えると、ある意味お買い得かも知れません。
アイテム4
ソーダマグ
別名「コーラマグ」とも呼ばれ、炭酸飲料を入れたときに吹きこぼれないように上のほうが膨らんだデザインを採用。ホワイトのミルクガラスにペイントでカラーを表現しており、アイスクリームを浮かべてソーダフロートにすればキッチュにかわいらしく仕上がります。こちらは60~70年代製で、現行モデルならオールド品では存在しない「ジェダイ」のソーダマグもラインアップされています。
アイテム5
『ATPP』×『MB7』スタッキングマグ
『ファイヤーキング』で忘れてはいけないのが、アドバタイジングものやコラボレーションもの。こちらは現行モデルをベースにヴィンテージリプロダクションブランドの『メイドバイセブン リユース』と英国の活版印刷スタジオ『ア・トゥー・パイプ・プロブレム・レタープレス』がコラボしたグラフィックを採用しています。
アイテム6
『ファイヤーキング』×『フリークス ストア』Dハンドルマグ
こちらはDハンドルマグをベースに『フリークス ストア』が2019年に別注をかけたアイテム。星条旗柄のピースマークに2019を表す“MMXIX”の文字が入り、背面には『フリークス ストア』のブラックボックスロゴが入ります。
アイテム7
リブボトムマグ
濡れた状態で重ねても取りはずしやすいよう、スタッキング部分がリブ状になったリブボトムマグ。現行ではまだ復刻されていないタイプで、こちらは60~70年代のオールド品。ガレージやキャンプにも似合う男前なカーキ&ブラックのカラーリングが魅力です。今のところオールド品を探すしかありません。
アイテム8
ジェダイ ジェーンレイ ディナープレート
マグカップばかり注目されがちですが、実は『ファイヤーキング』は食器類の使い勝手も良好。こちらはリム部の放射線状のデザインが優美な「ジェーンレイ」というシリーズで、1946~65年まで製造が続いたロングセラー。そのラベル付きの未使用品です。
アメカジ&アメトラを中心にラギッドな視点で解説
那珂川廣太
バイク専門誌と男性向けライフスタイル誌で編集を約8年務めたのちに独立。ファッションはアメリカンカジュアルからトラッドまで幅広く執筆を行い、特にブーツやレザー、ジーンズ、古着など男臭いアイテムの知識が豊富。また乗り物やインテリア、フードまでライフスタイル全般にわたって「ラギッド」を切り口に執筆する。