こなれ感がいいね。ボートネックのカットソーが大人コーデに欠かせない
カットソーの定番といえばクルーネックですが、洒落者たちはボートネックも積極的に着こなしています。選びの基本からコーデのハウツー、おすすめ品まで徹底的に解説!大人っぽさと抜け感を両得。 ボートネックのカットソーを着よう
大人向きのカットソーとして選択肢にぜひ入れておきたいのがボートネックのカットソー。ボートネックとは、文字通り船底に見える形から命名されたネックラインのことです。クルーネックよりも広くて浅めのフォルムが特徴的で、鎖骨に沿うようにカーブを描いています。ボートネックを採用した代表的なアイテムは、バスクシャツと呼ばれるカットソー。バスクシャツを愛用していた有名人としては、画家のパブロ・ピカソ氏、ポップアーティストのアンディ・ウォーホール氏、ファッションデザイナーのジャン・ポール・ゴルチェ氏などが知られています。
ボートネックは古くからある仕様ですが、最近は特に愛用者が増えています。首周りがワイドに開いているのでさりげない抜け感が生まれ、定番のクルーネックとは異なる新鮮な印象を演出できるのがポイント。そんな特徴が、着こなしにリラックス感が求められる今の気分にマッチしているのです。まだ活用していない人は、ボートネックのカットソーをぜひ試してみてください!
まずはここから。押えておきたい3タイプのボートネックカットソー
ボートネックカットソーは主に、その柄によって「ボーダー」「パネルボーダー」「無地」の3タイプに分けることができます。どんな柄のボートネックカットソーを着こなしたいかをイメージしながら、各タイプの特徴を確認しましょう。
タイプ1
ボーダー柄
ボーダー柄は、ボートネックカットソーをもっとも象徴するデザイン。さまざまなボーダー柄が採用されていますが、そのなかでマリン調のボーダー柄を使ったタイプはバスクシャツと呼ばれています。肉厚なものから薄手のものまで生地は多様化していますので、自分の好きな質感の1枚を選んでみてください。
タイプ2
パネルボーダー柄
ボーダー柄と無地を組み合わせたデザインはパネルボーダーと呼ばれ、こちらもボートネックカットソーにおけるスタンダードな柄。首周りや裾、肩周りや袖口が無地になっているパターンが多く、色使いとともにマリンテイストが強いタイプが多く見られます。マリン調の強いパネルボーダーのボートネックカットソーもバスクシャツと呼ばれます。
タイプ3
無地
どんなアイテムでも定番といえる無地は、ボートネックのカットソーでも豊富に出回っています。オーソドックスなデザインに見えつつ、ボートネックによってさりげない新鮮味が生まれているのがポイント。大人っぽいコーディネートにマッチしやすいバランスです。ボーダー柄に抵抗がある人は、無地のボートネックカットソーから取り入れてみましょう!
カギは首周りにあり。ボートネックをおしゃれに着こなすハウツーとコーデ実例
ボートネックのカットソーを着慣れていない人にとって、着こなすのが少し難しそうに感じるかもしれませんが、決してハードルは高くありません。ポイントはずばり、首周り。ボートネックの抜け感や新鮮味を生かしたお手本コーデを、着こなしルール別にご紹介します。
▼法則1:ボートネックのカットソーを1枚でシンプルに
広めに開いた首周りの仕様がボートネックの特徴です。その開き具合を強調するには、シンプルに着こなすだけでも十分。ネックデザインを引き立てるように意識しつつ、無駄を省いたコーディネートにまとめるのがポイントです。
コーデ1
ミニマルなブルー系コーデで大人っぽくまとめた好例
いたってシンプルなコーディネートだからこそ、ボートネックのデザインが際立っているお手本です。さらに、カラーリングもポイント。ボートネックのトップスはグレイッシュなライトブルーで、パンツはダークネイビー。爽やかなブルー系でまとめつつ、どこか落ち着きも感じさせるバイカラーの色使いが絶妙です。
コーデ2
ベーシックな着こなしをディテールでブラッシュアップ
マリンテイストの強いパネルボーダーのボートネックカットソーに、ストレッチデニム製のジョガー型イージーパンツを合わせたコーディネート。着こなし自体はベーシックですが、ワイドな首周りとスリムな足元とのコントラストで、リラックス感とスタイリッシュな印象が同居しています。
▼法則2:ネック脇からインナーのTシャツをチラ見せ
首周りが広く開いたボートネックは、首元のレイヤードを構築するのにももってこい。クルーネックのTシャツなどを合わせ、バランス良くインナーを覗かせると、さりげなく立体的な首周りになっておしゃれです。
コーデ3
クールだけど抜け感のある今どきなコーディネート
ビッグシルエットのボートネックカットソーで今どきなリラックス感を確保。インナーに合わせた白いTシャツを覗かせることで、こなれ感を演出しています。モノトーンをベースにしつつ、パンツで旬なカーキを挿して鮮度アップ!
コーデ4
ボーダー柄をモダンに着こなしたモノトーンスタイル
ボーダー柄のカットソー×無地のTシャツという柄のコントラストで、ボートネックのデザインを強調したお手本。全体としてブラックを中心にしつつ、適度に白を効かせて軽やかにまとめたバランスも絶妙です。素足が覗くスポーティなスニーカーも軽快感を補強。
▼法則3:シャツを活用して品良くレイヤード
バスクシャツをはじめとするボートネックのカットソーは、しっかりしたタッチの生地が主流。ニット感覚で着回すことも可能です。そしてネックが広く開いているからこそ、シャツを合わせても好バランス。上品に着こなすなら、インナーとしてシャツをセットしてみましょう!
コーデ5
シャツとトップスのバランスでさりげなく新鮮に見せた好例
ボートネックのカットソー×ボタンダウンカラーのシャツはおすすめの組み合わせ。襟先がすっきり収まるので、上品だけど堅苦しくないバランスのレイヤードスタイルを構築できます。このコーディネートでは、トレンドのベージュをスウェットで取り入れてナチュラルな印象や軽やかなイメージを加味。
コーデ6
ダークなグレーを挿してコーデを落ち着かせた応用編
ボートネックカットソーのインナーとして白いシャツを投入するのが定番ですが、あえて他のカラーをチョイスしてみるのもおすすめ。ここでは、カーキがかったグレーのバンドカラーシャツをセットしています。インナーに適度な重厚感を持たせることで、落ち着きのあるニュアンスを醸成。
▼法則4: スカーフをプラスすることでフレンチな気品を加味
マリンテイストのボートネックカットソーは、フレンチカジュアルスタイルの定番アイテムでもあります。そんなイメージを意識して、スカーフを巻くのもおすすめ。程良い抜け感のあるボートネックを、エレガントなスカーフがクラスアップしてくれます。リラクシングで気品もあるおしゃれな首元を目指しましょう!
コーデ7
ボーダー柄のカットソー+カジュアル柄のスカーフが基本セット
ホワイト基調のボーダー柄を使ったボートネックカットソーに、爽やかで落ち着きあるネイビーのパンツを合わせ、柄の入ったスカーフを足すのが基本的なスタイリング。スカーフのなかでも少しカジュアルなペイズリー柄やバンダナ柄などを選ぶのが定番です。このお手本では、ヴィンテージのスカーフでレトロな個性もプラス。
コーデ8
グレーをキーカラーにしてスタイリッシュに仕上げた上級者コーデ
ボートネックカットソーを含め、モノトーンでまとめたコーディネート。色使いでモダンなイメージに昇華しています。ワイドパンツとスカーフをグレーでリンクさせ、都会的なイメージを打ち出しているのもポイント。スカーフをコンパクトにまとめることで、控えめなアクセントにしたバランスも秀逸です。
爽快感&抜け感アップに効く。おすすめのボートネックカットソー10選
ボートネックのカットソーを着こなすことができれば、爽やかさやリラックス感さを容易にアップ可能。ここでピックアップしたおすすめ品を参考に、お気に入りの1枚を手に入れて着回しましょう。
アイテム1
『オーシバル』コットンロード ビッグバスクシャツ
フランスの名門マリンウェアブランドの筆頭が『オーシバル』。フランス海軍の御用達ブランドで、名作のバスクシャツは多くの著名人が愛用してきました。このアイテムは定番生地の1つであるコットンロードを使用。空紡糸を編んだエアリーでタフな仕上がりが特徴です。適度に肉厚で、幅広くコーディネートできるのも人気の理由。
アイテム2
『セントジェームス』ギルド
『オーシバル』と並ぶフランスの名門が『セントジェームス』です。定番モデルの「ギルド」は日本では「ウエッソン」とも呼ばれていて、カラーバリエーションが圧巻。しっかりした生地でガンガン洗えるのも人気の秘密です。着込むことで肌に馴染み、ソフトな風合いへと変化していきます。
アイテム3
『ルミノア』別注 ボーダー ボートネック カットソー
1936年にフランスのブルターニュ地方で創業した『ルミノア』も、過去にフランス海軍にウェア類を供給していた老舗。クオリティが高い究極のベーシックアイテムを展開しています。ボートネックのカットソーは定番ですが、人気セレクトショップ「ビームス」による別注品は日本人の体型に合わせて襟周りや袖丈をアレンジ。ハイゲージの生地は適度な厚みがあり、上品な表情です。
アイテム4
『ルトロワ』セルジュ
フランスのシャンパーニュ地方で創業した『ルトロワ』は、2009年に誕生。懐かしくも新しいカットソーを展開している専業ブランドです。マイユと呼ばれる丸胴編み機でシームレスに仕上げたアイテムは、着心地が快適。定番品の「セルジュ」もストレッチ性があって動きやすく、上質感がにじみ出ています。
アイテム5
『アーバンリサーチ ロッソ』フレンチボーダーバスクTシャツ
ドロップショルダーを採用しつつ、少し短めな9分袖にすることでバランスを補正。マリン調のパネルボーダーを採用し、リラクシングで爽やかなイメージに仕上げた1着です。MADE IN JAPANにこだわり、生地の作り込みから縫製までを国内生産。目が詰まった上質な生地で採用しているので、風合いが深まっていくエイジングを楽しめます。
アイテム6
『シップス』ジャパンクオリティー トリコット ボートネック ロングスリーブ カットソー
こちらも9分袖のボートネックカットソーです。和歌山のニッターが生み出すトリコット生地(バスクジャージー生地)は、厚すぎず薄すぎない質感が絶妙。清涼感や軽快感を備え、ソフトな着心地を実現しています。ボーダー柄の配色が独特なので、さりげなく個性的な1枚を探している人にもぴったりです。
アイテム7
『メゾンスペシャル』18GオーガニックコットンプライムオーバーミラノリブパネルボーダーバスクTシャツ
長めの半端袖や長袖がボートネックカットソーの主流ですが、最近は半袖も増加。この1枚は5分袖くらいの設定です。『メゾンスペシャル』ならではの「プライムオーバー」はかなりのオーバーシルエットですが、その一方、ミラノリブ生地には上質感があるため大人でも着こなしやすい仕上がりです。さらに、雑菌の繁殖を抑制する天然有機系デオドラント加工であるロンフレッシュもプラス。
アイテム8
『エヌハリウッド アンダーサミットウエア』バスクシャツ
『エヌハリウッド』の「アンダーサミットウエア」ラインは、必要最低限のアウターとして着られるアンダーウエアがコンセプト。人気の高い定番アイテムの1つがバスクシャツで、すっきり見えるボートネックが特徴です。繊維の中でもっとも細長いといわれるスピンゴールドをブレンドした生地は、ナチュラルなツヤがあってエレガント。着用時に縫い目が気にならないセンターバックシーム仕様を採用しています。
アイテム9
『エムエイチエル』ドライコットンジャージー カットソー
ドライな触感のコットン生地を採用したボートネック仕様のカットソー。少しだけ余裕のあるシルエットを採用し、ジャケットやアウターのインナーとして使いやすく仕上げています。ただし、1枚でもサマになる上質感。カラーは2種類でオフホワイトかライトブルーが選べますが、どちらもニュアンスのある淡いトーンで今っぽいナチュラル調です。
アイテム10
『ザ グローラー ビルト』リバーシブルカットソー
最小限のパッキングで旅を続けるカウチサーファー(一般家庭のベッドやソファなどを寝床として借りる旅行者)がイメージソースの『ザ グローラー ビルト』と、大人なセレクトショップ「エストネーション」によるコラボアイテム。リバーシブルで使えるのが画期的なビッグシルエットのカットソーです。両面とも素材はコットンですが、カラーと生地感が異なり、気分やコーディネートに合わせて使い分けができます。
60以上のメディアで執筆。「着こなし工学」提唱者
平 格彦
出版社を経て独立。「Men’s JOKER」と「RUDO」は創刊から休刊までほぼ毎号で執筆。さらに「MEN’S CLUB」「GQ」「GOETHE」など、60以上のメディアに関わってきた。横断的、俯瞰的に着こなしを分析するのが得意。そんな視点を活かし、「着こなし工学」としての体系化を試みている。