日常の良き相棒。ワークパンツを上手に着こなそう
タフなワークパンツはメンズの定番服。しかし、ワークパンツにはチノやカーゴなど多彩なタイプがあり、それぞれ持ち味も違います。適材適所で上手に取り入れましょう。日常の良き相棒。男の着こなしには旬シルエットのワークパンツが欠かせない
汎用性に優れたオールラウンダーであるワークパンツは、コーディネートに必須のド定番アイテム。そのため、最低でも1本はクローゼットの中に待機させているという方が多いのではないでしょうか。耐久性が高くてガンガンはけるのはご存じの通りで、日常ばきとして大いに役立ってくれます。
もちろん、もとは作業服であるため、オーセンティックなモノを選んでしまうと現代的な着こなしとはトゥーマッチです。しかし定番服であるがゆえに、各ブランドから素材やシルエットのバリエーションも豊富に出ているため、チョイス次第ではきれいめにもカジュアルにも振ることができるという美点もあります。今回はワードローブとしてハズすことのできないこのアイテムにフォーカスし、その魅力をお伝えしていきましょう。
種類豊富なワークパンツ。handbag目線で3つのタイプをチョイス!
そもそもワークパンツとは、丈夫な生地を使った作業用ズボンの総称。つまり、頑丈で動きやすい機能的なボトムスであればワークパンツとして定義できます。しかしそれではあまりにも広義なので、当記事ではワークパンツとしての認識率が高い3タイプに絞ってフィーチャー。なお、ワークパンツの王道であるジーンズはそれ単体で1つのジャンルとして成立した特別枠として除外しています。では、以下よりその3タイプを紹介していきましょう。
1つ目はチノパン。チノクロスと呼ばれるツイル(綾織)の布を使ったボトムスで、過去には米陸軍の軍服として採用されていました。つまり由来は軍モノですが、『ディッキーズ』のイメージもあり現在はワークパンツとしての認識が大きいアイテムです。2つ目は、貨物船(カーゴシップ)の乗組員が作業着として着ていたことに由来するカーゴパンツ。両ももに付いたポケットを特徴とし、これもワークパンツとして一般的です。そして最後はペインターパンツ。もともとはペンキ職人のための作業用ズボンで、ハンマーループやスパナポケットといった独自の意匠がポイントに。他にもまだ種類はありますが、今回はこの基本的な3型に絞って見ていきます。
3つのカテゴリでピックアップ。人気ブランドと着こなし方
チノパン・カーゴパンツ・ペインターパンツはワークパンツという共通項を持ちますが、持ち味は各型でさまざま。ここからはそれぞれのタイプ別でおすすめのコーデ術とアイテムをご紹介していきます。自身のスタイルに合ったものを取り入れてみてください。
▼パンツ1:きれいめのスタイルにも難なく馴染むチノパン
ワークパンツというカテゴリでありながらも、ツイル生地特有のほんのりとした光沢感のおかげで比較的上品に着用できるのがチノの強み。細身~ジャストのシュッとしたシルエットのモデルであれば、ラフな着こなしはもちろん、写真のようなこなれたジャケットコーデともすんなりハマってくれます。カラーに関しては、ベージュ・ブラック・ブラウンのような落ち着きある色だと大人っぽく仕上げやすくてよりGOOD!
ブランド1
『ディッキーズ』874
チノパンのマスターピースといえばこの「874」。コットン×ポリエステルの高耐久なチノクロスが使われ、表面は水や汚れを弾くスコッチガード加工が施されています。その丈夫さはもとより、着こなし不問の潔いストレートシルエットも持ち味。カジュアルな装いだけでなく、大人っぽい雰囲気のコーデにもハマります。
ブランド2
『ベン デイビス』アクティブワークパンツ
ヒップ~腿まではリラックスフィットですが、膝から下にテーパードが入っているため、すっきりとした印象。あか抜けたレッグラインで、きれいめな着こなしとも好相性を見せてくれます。ハリ・コシのあるコットンチノ生地で、頑強さに関しても折り紙付き。押さえておいて間違いなしの1本といるでしょう。
ブランド3
『カーハートWIP』マスターパンツ
『カーハート』のヨーロッパラインより登場の1本。ほのかにテーパードを効かせたモダンなストレートシルエットで、コーディネートのこなれ感を格上げしてくれます。なお、肉感の良い8.8オンスのツイル生地は、コットン×ポリエステルの混紡仕様。破れにくく乾きやすいという特性があり、ヘビロテに向いています。
ブランド4
『シップス』撥水加工 スリム ストレッチ チノパンツ
ビジネスばきとしても違和感のない、端正なスリムシルエット。縫い目の見えない上品な仕上げのサイドシームや、くっきりと浮き出たセンターシームなど、スラックスを思わせるディテールも印象的です。しかも、生地はナノウイングという撥水・撥油加工でフィニッシュされ、不意の雨や飲みこぼしにも対応できます。
ブランド5
『ファクトタム』ウォッシュチノ2タックテーパードパンツ
フランス軍の60’sミリタリーパンツをモチーフとしつつ、シルエットは今日風に昇華。美麗な細身フォルムゆえに、ニットやシャツといった品良いトップスとも合わせられます。そして、硫化染め&ウォッシュ加工を取り入れたこだわりのツイル生地もポイント。ヴィンテージっぽい独特な風合いを最初から堪能できます。
▼パンツ2:太めシルエットで男らしくキメたいカーゴパンツ
ほっそりとドレッシーにアップデートされたモダンなカーゴパンツがしばらく人気でしたが、昨今は太さのある武骨なカーゴパンツが改めて支持を集めています。正攻法で男っぽく着こなすのも良いですし、クリーンな着こなしと組み合わせてハズし的に使うのも良いでしょう。また、カーゴパンツはボリュームがある分重たく見えやすいので、足元にスニーカーを合わせたり、裾をロールアップしたりと、軽快に見せる配慮もお忘れなく。
ブランド1
『ア ボンタージ』ファティーグパンツ
モチーフとなっているのは1970年代のUSミリタリーパンツ。当時のモデルを再現したコットンリップストップ生地は、速乾性と耐久性を兼ね備えています。ウォルディス社製のアルミジップを使っていたり、裾にドローコードをあしらっていたりと、細かな部分への注力もお見事!
ブランド2
『アルファ インダストリーズ』ACUタイプカーゴパンツ
正統派ミリタリーブランドが手掛けた逸品。大小合計9つものポケットが配されたカーゴパンツゆえに、インパクトは抜群です。さらに、そのスタイリッシュなシルエットも魅力的。ワタリにはたっぷり余裕を与えながらも、膝下はシュっと絞ったメリハリあるワイドテーパード型で、着こなしをセンス良く彩ってくれます。
ブランド3
『ワイルドシングス』タクティカル リップ7ポケット パンツ
テキスタイルメーカーの第一織物社が開発した、ディクロス マウリと呼ばれる特殊生地を駆使したモデル。軽量性と撥水性を持つポリエステル地でありながら、まるで綿のようなナチュラル感を備えているのがその特性です。デザインはミリタリー感の強いM-65フィールドカーゴが基盤ですが、薄手の生地なので重厚すぎず、街ばきとしてもすんなり溶け込みます。
ブランド4
『ビューティ&ユース ユナイテッドアローズ』ダルPE 6ポケット カーゴパンツ
さらりと薄いポリエステルクロスやドローコード式ウエストといった、リラクシングな仕立てが目を引くカーゴパンツ。膝にタックを入れることで立体感&運動性を高めるなど、細部ディテールへの気配りも好印象です。シルエットはワイドストレートで、裾のコードを使えばフォルムの微調整も可。
ブランド5
『アダム エ ロペ』4Dコットンワイドカーゴパンツ
60日間熟成し、しっかりと空気を取り込んだコットンを使用。放吸湿性や速乾性に秀でるほか、適度なストレッチ感もあるので着用感はすこぶるコンフォートです。また、きれいな綾目のツイル生地で、オトコらしさの中にほんのりと都会感も感じさせます。バリエーションでは爽快なホワイトをラインアップ。
▼パンツ3:ワーク感強めのペインターパンツは太過ぎないシルエットで
サイド部分にループやポケットがあしらわれているペインターパンツは、今回の3タイプの中でもっともワーク度の高いアイテム。それゆえ、本来のペインターに多いビッグシルエットを選ぶと野暮ったく見える恐れもあります。極端なオーバーシルエットは避けて、ジャスト~やや太めぐらいを選ぶとバランス良くコーデしやすいのでおすすめです。多ポケットの機能的なルックスにつき、アクティブなアウトドアMIXコーデとは特に好相性!
ブランド1
『ビームス』ストレッチペインターパンツ
トリプルステッチを筆頭に、ハンマーループやパッチポケット、ダブルニーなど、クラシカルなペインターディテールを各所に投下。一方で、旬度の高いテーパードシルエットにより今っぽさもちゃんと封入しています。レーヨンをMIXした程良く薄手のツイル生地を駆使して、季節感にも隙なく訴求。
ブランド2
『スミス』ユニセックスローファーパンツ
NY生まれの老舗ワークブランドが放つ1本らしく、ガシっとヘビーウェイトなコットンボディ。ただし、清潔感ある色合いなので上品な着こなしにも溶け込んでくれます。ボリュームを抑えたジャストシルエットも、大人らしく装ううえで好都合。グリーンのステッチによる、さりげない遊び心も秀逸です。
ブランド3
『リー』×『グラミチ』テーパード ペインターパンツ
ガゼットクロッチやウェビングベルトといった『グラミチ』お得意のディテールを、ペインターパンツと巧みに融合! 高鮮度なハイブリッドデザインに仕上げています。野暮ったさとは縁遠い、シャープなスリムテーパードフィットも持ち味の1つです。素材にナイロンをチョイスしているため、スポーティなコーデに合わせてもOK。
ブランド4
『デイリーストック』×『ジャーナル スタンダード』ペインターパンツ
質実剛健なMADE IN USAのプロダクト。いっときの流行り廃りに左右されない、長く愛用していける1本です。表面には細かな“綿カス”が浮き出ていますが、これは漂白せずに生地そのものの味わいを生かしているから。この素朴な風合いの綿地が、大人のカジュアルスタイルに奥深さを生み出してくれます。
ブランド5
『マスターアンドコー』×『アーバンリサーチ』ペインターパンツ
ベーシックアイテムを得意とする日本ブランド『マスターアンドコー』が展開する製品染めチノパンを、『アーバンリサーチ』がペインターデザインへアレンジ。ワークテイストが一段と強まっています。“やや太”のクセがないストレートフォルムで、多彩なトップス&シューズと高い親和性を見せてくれるのも利点。
handbagでの執筆本数NO.1ライター
山崎 サトシ
アフロ歴15年のファッションライターで、趣味はヴィンテージモノの収集とソーシャルゲーム。メンズファッション誌を中心として、WEBマガジンやブランドカタログでも執筆する。得意ジャンルはアメカジで、特にデニム・スタジャン・インディアンジュエリーが大好物!