心許ない夏の腕元は、リアルヴィンテージ感満点の機械式時計に頼りたい
半袖が主役の季節は、腕元の印象が少し寂しくもなる季節。それは仕事服でさえ例外ではなく、昨今はリモートワークの浸透によりカジュアル化に拍車がかかり、ポロシャツ姿やシャツイチ姿でオフィスへ向かうことも少なくなくなってきています。カジュアル服ならアクセサリーの併用で解消可能ですが、仕事服ではそうもいかないでしょう。そんな折に活躍してくれるのが、落ち着いた上質さを物語る腕時計。厳選した1本を身に着け、ビジネスと向き合うのにふさわしいバランスを保ちたいところです。そんなことを意識し始めた絶好のタイミングにお目見えしたのが、『セイコー プレザージュ』の新シリーズ「Style60’s(スタイルシックスティーズ)」です。
読んで字のごとく、これは『セイコー』の1960年代のヴィンテージスタイルを再現した機械式時計。全6モデルがラインアップされていますが、いずれも1964年に発売された「クラウン クロノグラフ」という国産初のクロノグラフがデザインのベースになっています。これらは見切りが広く、視認性の高いダイヤルをはじめとする当時としては革新的な意匠を満載していたアーカイブの意匠を再現したもの。加えて、インデックスのサークル状エンボス加工で視認性をさらに向上し、現代的な印象もプラスしています。ヴィンテージテイストを感じさせつつも、レトロに傾きすぎないその絶妙なアップデート感は、今年140周年となる老舗メーカーならではの仕事。カジュアル度の高い今どきの仕事服にも違和感なく馴染み、それでいて抜群の落ち着きをもたらしてくれます。
ラインアップされた6型は、シンプルな3針タイプと開口部からムーブメントの一部を鑑賞できるセミスケルトンタイプの2種類に分かれており、双方に3色ずつのカラーバリエーションを用意。前者の3針タイプはムーブメントに自動巻きキャリバー 4R35を採用し、カレンダー機能で実用性も加味。多くのモデルで採用されている実績のある機構です。後者のセミスケルトンタイプはキャリバー4R39を搭載し、9時位置のスケルトン窓を持つオープンハート仕様になっています。いずれも『セイコー』の伝統が息づく意匠と信頼のムーブメントを備えた本格派の機械式時計を、税込5万円台から身に着けられるお値頃設定です。
気になるディテール上の見どころは、オリジナルモデルと比べてみるとより鮮明に浮かび上がります。上のシルバーインデックスのモデルが、デザインのベースとなった「クラウン クロノグラフ」。1960年代の主流となったボックス型の風防をいち早く採用し、ソリッドなドーフィン針も当時のスタイルを感じさせる意匠となっています。これに対し、新シリーズ「Style60’s(スタイルシックスティーズ)」はこうしたディテールを生かしつつも、丸みを帯びたケースを内側に向かって少し傾斜させ、手首に着けた際により快適な装着感を得られるように設計。かん足には鏡面仕上げを施した面を追加し、現代的かつ洗練された印象も加味されています。ちなみに、ダイヤルの配色に関しては、アイボリーがオリジナルの「クラウン クロノグラフ」に近い佇まいですが、グリーンも1960年代に流行したアースカラーを再現したものなのだとか。また、『セイコー プレザージュ』として初めて採用されたというナイロンストラップも精悍かつスポーティな魅力を放っており、汗ばむ季節に爽やかな素材感となっています。いずれもこれからの季節に欲しかった要素を満たしたタイムピースゆえ、大船に乗ったつもりで腕元を任せられそうです。
Text_Takumi Endo
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DATA
セイコーウオッチ(株) お客様相談室0120-061-012https://www.seikowatches.com/jp-ja/products/presage/special/style60s/
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