ロンジンのお家芸、復刻。シルバーアローが指し示したのはリアルな1950年代の空気感
時計シーンにおいて継続している復刻ブーム。時計史に名を残してきたアーカイブ、それらをモダンに解釈した製品が各ブランドよりここ数年コンスタントにリリースされ続けているのは、handbag読者諸兄もご存じの通りだ。デザインとしてのリアルなヴィンテージムードもシズル感を誘う要素だが、ユニークな逸話や確固たる背景を有するからこその“本物感”も大きな魅力。誘蛾灯に誘われる夏の虫のごとく、ふらふらと惹きつけられてしまうのが男のサガなのだろう。わかっていつつ抗えない“復刻”というジャンル。腕時計においてその先陣を切ったブランドこそが、1832年創業の老舗中の老舗『ロンジン』である。長い歴史の中に点在するマスターピースを現代的なスペックで蘇らせる「ヘリテージ コレクション」から、こ今年もまた新たな傑作がお目見えした。
こちらの「ロンジン シルバーアロー」は“若者たちの時計”というスローガンの元、1956年に発表されたアーカイブの復刻。アヴァンギャルドなデザインの腕時計を作ろう、と1955年に作られたモデルに対し、社内公募を行う形で命名が行われた。実に450以上の応募より1つを選りすぐり、それをベースに名付けられたのが「シルバーアロー」だ。この名前は、当時のモータースポーツ界を席巻していた名門ブランドの車に付けられた愛称、“シルバーアロー”を彷彿ととさせるもの。こんなところからも、1950年代に同シーンと強いつながりを持っていた『ロンジン』らしい一面を垣間見ることができる。
今作「ロンジン シルバーアロー」は、当時の顔立ちを忠実に復刻。ケース径は細腕にも馴染みやすい38.5mmとモダナイズされているものの、渋い輝きを放つシルバーのオパーリンダイヤルとストライプの刻みが入ったインデックス、潔いアロー型の時分針はアーカイブそのものだ。実はインデックスのストライプは、2009年の復刻の際には見られなかったもの。自動巻きムーブメントを搭載しながら文字盤に“Automatic”の表記を載せていない、デイト表示も置かず、裏蓋には当時のまま星空を飛ぶ超音速機をモチーフとしたエンブレムを刻印しているといった点からも、『ロンジン』の圧倒的な復刻へのこだわりを感じることができる。そんな顔を邪魔せず存分に楽しめる、多重反射防止仕上げのボックス型サファイアガラスもうれしいディテールだ。色合いと風合いからヴィンテージテイストを主張する、マットブラウンのレザーストラップも、実に良く馴染んでいる。
ちなみに、搭載されたエクスクルーシブキャリバーの「L888.5」は、『ロンジン』の最新自動巻きムーブメント。72時間のロングパワーリザーブに加え、腕時計の天敵である磁力の影響を受けにくいシリコン製ひげゼンマイを備えた、高機能な機構となっている。なお、今作には5年間の保証もプラス。『ロンジン』の、同ムーブメントに対する厚い信頼を垣間見ることができるエピソードだろう。
ちなみに、搭載されたエクスクルーシブキャリバーの「L888.5」は、『ロンジン』の最新自動巻きムーブメント。72時間のロングパワーリザーブに加え、腕時計の天敵である磁力の影響を受けにくいシリコン製ひげゼンマイを備えた、高機能な機構となっている。なお、今作には5年間の保証もプラス。『ロンジン』の、同ムーブメントに対する厚い信頼を垣間見ることができるエピソードだろう。
多くの復刻が続く中でも、「ロンジン シルバーアロー」は自信を持っておすすめできる1本だ。今モデルはすでに発売済みで、店頭のみならずブランド公式オンラインショップでの取り扱いもある。夏ボーナスの使い道の1つとして候補に入れてみてはいかがだろうか。
DATA
スウォッチ グループ ジャパン ロンジン事業本部03-6254-7350https://www.longines.com/jp/
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