スーツに合わせる靴は何が正解? フォーマル別におすすめの組み合わせを提案
かつてスーツにはひも靴を合わせるのが鉄則でしたが、そんなルールは過去の遺物。スーツもカジュアルなセットアップが増えている今、靴の合わせ方も変化しているんです。“スーツ×靴”の組み合わせは、シーンに合わせてアレンジ自在
かつてスーツにはひも靴が必須とされてきましたが、カジュアルなスーツが増え、ビジネススタイルも多様化する中で、スーツの足元も大きく変化しています。サルトリア仕立てのクラシックなスーツにスニーカーというわけにはいきませんが、ポリエステルのセットアップには、ひも靴でなくてもローファーやスニーカーという選択肢もアリな時代。そこでシーン別にスーツ×靴のおすすめコンビをご紹介します。
ビジネスシーンでは、スーツスタイルの多様化に合わせて足元もチェンジ
業種によってはドレスコードに厳しいところもありますが、最近では銀行をはじめ一般企業でのドレスコードはカジュアル化が進んでいます。スーツは従来のウールのスーツから、コットンスーツ、ポリエステル系のセットアップなど。スーツスタイルの多様化に合わせて、ひも靴以外にも選択肢が広がります。
▼組み合わせ1:スーツ×ウイングチップ
トゥをW型に切り替えて穴飾りを施したウイングチップは、本来英国のカントリーシューズのカテゴリ。ゆえに外羽根式のものが多いのですが、日本ではビジネスシューズとしても定着しています。穴飾りが全体に配されたものはフルブローグ、つま先など一部に配されたものをセミブローグと呼びますが、穴飾りの少ないもののほうがドレッシーな印象。さらにフォーマル度を高めたいなら内羽根式を選びましょう。装飾によってはビジネスシーンに不向きなものもあるのでご注意を。
おすすめ
『チャーチ』 ウイングチップシューズ グラフトン
英国の老舗ブランド『チャーチ』を代表する「グラフトン」。LAST173を採用した本作は、角張りすぎず、丸すぎないトゥが特徴で、クラシックな印象を放つ1足です。素材には同ブランド独自で開発したポリッシュドバインダーカーフを使用。特殊な樹脂加工が上品なツヤを与え、さらに傷や汚れが付きにくく、雨にも強い仕上がりになっています。
▼組み合わせ2:スーツ×タッセルローファー
コットンに限りませんが、ラフにスーツを着るならスリッポン&ローファーが合わせやすくおすすめです。とはいえコインローファーでは学生っぽく見えてしまうことがあるので、大人っぽく仕上げるならタッセルローファーが◎。ぽってりと丸いトゥのアメリカンタイプより、ヨーロッパスタイルの細身ラストならなお良しです。
おすすめ
『クロケット&ジョーンズ』タッセルローファー キャベンディッシュ2
『クロケット&ジョーンズ』の中で、定番モデルと並んで人気の高い「キャベンディッシュ」です。ヒールカップをやや小さく、日本人の足にも馴染むようモデファイされているのが特徴。クラシックな印象が強いタッセルローファーは、スーツスタイルと相性が良く、それでいて足元に程良い抜け感をもたらしてくれます。
▼組み合わせ3:スーツ×モンクストラップシューズ
「スーツにはひも靴」と言われていた時代にも、唯一の例外として着用されていたのがモンクストラップシューズ。「モンク」とは「僧侶」のことで、修道士が履くサンダルが元になったといわれています。シングルモンクよりも、ベルトが2本あるダブルモンクのほうがビジネス&フォーマルの場面では人気です。
おすすめ
『パラブーツ』ダブルモンク ポー
自社でラバーソールを生産している『パラブーツ』ならではのソールに注目を。厚みを抑えたギャラクシーソールを使用しているため、ドレス色の強い仕上がりが魅力です。通常の牛革に比べてオイル含有率が高いリスレザーには天然の撥水性があるため、小雨程度なら問題なく履けるのもうれしいポイント。
フォーマルシーンでは、従来のルールに沿った革靴を
いくらドレスコードがゆるくなったとはいえ、礼装としてのフォーマルスーツに合わせるなら伝統的なドレスコードに従いましょう。革はカーフで、色は黒。レースアップタイプの内羽根ストレートチップ、もしくはプレーントゥ。この2種類の靴以外は、礼装には不向きと覚えておきましょう。ただしタキシードスーツやディナージャケットにはオペラパンプスを合わせることができます。
▼組み合わせ4:スーツ×内羽根式ストレートチップ
今も昔ももっともフォーマル度の高い靴は、トゥを真一文字に切り替えた部分に穴飾りなどの装飾が無い内羽根式のストレートチップです。内羽根とは靴ひもを通す羽根が切り込み式になっているもののことを言い、外羽根の場合は観音開きに開くようになっています。フォーマルで履く靴は内羽根式で、金属の鳩目が付いていないものが望ましいとされます。
おすすめ
『クロケット&ジョーンズ』ストレートチップ シューズ ケント
『クロケット&ジョーンズ』の中でも定番中の定番である「ケント」は、スーツスタイルをエレガントに格上げしてくれます。アニリンカーフの繊細でなめらかな質感や、細身でシャープなシルエットが特徴。フォーマルはもちろん、ビジネスシーンでも使える汎用性の高い1足です。
▼組み合わせ5:スーツ×内羽根式プレーントゥ
トゥに何もデザインがされていないプレーントゥもフォーマルシーンで履ける靴です。プレーンでも外羽根式やモンクストラップのデザインがありますが、フォーマルでは内羽根式のレースアップタイプを履くのが鉄則。
おすすめ
『クロケット&ジョーンズ』ウェンブレー
『クロケット&ジョーンズ』の内羽根プレーントゥの中でも、比較的新しい360ラスト(2006年製作)を採用した「ウェンブレー」というモデル。つま先に向かって流れるようなシルエットを描いたロングノーズが特徴で、ひときわエレガントなラウンドトゥがフォーマルな装いにこれ以上ないくらいよく映えます。
オフィスカジュアルから休日まで。幅広く使えるセットアップなら、足元はもっと自由に
ここからは、カジュアルなセットアップにおすすめしたい靴をピックアップ。定番のスニーカー合わせはもちろん、周りと差がつく足元をご紹介。オフィスカジュアルから休日まで、参考にしたい組み合わせがきっと見つかるはずです。
▼組み合わせ6:セットアップ×レザースニーカー
ポリエステルやナイロン素材のカジュアルなセットアップには、インナーに襟なしのカットソー、足元にスニーカーを合わせたスタイルが主流となっています。スニーカーはシンプルなローカット&レザーをセレクトすると、カジュアルながらも大人っぽさをキープした着こなしが叶います。
おすすめ
『コモンプロジェクト』Achilles Low スニーカー
細身のフォルムで余計な装飾を一切排した潔いデザインが人気の『コモンプロジェクト』のレザースニーカー。シックなブラックなら、休日のオフスタイルからビジネスカジュアルまでオールマイティに対応します。
▼組み合わせ7:セットアップ×白スニーカー
セットアップに合わせるスニーカーでもう1足おすすめしたいのが白スニーカー。足元に白を挿して抜け感をプラスすることで、クリーンで軽快かつ上品なビジカジスタイルに仕上がります。パンツの丈はアンクル丈だとより軽やかで好バランス。
おすすめ
『リプロダクション オブ ファウンド』ジャーマントレーナー
ミリタリーが出自の靴でありながら、クセのない温故知新な佇まいが特徴的なジャーマントレーナー。そのスポーティ過ぎないニュートラルな佇まいは、セットアップの装いとも好バランス。毛足を短く整えたスエードの切り替えを施したこの1足なら、単色の白スニとはまた違う上品さを印象付けられます。
▼組み合わせ8:セットアップ×ビットローファー
馬具の一種であるホースビットを甲にあしらったビットローファーも、モダンな足元作りに一役買ってくれます。ブラックやブラウンが定番ですが、春夏らしく軽快に着こなすなら明るいベージュが新鮮です。裾をロールアップしてアンクル丈にするとより軽やかに仕上がります。
おすすめ
『パラブーツ』ビットスエードローファー
ブラックスエードにシルバービットを配してシックに仕上げた『パラブーツ』の1足。一般的にビットはゴールドとシルバーの2種類があり、シルバーのほうがスポーティでゴールドのほうがラグジュアリーな印象に仕上がります。程良くボリュームのあるソールはカジュアルなスーツスタイルにマッチします。
▼組み合わせ9:セットアップ×ベルジャンシューズ
最近流行りのスリッポンの代表格がこのベルジャンシューズと呼ばれる靴。薄手の二の甲と小振りのエッグトゥが特徴で、足元はすっきりとスリムアップされたセットアップスタイルが仕上がります。甲革が切り替えられていたり、タッセルが付いていたり、さりげないディテールで個性を発揮できます。
おすすめ
『ボードイン アンド ランジ』タッセル付きベルジャンローファー
ビスポークシューズからの影響を色濃く感じさせるハンドメイドによる靴作りで、ベルジャンシューズの人気を決定づけたのが、ロンドン生まれの『ボードイン アンド ランジ』。これは、ゴードスエードのアッパーに対し、ナッパレザーによるパイピングとタッセルで上品なアクセントを添えた1足。
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池田 やすゆき
「FINEBOYS」編集部を30歳で独立。以後フリーのファッションエディター&ライターとして「MEN’S EX」「LEON」「GQ」「AERA STYLE MAGAZINE」など各メンズ誌・WEB版のほか、企業広告、オウンドメディアにて執筆。BBQインストラクター、第二種電気工事士など資格多数。目下の目標は危険物取扱者乙種4級取得。