やっぱりほしい、オメガ。名門ブランドの人気モデルを再確認
男性が着けたい高級腕時計のランキングで、『オメガ』は常に上位。デザイン、機能、格式のどれもが一流で憧れの的なのだ。そんな名門ブランドの魅力を掘り下げていこう。『オメガ』というブランドについて、改めておさらい
2018年に創業170周年を迎えた『オメガ』は、時計師ルイ・ブラン氏がスイスのラ・ショー・ド・フォンで前身会社を興したことに始まる。同地は2009年、隣町のル・ロックルとともに“時計製造業の都市計画”の地として世界文化遺産に登録されるなど、古くから時計産業が盛んだった。その中でも同社の歴史は輝かしく、創成期から高精度なラブラド―ルや社名の由来となったオメガ(キャリバー19)といったムーブメントを開発、さらに人気シリーズ、「シーマスター」と「スピードマスター」を生み出し、大成功を収めることに。現在では数少ないマニュファクチュール(自社一貫生産)ブランドとして、革新的な腕時計を輩出し続けている。
腕時計玄人からも『オメガ』が愛される、3つの理由
『オメガ』といえば、初めて月へと携行されたことで「ムーンウォッチ」の異名を授けられるなど、人類の多くの歴史的瞬間に立ち会っている。それだけ信頼を勝ち取ってきたブランドであり、今なおイノベーションを継続中だ。また映画やスポーツシーンでも重用されており、ファンも多い。
理由1
腕時計史にその名を刻む、背景のあるブランドだから
「ひとりの人間にとっては小さな1歩だが、人類にとっては偉大な飛躍である」。この有名な言葉はアポロ11号の船長、ニール・アームストロング氏が月へと降り立った際に発言したもの。このとき、彼の腕には数ある中からNASA(アメリカ航空宇宙局)によって公式装備品に選ばれた「スピードマスター」が巻かれており、地球上よりはるかに厳しい環境の宇宙空間でも機能することを実証し、その知名度が上昇。ここから「ムーンウォッチ」というニックネームが与えられ、船外活動で使うことをNASAが唯一認定したのだった。
また、1919年に時計の精度を競うヌーシャテル天文台コンクールでは1位を獲得。そのほか1970年の海底油田探査、ヤヌス計画でプロの潜水士たちに「シーマスター プロプロフ 600」を供給するなど、『オメガ』は誰かに語りたくなる逸話に事欠かない傑出したブランドなのである。
理由2
映画やオリンピックの舞台にもたびたび登場
スパイ映画の金字塔『007』の主人公であるジェームズ・ボンド氏と1995年からパートナーシップを組んでおり、劇中では彼の“装備品”として「シーマスター」が登場。また映画公開を記念した限定コラボウォッチも製作され、毎回セールアウトする人気を誇っている。さらにオリンピックでは2018年現在夏・冬両大会合わせて28回も公式タイムキーパーを務めており、2020年の東京大会も担当予定。1932年開催のロサンゼルス五輪から積み重ねた計時テクノロジーの信頼性は高く、どのメーカーも達したことのない領域を突き進んでいる。
理由3
コーアクシャル脱進機やマスター クロノメーターなど先進性が充実
コーアクシャル脱進機とは、同社が初めて量産化したムーブメントの構成パーツ。精度を司る部分に従来よりも磨耗しにくい設計を採用しているため、最小限の注油で長期間機能を継続できる。メンテナンスの回数を低減できるとして、1999年からこの画期的技術の採用を開始している。さらに近年、この脱進機を含む部品にシリコンなどの非鉄素材を用いて超高耐磁機能を生み出すことに成功。METAS(スイス連邦計量・認定局)と共同で耐磁、精度、防水などの厳格な検査を通過した腕時計のみ授けられるマスター クロノメーターのシステムを確立させた。
まずは基本。『オメガ』を代表する2大シリーズをチェック
『オメガ』不動の2トップといえば、NASAの信頼を勝ち取って月面で初めて使われた「スピードマスター」と、このベースモデルにあたる「シーマスター」である。前者はクロノグラフの理想形を目指して、後者は既成概念を覆すダイバーズとしてそれぞれ開発された。そして現在は多彩なバリエーションを展開していることでも知られる。
スピードマスター プロフェッショナル
1957年、スピードマスターはシーマスターのクロノグラフバージョンとして誕生。モデルチェンジを繰り返しながら続く、同社アイコンモデルである。「スピードマスター プロフェッショナル」はオリジナルの正統派後継機であり、昔ながらの手巻きムーブメントやヘサライト風防を備え、黒文字盤や3カウンターのデザインも継承している。アポロ計画ではほかに、爆発事故によって地球への帰還が難しい状況に陥った13号の時代でも活用され、宇宙船の電子機器が使えないなか、地球に降下するための“14秒間”のエンジン噴射を装備していたスピードマスターで計ったという。
ねじ込み式の堅ろうな裏ぶたにシーホースをレリーフ。これはシーマスターの特徴的なディテールのひとつで、派生モデルであることを意味する名残である。その周りにはNASAが宇宙空間のミッションで使うことを認めることや、月で初めて着用されたことを表す英文がプリントされている。
シーマスター プラネットオーシャン マスター クロノメーター
2005年に「シーマスター」シリーズのフラッグシップモデルとして登場した、深海で最も視認性に優れるオレンジをアクセントに使う「プラネットオーシャン」の現行モデル。『オメガ』は1930年代から潜水時計の研究・開発に力を注いでおり、それら歴代モデルで培われた防水技術や読み取りやすいデザインを今機種に投影している。またムーブメントにマスター クロノメーターのキャリバー8900を採用し、高い精度と業界最高値の耐磁性15,000ガウスを実現。プロダイバー仕様のため、10時位置に飽和潜水用の手動式ヘリウムガス排出バルブを、ベゼルには傷やサビに強く退色しないセラミック製の逆回転防止ベゼルを備える。
裏面も風防と同じく、高硬度なサファイアクリスタルガラス製をセット。これによって搭載するムーブメントの精緻な作りを眺めることができ、一般的には裏ぶたが非スケルトン式のダイバーズに現代的な楽しみを与えた。だからと言って防水スペックに抜かりはなく、深海600mもの水圧に耐えられるタフな設計になっている。
2大巨頭だけじゃない、『オメガ』の人気モデル5選
これら以外にも、『オメガ』はハイスペックなスポーツウォッチから美しいドレスウォッチまで数多くを揃える。とくに近年はマスター クロノメーターの認定を受けるコレクションが増加しており、他社に対しての圧倒的なプライオリティになっている。とりわけ人気が高く、おすすめなモデルをピックアップした。
1本目
スピードマスター レーシング マスター クロノメーター
2017年に誕生した「スピードマスター」のバリエーション。カーレースをイメージさせるチェッカーフラッグパターンをダイヤル外周に配し、リキッドメタルによってくっきりしたタキメータースケールを実現したセラミックベゼルを備える。3時位置のインダイヤルで12時間と60分の積算計を同軸表示。マスター クロノメーター認定のキャリバー9900を搭載する。パンチング加工されたカーフストラップをセット。シースルーバック。ケース径44.25mm。自動巻き。
2本目
スピードマスター 38mm
こちらも2017年にリリースされた「スピードマスター」で、直径38mmのユニセックスモデル。スピードマスターらしいデザインをベースに、楕円形のサブダイヤルや細いタキメーターベゼル、カレンダー機能などを採用してモダンなスタイルに仕上げた。文字盤はアイスブルーのほかにシルバーやブラック、さらにマザー・オブ・パールもあり、ケースは18Kイエローゴールドとステンレススチールを組み合わせたものも用意するなど、バラエティの豊かさも魅力。自動巻き。
3本目
シーマスター アクアテラ マスター クロノメーター
「シーマスター」に属するものの屈強なダイバーズではなく、普段使いにも優れるマリンウォッチというポジション。そのため生活に必要十分な150m防水で、写真の41mmに加えて38mmの2サイズを展開する。“チークコンセプト”と呼ぶ横ストライプをあしらった左右対称のダイヤルに、楔型のインデックス、矢印型のブロードアロー時針、日付表示をレイアウト。15,000ガウスの耐磁性能を備える自動巻きムーブメント、キャリバー8900を搭載。ラバーストラップ。シースルーバック。
4本目
コンステレーション グローブマスター
伝統を重んじるドレスウォッチシリーズから生まれた「コンステレーション グローブマスター」は、同ブランドにおいてもいち早くマスター クロノメーター認定を受けた1本。フルーテッドベゼルや立体感のあるバーインデックス、ロジウム仕上げを施した固有の星印(6時位置)を備え、シンプルながらも個性を演出している。パワーリザーブ60時間を誇り、超高耐磁性能を持つ自社製の自動巻きムーブメント、キャリバー8900を搭載。アリゲーターストラップ。シースルーバック。ケース径39mm。
5本目
デ・ヴィル プレステージ
クラシックかつエレガントという不変的なスタイルを追求するドレス系シリーズ、「デ・ヴィル」のスタンダードモデル。直径39.5mmの美しいラウンドケースほか、サンブラッシュ仕上げのブラックダイヤル、ポリッシュ仕上げのプレステージブレスレット、コーアクシャル脱進機を備えるクロノメーター認定のキャリバー2500など、『オメガ』のクオリティを満足度の高い価格帯で楽しめるハイコストパフォーマンスな逸品。3時位置に日付表示。3気圧防水。自動巻き。
雑誌やWEBを中心に活動するモノ系フリーライター。時計やクルマへの趣味が高じ、それらを専門的なジャンルとしている。最近欲しいモノは、同い年のアンティークウォッチ。