マーガレット・ハウエルの魅力とは? “普通”でおしゃれな大人服のススメ
『マーガレット・ハウエル』は、タイムレスでユニセックス、そしてデイリーに着られる服作りで人気。魅力をはじめ、シンプルかつ上質なアイテムのラインアップに迫ります。女性が作る、男服。だからこその魅力が『マーガレット・ハウエル』にはある
『マーガレット・ハウエル』はイギリスを代表するデザイナーのマーガレット・ハウエル氏が立ち上げたブランドです。きっかけは、1970年にチャリティーバザーで見つけた繊細な縫製のピンストライプのシャツ。男性の服飾における機能性やデザインの由来を女性ならではの柔らかな感性で咀嚼した服たちは、着心地の良さは言うまでもなく長きに亘って愛用できると、シンプルで上質な装いを好む男性から熱い支持を受けています。
『マーガレット・ハウエル』はメンズのシャツからはじまった
美大を卒業後に自身の名前を冠したショップを営んでいたマーガレット・ハウエル。ある日、バザー会場で見つけた1920年製のシャツの出来の良さに感動した彼女は自宅のキッチンでメンズシャツを作り始めます。当時は華美な装いがもてはやされた1970年代であり、シャツは糊を利かせて着るのが当たり前の時代。シンプルなデザインと上質な縫製を重視し、洗いざらしで着ることを提唱した『マーガレット・ハウエル』のシャツは、当時の服飾業界の真逆を行くものでした。皆がその魅力に気づいたのは、80年代に入ってDCブランドが台頭しはじめてから。約10年の月日が経てブレイクを果たしたことは、言い換えれば『マーガレット・ハウエル』が時代を超えた普遍性を備えている証明といえるでしょう。
シャツ作りからブランドのスタートをスタートしたこともあり、今も『マーガレット・ハウエル』を代表するアイテムといえばシャツ。ノーアイロンでざっくりと着こなすことをブランドとして最初に提唱したことでも有名です。そのため洗いざらしで着た時に美しい風合いが生まれる素材や仕立てを採用しており、腕まくりや裾を出してラフに羽織っても品良くキマります。
普通で、ずっと着られるのも『マーガレット・ハウエル』の特徴です
シーズン毎のトレンドを追いかけずに、ベーシックかつタイムレスなモノ作りをおこなっているため、来年、再来年と着続けることが可能です。もちろんロングタイムで愛用できるよう、生地や縫製のクオリティも最高級のものを採用しています。また、同じ型のシャツを毎年リリースしているように思えて、生地の厚みや色味、襟型をわずかに調整するなど、1970年にシャツを作り始めて以来、常にアップデートをおこなっています。
『マーガレット・ハウエル』で着るなら、こんな服。ライターのおすすめ5選
上質な素材と縫製、ベーシックなデザインによって長く着続けられるのが『マーガレット・ハウエル』のアイテムの特徴。一度リリースすると基本的なパターンはそのまま、小改良を加えながら定番として販売され続けることが多いのも、同ブランドのモノ作りの特徴です。
アイテム1
『マーガレット・ハウエル』 PLAIN COTTON POPLIN
細番手の糸を高密度に織り上げたコットンポプリンを素材に、同ブランドらしいニュアンス感のあるカラーに仕上げたレギュラーカラーシャツ。ミニマルなデザインながら、シルエットはややボクシーにして現代的にアップデートされています。
アイテム2
『マーガレット・ハウエル』 SHIRTING LINEN
デイリーでシンプルなウェアを提唱する『マーガレット・ハウエル』らしさが溢れるのが、ノーカラーシャツ。リネンならではのクシャっとした風合いがシンプルな仕立てにアクセントを添えています。ブルー寄りのネイビーを選択することで、爽やかさに拍車をかけています。
アイテム3
『マーガレット・ハウエル』 HIGHDENSE SHIRTING LINEN
リネン素材のボディにニットのポロ衿をアクセントとして採用。高密度に織りなしたリネン生地をもとに時間をかけて下加工や染色をおこなうことで、リネン本来の膨らみ感やテロリとした柔らかさを引き出しています。
アイテム4
『マーガレット・ハウエル』 WATER REPELLENT LIGHT COTTON POPLIN
スウェーデン軍の冬季用スモックを彷彿とさせるオーバーシルエットなデザインを前開き仕様にすることで、ざっくりと羽織れるように仕立てたブルゾン。高密度コットンにシリコンコーティングと撥水加工を施しつつバックヨークのベンチレーションでムレを防ぐなど、デイリーウェアの着心地と簡易レインウェアのスペックを両立しています。
アイテム5
『マーガレット・ハウエル』LIGHTWEIGHT COTTON LINEN
生地に適度な膨らみとシワ感を与えてカジュアルな表情を出したコットンリネン素材を使用した、パッチポケット&センターベントの3つ釦ジャケット。ドライなタッチ感が特徴の素材を一枚仕立てでリラックスフィットに仕上げており、盛夏でもさらりと羽織れます。
革小物、腕時計、スニーカー……。『マーガレット・ハウエル』には小物も充実
プロダクトデザインの分野にも高い関心を持っている『マーガレット・ハウエル』。そのため、腕時計などの服飾小物はもちろんアパレル以外への製品も積極的にリリースし、ファッションブランドというよりもライフスタイルブランドへと成長を遂げています。
アイテム1
『マーガレット・ハウエル』 ITALIAN OIL LEATHER
ベジタブルタンニンなめしをおこなったイタリア製の肉厚なオイルドレザーをアッパーに使用したサンダルは、甲と両脇を広く覆ったデザインが特徴。タンニンなめしの革は履き込むうちにしなやかに足に馴染み、ソックスと合わせて履くことで長いシーズンに渡って活用することができます。
アイテム2
『マーガレット・ハウエル』×『ミズノ』 MIZUNO
『ミズノ』が1970年代のレトロランニングスニーカーを現代に蘇らせたM-LINEに『マーガレット・ハウエル』が別注。ランナー向けの木型ならではのフィット感は言うまでもなく、今季はシックなブラックを採用することでコーディネートを選ばずに履ける1足に仕上げています。
アイテム3
『マーガレット・ハウエル』 LEATHER II
程良くオイルを染み込ませた牛革を用いた、コンパクトな三つ折り財布。血筋やトラなど原皮の風合いを生かした染料仕上げのため、1点ずつ個体差があるのも魅力。カードスリットや札入れ、L字ジップ付きのコインポケットを備えていて、コンパクトながら収納力は十分です。
アイテム4
『マーガレット・ハウエル』 PLANE WEAVE COTTON
コットンキャンバスの裏面にPVC加工を施して防水性を付与したバックパックは、トートにもなる2WAY仕様。半円筒形の荷室を基準に構成され、ドローコードの開口部や斜めに施された底部のウェビングテープなど、オリジナリティ溢れるデザインが施されています。
アイテム5
『マーガレット・ハウエル』JAPANESE VENTILE
日本製のベンタイルを使用したポーチはカーキとブラックの2色使いがポイント。もともとベンタイルは第二次大戦中にイギリス軍がパイロットが海中に墜落したときに命を守ことができるように開発した、クラシックな防水機能性素材の1つ。英国由来の『マーガレット・ハウエル』らしい生地使いです。
気になる『MHL』とは? 『マーガレット・ハウエル』との違いとアイテムのラインアップ
『マーガレット・ハウエル』のカジュアル版として、日本企画で03年に誕生したのが『MHL』。ブランドの世界観はそのまま、生産背景を見直すことによってリーズナブルな価格帯を実現しているのが、最大の魅力。『マーガレット・ハウエル』は気になるけれど、毎日身につけるには価格がネック……、と悩んでいる人は『MHL.』のアイテムをチェックしてみてはいかがでしょうか?
アイテム1
『MHL.』 HEAVY COTTON CANVAS
誰しも街で見かけたことがあるに違いないのが、古い力織機で織り上げた肉厚なコットンキャンバスに製品洗いでシワ感を出し、ステンシルロゴをプリントしたトートバッグ。丈夫で大容量のため、プラ袋が有料になった今こそショッピングバッグとして活躍してくれそうです。
アイテム2
『MHL.』 PROOFED COTTON POPLIN
高密度に織り上げた薄手のコットンポプリン素材を使ったスプリングコート。シンプルなステンカラータイプのパターンに印象的なスラントポケットを配しています。シャワープルーフ加工が施されており、小雨であればしのげるのもうれしいところです。
アイテム3
『MHL.』×『アーバンリサーチ』GARMENT DYE JERSEY
『アーバンリサーチ』の別注アイテムは、製品染めによる奥行あるニュアンスカラーや、肩周りを動かしやすいラグランスリーブが特徴。汗をかいてもべたつかず着心地の良さをキープできる裏毛Tシャツです。
アイテム4
『MHL.』×『ループウィラー』 LIGHT LOOPBACK COTTON
日本が誇るニッティングメーカー、『ループウィラー』に『MHL.』がスペシャルオーダーをかけて製作したスウェットパーカー。希少なつり編機を使用して編み上げたスウェットボディに縫い代隠しの衿伏せテープなど、細部までこだわり抜いています。
アイテム5
『MHL.』×『コンバース』MHL ALL STAR
オールスター生誕100周年を記念したALLSTAR100をベースに『MHL.』のスタイリングにフィットするようナチュラルテイストなソールに変更。通常より軽めのキャンバスに製品洗いを施し、かかとのヘリンボーンテープやコットンシューレースを採用するなど、随所にこだわりが隠されています。
アメカジ&アメトラを中心にラギッドな視点で解説
那珂川廣太
バイク専門誌と男性向けライフスタイル誌で編集を約8年務めたのちに独立。ファッションはアメリカンカジュアルからトラッドまで幅広く執筆を行い、特にブーツやレザー、ジーンズ、古着など男臭いアイテムの知識が豊富。また乗り物やインテリア、フードまでライフスタイル全般にわたって「ラギッド」を切り口に執筆する。