サボテンを育てて飾ろう。初めての1鉢におすすめなのはこの10種
セレクトショップでポップアップショップが開かれたり、植物イベントが各地で催されたりと人気のサボテン。初心者でも育てやすい種類や育て方のポイントをご紹介します。観葉植物の中でもメジャーなサボテン
サボテンは、多肉植物の中のサボテン科に属し、アメリカや中米、メキシコが原産地。湿度が低く、乾燥している地域に生息しています。サボテンの特徴として、トゲをイメージされる方は多いと思いますが、種類によってはトゲがないものも。サボテンには、必ずトゲの根元に「刺座(しざ)」という綿毛のような白い部分があり、これが他の多肉植物と区別する特徴となっています。もちろんトゲがないものにも刺座はあります。
サボテンは種類が豊富。定番から個性派まで、おすすめ10種
サボテンは、何千と種類があります。成長が非常にゆっくりなものもあれば、突然変異が起こるものなどさまざま。姿が個性的なものも多く揃っています。ここでは比較的ポピュラーな種類をピックアップしてご紹介。最初の1鉢やギフトにもおすすめです。
種類1
ロフォフォラ
ロフォフォラ属のサボテンで「鳥羽玉(ウバダマ)」「翠冠玉(スイカンギョク)」などが有名です。トゲのないサボテンで、ふっくらとしたフォルムにふわふわした白い毛が生えます(ちなみに、小さいときは毛が短いため目立ちません)。それがたまらなくかわいく、ついなでたくなる質感です。成長するとかわいらしい花を咲かせることもあります。
種類2
ウチワサボテン
雑貨などのモチーフでもよく見る、これぞサボテン! というシルエットの「ウチワサボテン」。まるでうさぎの耳のような見た目から「バニーカクタス」や和名では「白桃扇(ハクトウセン)」とも呼ばれます。白いドットのように見える部分は柔らかいトゲです。トゲはつきやすく、取るのが大変なのでうっかり触れないようにしましょう。
種類3
金鯱(キンシャチ)
「金鯱」はエキノカクタス属のサボテンです。とてもポピュラーでサボテンの定番といっても過言ではありません。トゲはきれいな金色で、黄色い花を咲かせます。植物園などでは大きい「金鯱」が展示されていて、その姿はどっしりと迫力がありますよ。ちなみに大きくなるまでには何年も掛かります。
種類4
エピフィルム・アングリガー
クネクネと波打つラインを描く「エピフィルム・アングリガー」。森林に自生する植物です。その見た目がまるで魚の骨のようということもあり「フィッシュボーンカクタス」とも呼ばれています。置いてももちろん絵になりますが、おすすめはハンギングスタイル。吊るす場合は鉢が重たくないものを使用しましょう。
種類5
リプサリス・カスッサ
こちらもハンギングがおすすめのサボテンです。先にご紹介した「エピフィルム・アングリガー」と同様に「リプサリス」は森林性のサボテンで、「ウチワサボテン」や「柱サボテン」などとは異なり、乾燥より湿気を好みます。そのため、霧吹きでこまめに葉水をすると良いでしょう。健やかに育っていると春先に小さくかわいらしい花が咲きます。
種類6
紫太陽
赤紫色のトゲが特徴的なエキノセレウス属のサボテンです。縦へ伸びるように成長し、大ぶりで鮮やかなピンク色の花を咲かせます。開花時は紫×ピンクの花で華やかな姿を楽しめます。丈夫で育てやすい種類ではありますが、湿気が苦手なので、梅雨から夏の時期は風通しの良い涼しい場所で管理すると◎。
種類7
白閃小町(ハクセンコマチ)
パロディア属のサボテンです。真っ白いトゲがきれいに並び、真上から見たときがとにかく美しいフラクタル模様なんです。大ぶりで黄色い花を咲かせます。ポピュラーな品種で比較的育てやすいので初心者さんにもおすすめです。
種類8
ペンタカンサ
ギムノカリキウム属のサボテンです。濃いめの緑色でハリがあり、ぷっくりとした姿が特徴的な「ペンタカンサ」。トゲはなだらかに株に沿うようにカーブしていて比較的細めです。角がないフォルムなのでかわいらしい印象があります。直射日光が強すぎると葉焼けしてしまうので、遮光気味で育てるほうがきれいに育ちます。こちらは子株で増やすことが可能です。
種類9
鸞鳳玉(ランポー玉)
アストロフィツム属のサボテンです。真上から見たら、まるで星のよう! 同じ「ランポー玉」でもゴツゴツした見た目や、白点で覆われたものなど種類が多く、コレクターも多くいます。「ランポー玉」は、年に1回ほど植え替えると生育が良くなりますよ。植え替え時期は春が向いていて、冬は避けたほうが良いでしょう。黄色い花が咲きます。
種類10
兜丸(カブトマル)
「ランポー玉」と同じくアストロフィツム属のサボテンです。トゲがなくふわふわの刺座があります。基本的に黄色い花が咲きます。成長がゆっくりなことと、コンパクトなサイズ感なのでベランダや窓辺などちょっとしたスペースでも育てることができます。ただし、日当たりと風通しは必要です。寒さには弱めなので冬は暖かい場所で管理しましょう。白点の大きさも個体差があるので好みのものを探してみて。
簡単そうに見えて室内で育てるのが難しい。サボテンの育て方
「サボテン、枯らしちゃったから……」「水やりはいらないんでしょ?」「水は霧吹きでやっている」といったさまざまな言葉を耳にします。乾燥に強いイメージから育てるのが簡単にそうなサボテンですが、育て方の基本を知らないでいると意外にも枯らせてしまうことが……。以下で水やり、置き場など知っておきたいことをまとめました。
ポイント1
できれば室内より、屋外で管理を。日光と風に当てよう
屋内より屋外のほうが風通しが良く、日も当たるのでサボテンにはうれしい環境です。屋外で育てる場合は、雨ざらしにならないように屋根のある場所で管理をしましょう。簡易温室を使うのも1つの手です。日光が不足していると、徒長してひょろひょろとした姿に育ちます。できれば西日ではなく、午前中に日が当たる東~南が理想。強すぎる日光は葉焼けの原因になるので、遮光ネットなどを使い調整をしてください。とはいえ、部屋の中で愛でたいというのならば、出かける前に庭やベランダの日当たりの良いところに出すようにして管理すると良いでしょう。冬の気温の低い時期や台風などの悪天候時は屋内に取り込むように。
ポイント2
霧吹きだけではNG。土が乾いたらたっぷりと
水やりは毎日は不要ですが、土が乾いたら、“鉢底にある穴から水が流れ出るくらいたっぷり”と水やりをします。霧吹きは「葉水」で乾燥予防にはなりますが、水やりにはなりません。また、過度な頻度での水やりは根腐れの原因になりますので注意を。サボテンは多く水分を保っているので、多少水やりを忘れても枯れてしまうことは稀。種類ごとに成長期があるので、それに合わせて季節ごとに水やりの頻度を変えることも大切です。購入したらそのサボテンがどういった種類なのかを調べて管理をすることをおすすめします。夏は夕方の涼しい時間に、秋~冬の気温が低い時期は暖かい昼間に水やりするのが良いです。
ポイント3
暑すぎる、寒すぎるは苦手。季節に合わせて場所を変えると◎
暑いのが好きそうなイメージがあるサボテン。しかし、日本の暑さは話が別です。猛暑日はサボテンにとって決して良いわけではありません。日光と気温で鉢内の温度も上がり根が傷む場合もあります。真夏の猛暑日が続く場合、できるだけ涼しく風通しの良い場所へ移動するなどの工夫をしてください。反対に真冬の寒すぎる環境も避けたほうが良いでしょう。気温が低い場合は室内の日当たりの良い場所で管理を。空調などで乾燥しすぎる場合は、葉水をするなどして湿度を適度に保つようにしましょう。
ポイント4
肥料は緩効性か液体肥料を成長期に適量施す
肥料は常に施す必要はありません。施すタイミングは成長期の少し前か、成長期。ゆっくりと効く緩効性肥料を植え替え時に土に混ぜるだけで十分な場合もあります。市販のサボテン・多肉植物用の土には最初から肥料が入っているものもあります。その場合は肥料を混ぜる必要はありません。購入時に肥料入りか確認をすると良いでしょう。液体肥料のほうが、即効性はあります。とはいえ、ぐんぐんと目に見えて変化があるわけではないので、何度も施さないように。パッケージなどに記載のある規定量を守って使うようにしましょう。
ポイント5
ハダニ、カイガラムシなど害虫は早めに対処しよう
表面がガサガサしたり、ツヤがなかったりする場合はハダニが発生している場合があります。ハダニは乾燥を好みますので、適度に霧吹きをするなどして乾燥を防ぐと予防につながります。もし発生してしまった場合は、薬剤を散布して対処します。表面に白い貝のようなものが付いてきたら、カイガラムシの可能性があります。カイガラムシは養分を吸汁する害虫です。見つけた場合はすぐブラシなどで取り除き、薬剤を散布し対処します。ふわふわした白い綿のような姿の場合もありますので、同様に対処しましょう。
ポイント6
植え替え時は土が乾いているときに。水やりはすぐにはしない
植え替えのタイミングは成長期の少し前くらいが良い時期。植え替えは土が乾いているときに行うと、古い土がほぐれやすく植え替えしやすいです。根が鉢にパンパンに詰まっていた場合は、古い根はカットして整理してから植えるのがおすすめ。ちなみに、カットした場合は根が乾いてから植えるようにしましょう。サボテンはすぐに植え付けなくても枯れることはありません。根が乾いてから植え、1週間~10日後に水やりをします。
まだある。サボテンの管理で知っておきたいあれこれ
育てていると、「これは大丈夫なのかな?」ということも出てきます。ちょっといつもと違う、買ってきたときから形が変わった、などは環境を見直すと良い場合もあります。サボテンからのサインを見逃さないためにも知っておきたいことをまとめました。
気がついたら茶色や白っぽくなっている……
この前までは緑だったのに、茶色や白く変色している。それは葉焼けの場合があります。強い日光にいきなり当たることで焼けてしまい変色することがあります。一度焼けてしまった部分は緑色に戻ることはないので、日が強いと気づいたら移動するか遮光ネットで調節する、強い日が当たる時間はティッシュを1枚掛けるなどして、直射日光が当たらないようにしましょう。冬から春へ、春から夏への季節の変わり目は日差しの強さが変わることをお忘れなく。冬に室内で管理していた株を外に出す場合は、徐々に日光に慣らしつつ外へ出して葉焼けしないように調節しましょう。
下部の色が変わって硬くなる「木質化」とは
大きな柱サボテンなどによく見られるのが木質化です。写真のように下部が緑ではなく、木の表皮のようになってきます。水分を多く含むサボテンは重たいため、その重みを支えるために幹が木のように硬くなることがあるんです。小さいサボテンでも生育環境が好ましくない場合になることがあります。病気ではありませんが、気になる場合は植え替えなど生育環境の見直しをしてみても良いでしょう。
先がどんどん細く育ってひょろひょろ「徒長」
成長はしているけれど、先端がとんがってきたり、ひょろりと細くなってきたり……。それは徒長といい、日光不足や水やりが多すぎて起こります。徒長した部分は戻すことはできませんが、環境を変えることでまた元の形に近づけることはできます(その場合、くびれたような形になります)。形が崩れて育っている場合は管理している環境、水やりの頻度などを見直すと良いでしょう。形の崩れが気になる場合は切り戻すことができる種類もあります。ダメになったわけではないので、大切に育てましょう。
ぜひ参考に。サボテンをおしゃれに取り入れたインテリア実例
サボテンを健やかに育てるには日光や風通しが要ということがわかったと思います。日当たりを確保し、サボテンが育つ環境を作りつつ、おしゃれに飾った好例をご紹介します。
インテリア例1
小さめサボテンはトレーにまとめて日用品と一緒に
トレーにひとまとめにして飾ることで目につかない場所に置いてうっかり放置してしまったということが防げるだけではなく、日当たりの良いところへの移動もしやすくなります。近い属などでまとめておけばより管理しやすくなりますよ。
インテリア例2
ミニマムなトーンと空間に緑をポイントでプラス
打ちっ放しのコンクリートを生かした部屋には植物があるだけで冷たい感じが和らぎます。窓辺に1鉢あると明るさが増すというもの。プラントハンガーや鉢のトーンを合わせると部屋にも馴染み、緑がポイントになって、少ない数でもしっかりと映えます。
インテリア例3
鉢のトーンを統一。園芸店のような部屋作り
鉢数がたくさんあるならば、あえて同じ鉢でまとめて並べ、まるでお店のように飾るのも1つの手です。種類ごとに鉢のデザインを変えたり、ラベルを合わせたり工夫するのも良いですね。大鉢は鉢カバーを使ってトーンを合わせればよりまとまりが出ます。
インテリア例4
家具を使って、数は少なくてもバランス良く飾る
鉢の数が少なくても、素敵に飾ることは可能です。その場合は家具をうまく使いましょう。同じサイズ感でも、鉢スタンドやスツールなどを使って高低差をつけると抜け感が出るだけではなく、空間をうまく使うことができます。鉢の数は偶数より奇数のほうがバランスが取りやすいです。
インテリア・雑貨
多肉植物を育てる前に。知っておきたい人気の種類や育て方のコツ
そのおしゃれなルックスから、部屋のインテリアとしても人気を集めている多肉植物。これから育てたいと思っているあなたに、人気の種類や育て方のコツをご紹介します。
イトウ ジュン
2021.03.22
インテリア・雑貨
観葉植物で部屋を彩ろう。おしゃれで映える飾り方のアイデア
おしゃれな部屋の共通点、それは観葉植物を飾っていること。インテリアとして部屋を彩るのはもちろん、育てる楽しみも魅力の1つでハマる大人も多いんです。
イトウ ジュン
2021.06.08
インテリア・雑貨
塊根植物・コーデックスってどんな植物? おすすめの種類と育て方のコツ
SNSで見かけたり、セレクトショップでPOP UPが開催されたりと今人気の塊根植物(コーデックス)。ぽってりとしたフォルムやユニークな表情に、虜になる大人が多いんです。
イトウ ジュン
2020.12.10
インテリア・雑貨
“男前”な観葉植物で作る、癒しとくつろぎの空間術
おしゃれでカッコいい男前インテリア。ハマっているのは主に女性ですが、“男前”とつくのですから男性にもおすすめ。なかでも取り入れやすい男前な観葉植物を紹介します。
Asami Kitsukawa
2016.08.25
インテリア・雑貨
プランターにだってこだわりたい。観葉植物や家庭菜園を彩るおしゃれな10アイテム
観葉植物や家庭菜園が人気の高まりを見せる今、注目を浴びているのがプランターです。おしゃれなデザインが豊富に揃うので、部屋や庭に合う1点を見つけてみては?
イトウ ジュン
2021.02.08
インテリア・雑貨
定番観葉植物のフィカスとは? その仲間や育て方のコツとおしゃれなインテリア例
観葉植物で人気の種類といえば、フィカス。よく耳にするウンベラータやガジュマルもフィカス属の植物なのです。その種類から育て方のコツ、飾り方などをご紹介します。
イトウ ジュン
2021.03.06
自宅で育てている観葉植物は300以上
イトウ ジュン
都内のインテリア雑貨屋の観葉植物、多肉植物の仕入れ、販売を担当したことをきっかけに植物にのめり込む。さらにアレンジとディスプレイにも興味を持ち、アレンジメントスクールに通い、植物を使ったディスプレイなどの仕事にも携わる。特に好きなのは多肉植物。洋服もフラワープリントのものにときめく。