半世紀の歴史から生み出される、アイヴァンのメガネから目が離せない
日本が誇るべきファッション産業の1つといえる福井県鯖江のメガネ作り。そのMADE IN SABAEの名を世界に知らしめた立て役者的存在である『アイヴァン』の魅力に迫ります。ポッと出ではないファッションアイウェアブランド。『アイヴァン』とは?
『アイヴァン』というと、最近誕生したばかりの新興アイウェアブランドのように思われがち。ですが、実はさにあらず。その源流を辿ると、日本のメンズファッションの祖である石津謙介氏率いる『ヴァン』が1972年に立ち上げたアイウェアブランドに端を発します。そして1985年にはロサンゼルスの人気アイウェアショップ&ブランドである『オリバーピープルズ』の目に留まり、アメリカでの展開もスタート。その後、ブランドの休止やネーム変更などを経て、2018年に誕生当時の名前である『アイヴァン』を掲げてリローンチを果たしたという老舗ブランドなのです。
職人の技術と最先端のトレンドの融合で魅せる『アイヴァン』のメガネ
『アイヴァン』の最大の功績が、“着るメガネ”をコンセプトに掲げることで、当時は医療器具として捉えられていたアイウェアにファッションの概念を盛り込んだこと。そして何よりアメリカでの『アイヴァン』製品の販売を行いつつ、同社に自社製品の製造を委託していた当時の『オリバーピープルズ』は、ハリウッドの映画関係者が劇中の小道具としてメガネを探しに来るヒップな場所でもありました。ときとして無茶振りともいえる彼らの要求に応えるために『アイヴァン』は鯖江の生産背景をフルに使い、ハリウッドのニーズと最先端のトレンドを盛り込んだラインアップを拡充させていきます。その結果、「高品質なメガネはフランス製かドイツ製」と思われていた時代に「メガネは日本製に限る」といわれるようになるほどの知名度を獲得するに至ったのです。
『オリバーピープルズ』のディレクター、ケニー・シュワルツ氏が「『アイヴァン』と『オリバーピープルズ』はともにファッションショーのランウェイやヴォーグ誌で目にするようなアイウェアを目指した」と証言するように、当時の『アイヴァン』が目指したのはヴィンテージフレームと並べても違和感なく、にもかかわらずまったく新しいデザインのもの。その好例が名作「E-0505」でしょう。樹脂製のフロントリムをマンレイブリッジでつなぎ、1ピン1スクリューで留めたコンビネーションフレームは、発表後に多くのブランドが模倣するほど影響を与え、今ではメガネの定番スタイルとして受け入れられるまでになっています。最新でありながら、クラシックなデザイン。そして、それを形にする職人の技術。それらが組み合わさっているからこそ、『アイヴァン』のアイウェアは掛けるだけでそこはかとなく品格が加わるのです。
毎日掛けるからこそ良いモノを。『アイヴァン』で探す、相棒メガネ
メガネはデイリーに身に着けるモノだからこそ、価格を気にせず選びたいもの。『アイヴァン』のフレームは素材やパーツに至るまでこだわり抜き、すべて鯖江で製造を行っています。そのため、スリープライスブランドとは一線を画すフィッティングや耐久性を備えているのです。ここでは、そんな『アイヴァン』の製品の中から、スタイルの異なる5種類をご紹介しましょう。
アイテム1
E-0508
樹脂リムにメタルのブリッジを直接埋め込んで仕立てるフォーマットは、『アイヴァン』が名作「E-0505」を誕生させたことでメガネ界のスタンダードになったもの。こちらはその「E-0500」番台シリーズを四十数年振りにアップデートカプセルコレクションの第1弾。フレンチヴィンテージを代表するクラウンパント型にバレルシェイプをMIXしたフロントリムを採用しています。
アイテム2
ブリス
テンプルにβチタン、フロントリムにアセテートを採用した細身なボストンシェイプのコンビネーションフレーム「ブリス」。ブランドアイコンである1ピン1スクリューの留め方をヨロイ部に採用し、フレンチヴィンテージから着想を得たパーツでヨロイ裏を補強してチタン素材でかしめるという凝った構造を採用しています。
アイテム3
エスパーダ
6mm厚のフロントリムにヨーロピアンヴィンテージに範を取ったテンプルを合わせた、ボストンシェイプのセルフレーム。チタン製のクリングスやオリジナルの柄を掘り込んだテンプル芯など、フレームのボリュームに負けないよう細部まで作り込まれています。厚みのあるリムのため、レンズ選択の幅が広いのも魅力です。
アイテム4
E-0020
ブランドお得意のブリッジとクリングスが一体型になったマンレイブリッジを採用し、テンプルに龍模様の彫金が施されたボストンシェイプのメタルフレーム。2018年のリブート時に発表されたカプセルコレクションで復刻されたシリーズで、金属パーツはいずれもオリジナルデザインを忠実に守りつつ型から新たに作成。軽さと強度に優れるチタン製にアップグレードされています。
アイテム5
キャラバン
ブロウ部分をリムにのせる新構造を採用することで、メタルリムをフロントからすべて見えるようにしたサーモントフレーム。強度とデザインを兼ね備えたダブルブリッジに、現代建築から着想を得た特徴的な“しのみ”形状のテンプルを採用しています。3.5mmのチタン材を通常の倍以上の時間を掛けて立体的に仕上げたエンド部も見事です。
昨今必需品になりつつあるサングラスを、『アイヴァン』で探す
そして忘れずに注目しておきたいのが、サングラスのラインアップ。特に2018年に発表されたカプセルコレクションでは、ほぼすべてのモデルでサングラスバージョンも用意されていました。しかもイタリア製の高級ガラスレンズやオリジナルの2ベース CR39偏光レンズを使用するなど、光学面でも抜かりはありません。ここでは『アイヴァン』の原点にして最新といえるカプセルコレクションの中からサングラスをご紹介します。
アイテム1
E-0505-SG DMG BR
『アイヴァン』が海外で躍進を遂げる原動力となった、名作「E-0505」のサングラスバージョン。『オリバーピープルズ』がデザインを担ったオリジナルをもとに、チタン製にアップデートを施し、特注生地であるべっ甲柄をフロントリムに採用しています。イタリア製ガラスレンズの透明感も魅力です。
アイテム2
E-0504-SG BKG GRY
職人が手作業で七宝を施したボストンシェイプのチタン製リムを使用し、ブリッジやヨロイに繊細な彫金が施されたサングラス。テンプルにはアセテートを採用しており、3種の素材が優美なコンビネーションを描きます。こちらもイタリア製のガラスレンズを採用。
アイテム3
E-0501 DM/G
メタルフレームの内側にプラスチックを挟む、ソフト枠やインナーリムと呼ばれる手法を採用した「E-0501」。1930年代のイギリスで誕生し、80年代に流行したスタイルは、クラシックなボストンシェイプと相まって落ち着きある上質さを感じさせます。繊細なミル模様で立体感を出した金属パーツ類も見事です。
アイテム4
E-0020-SG P GRN
フロントには剛性に優れるチタン、テンプルにじゃ柔軟性に長けたβチタンを採用したメタルフレーム「E-0020」のサングラスバージョン。加工の難しいチタンに施されたドラゴン模様の彫金は日本の職人技があってこそ。クラシックなボストンシェイプのフレームと、『アメリカンオプティカル』のヴィンテージサングラスなどでもしばしば見かけるグリーンレンズの雰囲気もマッチしています。
バッグ・ファッション小物
メガネの人気ブランド12選。大人好みのアイウェアを選りすぐり
道具としての用途以上に、ファッション小物として存在感を強めるメガネ。数多のブランドがひしめきあう中、大人が手にするうえでふさわしい1本を改めて考えてみたい。
菊地 亮
2021.03.03
バッグ・ファッション小物
厳選! サングラスの人気ブランドとおすすめモデル一覧
強い日差しから目を守るという役割のほか、ファッションアイテムとしても重宝されているサングラス。定番から人気ブランドまで、大人へのおすすめを紹介しよう。
菊地 亮
2021.03.10
バッグ・ファッション小物
業界人も熱視線。アイヴォルのサングラスは、なぜ人気?
ブランド設立からわずか2年足らずにもかかわらず、高感度な大人を虜にしている『アイヴォル』のサングラス。その全貌と最新モデルに迫ります。
山崎 サトシ
2020.06.17
バッグ・ファッション小物
自分に似合うおしゃれなメガネの選び方
近年、ファッションと密接にリンクしたおしゃれなメガネが続々と登場しています。メガネを選ぶポイントと、押さえておきたいおしゃれな人気ブランドを紹介します。
桂川 千穂
2021.02.18
アメカジ&アメトラを中心にラギッドな視点で解説
那珂川廣太
バイク専門誌と男性向けライフスタイル誌で編集を約8年務めたのちに独立。ファッションはアメリカンカジュアルからトラッドまで幅広く執筆を行い、特にブーツやレザー、ジーンズ、古着など男臭いアイテムの知識が豊富。また乗り物やインテリア、フードまでライフスタイル全般にわたって「ラギッド」を切り口に執筆する。