改めて、スウォッチ。時計業界に衝撃を与えた人気モデルを手に入れる
1990年前後に空前のブームを巻き起こした、ファッションウォッチの象徴『スウォッチ』。斬新なデザインと価値観は今もなお新鮮で、我々の所有欲を掻き立てる。大人の遊び心を刺激する、『スウォッチ』というブランド
1970年代、日本製の安くて正確なクォーツウォッチが世に広まり、瞬く間にスイス時計のシェアは縮小した。俗にいう、「クォーツショック」である。これを危惧したスイス時計界は、ニコラス・G・ハイエック氏に助言を求めた。そこで彼の指揮のもとに開発されたのが、薄型のクォーツムーブメントと安価なプラスチックケース、そして若者に受け入れられるデザインを融合した『スウォッチ』だったのである。手を出しやすいリーズナブルさに加えて、信頼の置けるスイス製であること、さらに定期的なデザインのイノベーションによるバリエーションの豊かさから、ここ日本でも1990年代に大ブームを巻き起こした。
安いだけじゃない。『スウォッチ』を今おすすめする3つのポイント
1983年の初登場以来、『スウォッチ』はファッションウォッチをリードする存在であり続けている。最大の特徴であるリーズナブルさを守りつつ、著名デザイナーとのコラボや機械式ムーブのコレクションも誕生するなど、『スウォッチ』はその時々において話題となるモデルを次々に発表してきた。
ポイント1
コレクターも多数。カラフルで多彩なデザインバリエーション
時計界随一のライナップ数を誇る『スウォッチ』は、季節のイメージに合わせたデザインのほか、イベントや映画にフィーチャーしたシリーズなど、生産期間や限定数を設けた製造を行っている。そのためその時期にしか買えないものが大多数を占めており、一度買い損ねると二度と出会えないという希少性も有しているのだ。さらにユニークなカラーリングやアーティスティックなモデルも多く、手頃な価格帯ということもあってコレクションにうってつけなため、世界中に収集家やファンを有している。
ポイント2
お手頃な価格帯でも、スイスブランドらしく革新的な技術が散見
“気軽に楽しめるセカンドウォッチ”として開発された『スウォッチ』なのだから、リーズナブルでなくてはならない。そこでグループ内の信頼性の高いムーブメント製造会社、ETA社にオートメーションラインを設け、搭載するクォーツを低コストで大量に製造できる体制を整えた。また近年では「システム51」という、わずか51パーツから作られた機械式ムーブを搭載するシリーズも登場。こちらの生産ラインも完全自動化されており、これは機械式腕時計では世界初の試みであった。さらに、昨今ではバイオ由来のプラスチックをセラミックと掛け合わせることでセラミックの弱点を克服したバイオセラミックの開発、及び腕時計は磁気に弱いという通念を覆すニヴァクロン製ヒゲゼンマイの導入など、シーンを先導する革新技術も続々投入。低価格と高品質という、相反する両者を見事に達成してきたのが『スウォッチ』なのだ。
ポイント3
実はオンにも似合うデザインも多数用意
ファッションウォッチとしての印象が強い『スウォッチ』だが、1981年に作られたプロトタイプや1983年に初めて市販化されたファーストモデルは、スーツにも十分使えるスタイリッシュさが特徴だった。その意匠を継ぐ「オリジナルズ」の一部やエレガントなカジュアルさが魅力の「アイロニー」には、今もオン・オフ問わず着用できるバリエーションをラインアップしている。
チープシック&カラフル。2つの軸で『スウォッチ』のラインアップを紹介
リーズナブルにも関わらず高い満足度を味わえる『スウォッチ』なら、2本目の腕時計としてやコレクション用にもちょうどいい。必ずや好みのデザインやスペックを備える1本が見つかるはずだ。今回はオンにも似合う“チープシック”と、オフのカジュアルなコーデを後押しする色彩に富んだ“カラフル”の2軸でお届けしたい。
▼カテゴリ1:チープだけどシック。大人に似合う5本をチョイス
スーツやジャケットに合わせやすい『スウォッチ』を紹介。ただ安いだけではなく、腕時計として機能的かつデザインに個性がある逸品を選び抜いた。話題の「システム51」からも注目作が出ている。
アイテム1
スキンアイロニー42 スキン・スーツ・ブラウン
ブラッシュ仕上げの文字盤に、ブラウンの見返し、レザーストラップを配したシックな顔立ちの1本。インデックスもシンプルなペンシル針も良い意味でクセがなく、長く愛用できそうな可能性に満ちている。ケース径は42mmと大きめながら、厚みは6.7mmといたって薄め。ジャケパンスタイルの袖口に合わせても、活躍が見込める。コインを使って簡単に電池交換できるバッテリーシステムを採用。3気圧防水。
アイテム2
スキンクラシック ブラック・クラシネス
レディースモデルだが、ミニマル派におすすめしたいのがこちら。スケルトンの清涼感あるケースはなんと、3.9mm厚。名前通り肌と同化するような薄さと軽さは、この「スキンクラシック」ならではの長所だ。時刻表示も2針に絞ることで、チープシックな見た目に良い意味で反したドレス感も湛えたバランス感も秀逸。ケースバックは『スウォッチ』らしく、自分で電池交換可能な仕様となっている。直径34mm、厚さ3.9mm、3気圧防水。
アイテム3
オリジナルズ トゥワイス・アゲイン
1983年にリリースされたファーストモデルの特徴を色濃く残すシリーズ。オーソドックスなアラビア数字で構成されたホワイトダイヤルの3時位置に、ビジネスシーンに役立つ曜日&日付のカレンダー表示をレイアウト。シャツの袖口にも収まりやすく、装着もしやすい直径41mm、厚さ9.85mmのプラスチックケースに、同色ブラックのシリコンストラップを備える。3気圧防水。
アイテム4
ニュー・アイロニー・クロノ ジョーズ・スマイル
迫力感のある直径43mm、厚さ12.7mmのステンレススチールケースを採用したクォーツクロノグラフ。計測用の3つのインダイヤルを配したブラックダイヤルに、きらびやかに輝く立体的なベゼルが絶妙なコンビネーションを見せる。6時位置に実用的なデイト表示も備え、デイリーユースにも対応。堅牢で着脱しやすい、バタフライバックルを搭載している点も見逃せない。3気圧防水。
アイテム5
システム51アイロニー オレンジ・エン・ケージ
自動巻きムーブメント搭載の「システム51」その最新モデル。やや幅広な直径42mm、厚さが13.8mmのステンレススチールケースは、ビジカジコーデにもぴったりだ。しかしその一方、バトン型の時分針や6時位置のスモールセコンドがひとさじのかわいらしさもプラス。オレンジの秒針が、『スウォッチ』らしいアクセントを添える。
▼オフは気分を変えて。ポップでカラフルな5本をチョイス
休日の『スウォッチ』なら、よりクリエイティブなデザインのモデル選ぶべきだ。コーディネートのアクセントになることはもちろん、付加機能が搭載された汎用性の高いモデルも多数用意されている。クオリティにも納得の、“これ”という1本に出会えるはずだ。
アイテム6
ビッグボールド バイオセラミック
ケース径47mmというインパクトあるサイズながら軽量、腕にフィットする構造から一躍人気モデルとして知られるようになった「ビッグボールド」。同モデルに、2021年に『スウォッチ』が肝いりでリリースした新素材“バイオセラミック”を掛け合わせている。圧倒的耐傷性を有する一方、割れやすいという短所を持つセラミック。そこに2020年に開発したバイオ由来のプラスチックをMIXすることで粘りと耐衝撃性を獲得したのがバイオセラミックだ。今モデルではスケルトン仕様にしたムーブメントも色を揃えてワントーンとすることで、洗練された空気をも手に入れている。
アイテム7
オリジナルズ ダブルエックスレイテッド・レッド
ホワイトダイヤル上にダイナミックに描いた赤地の“X”や、リブパターンのシリコン製レッドストラップは、『スウォッチ』のアイコンであるスイス国旗にインスパイアされたもの。直径41mmのプラスチックケースは薄型仕様の9.85mm厚のため、カジュアルジャケットやシャツにも合わせやすく、腕元のアクセントになることは間違いない。3時位置にデイト表示を搭載。同デザインのバリエーションとしてブラックとパープルも用意している。
アイテム8
ビック・ボールド ブラックインジェリー
47mmのビッグケースが特徴的な「ビッグボールド」をベースに、乳白色の半透明なケース&ストラップを装備。そこに単色の針を乗せることで、クリーンかつアートな空気を生み出している。メカニカルな見た目ながら中身はしっかり扱いやすいクォーツなので、普段使いとしても実用性は十分だ。
アイテム9
オリジナルズ ニュー・クロノ・プラスティック イエロー・タイヤ
モデル名の通り、ストラップのモチーフとなっているのはスピード感とスポーティさを漂わせる“タイヤ”。クリアカラーのケースも、アクティブさを匂わせる。なお、刻みの入ったシリコンストラップは屈曲性にも優れ、着け心地にも優れる。中身は信頼と安心の、スイス製クロノグラフクォーツムーブ。
アイテム10
オリジナルズ ニュージェント リバイバル
見た瞬間に「懐かしい!」と思った人は、よっぽどの『スウォッチ』愛好家だろう。1987年、同ブランドにおける象徴的な1本として登場した「NINE TO SIX」。見ての通りインデックスのルールやカラーパレットの常識を打ち破った核心的なデザインを宿した同モデルは、「リバイバル」の名前を得て現代に蘇った。ケース径も41mmと、主張も抜群。
雑誌やWEBを中心に活動するモノ系フリーライター。時計やクルマへの趣味が高じ、それらを専門的なジャンルとしている。最近欲しいモノは、同い年のアンティークウォッチ。