世界一売れたスニーカー。アディダスのスタンスミスが持つ魅力
メンズの足元にスニーカーは欠かせない。なかでも人気なのが『アディダス』往年の名作に数えられるスタンスミス。定番から注目モデル、コーデまでその魅力を語り尽くす。名実ともに世界一。『アディダス』スタンスミス
2001年にストリートスポーツウェアブランドとして誕生したのが『アディダスオリジナルス』。アディダス社で、1972~1996年まで使用されていたトレフォイルロゴをシンボルとし、復刻商品やコラボアイテムなどを展開。そのラインアップに加わったのがテニスの往年の名プレイヤーをモデル名に持つスタンスミス。ご存じのようにアディダス社が誇る名作テニスシューズに数えられ、世界一売れたスニーカーとしてギネスにも認定されている。
スタンスミスの復刻版が人気。その歴史とは?
スタンスミスのファーストモデルが登場したのは1973年。名プレイヤーの名が冠されていることからもわかるように、テニスシューズとして発表された。さらに源流をたどれば、「ハイレット」というモデルに行き着く。「ハイレット」は1965年に発売され、1963年の全仏オープンでロバート・ハイレット氏が活躍したことを記念して作られたモデル。白を基調としたクリーンな配色や特徴的な通気穴などがそれを物語っている。実際、スタン・スミス氏も好んで履いていたとか。
『アディダス』スタンスミスの特徴をチェック
スタンスミスは、単なる流行にとどまらない“定番化”する良さがある。良さの1つは、いうまでもなくシンプルなデザイン性。ただし、“デザイン性の高さ”だけがスタンスミスの長所ではない。より細部に、スタンスミスの魅力は見てとれる。
アッパー
実は2021年にスタンスミスが生まれ変わった。レザーと見間違えるような質感を叶えた合成皮革をアッパーに採用したのだ。しかも、高機能なリサイクルポリエステルを50%使用。これは「2024年までに使用するポリエステルを再生材料のみにする」という『アディダス』の取り組みを反映したものだ。スタンスミスが永遠不朽のマスターピースだからこそ、サステナブルなプロダクトになることに意義がある。
トゥ
きれいめなスタイリングにもすんなり収まる要因は、何もクリーンな見た目だけではない。ポイントとしてあげられるのがスマートなフォルム。一般的なスニーカーと比べると程良くシャープで、丸すぎないトゥの絶妙なバランスが履きやすさと洗練さを共存させている。
ヒール
バイカラーで仕上げたヒールは、バックショットのアクセントとして主張するディテールだ。さらにその上には、モデル名とともにお馴染みのトレフォイルロゴをオン。この代表的な意匠は、過去のモデルを元に復刻版でも忠実に再現されている。ただし、新生スタンスミスでは、こうした補強材などの細部にもリサイクル素材を使用。
シュータン
ヒール部と色を連動させ、ブランド名やモデル名をあしらったシュータンもスタンスミスたらしめる好ディテール。シグネチャーモデルであることを端的に伝えるテニスの往年の名プレイヤー、スタン・スミス氏の似顔絵と彼のサインは、同モデルのアイコンになっている。
ソール
往年のビジュアルを忠実に再現しながら、履き心地も重視した点はさすがの一言。お馴染みのラバーソールは、ベースがテニスシューズだけにクッション性がハイレベルだ。ソール裏にはドットパターンが配され、列ごとに凹凸をつけた気の利いた配列でグリップ力をアップ。スタンスミスのリニューアルに伴い、天然ラバーをベースにしながらリサイクルラバーを積極採用したモデルも登場している。
『アディダス』スタンスミスのカラーバリエーションを紹介
ホワイトをベースにさまざまなカラーを効かせた配色が揃うスタンスミス。色によっても印象も異なるため、着用をイメージしながら選びたいところだ。
カラー1
永遠の定番カラー「ホワイト×グリーン」
スタンスミス定番のカラーパレットといえば、ホワイトとグリーンの配色だ。メインカラーとして使われているホワイトがクリーンなイメージを確保し、ヒールパッチやシュータンでアクセントとして効いているグリーンがフレッシュな印象を高めている。スタンスミスのアイデンティティともいえるカラーリングなので、最初の1足としてもおすすめ。
カラー2
爽やかで落ち着きもある「ホワイト×ネイビー」
爽やかなマリンテイストを感じさせるカラーリングのホワイト×ネイビーにも注目したい。アクセントとしてネイビーが効いているものの、ネイビー自体に落ち着きがあるので全体として大人っぽいムードにまとまっている。スタンスミスに使われているネイビーの正式名称は「カレッジネイビー」。アイビーやプレッピーなどのスタイルにもハマる色味だ。
カラー3
足元にスパイスを添える「ホワイト×レッド」
トリコロールの1つでもあるレッドは、ホワイトに映えつつ品格もキープできる希少なカラー。そんな色使いとスタンスミスが融合すれば、大人なコーディネートのスパイスとして活躍するのは当然だ。このモデルのヒール部分に垂れ下がっているタグに描かれているのは、「END PLASTIC WASTE」のアイコン。「2024年にまでにリサイクルポリエステルを100%使用する」という『アディダス』の目標を表している。
カラー4
クリーンな「ホワイト×ホワイト」
シンプルでクリーンなスタンスミスの魅力を最大限まで高めているのがホワイトのワントーン。メンズファッションの定番である白スニーカーとして愛用できるので、幅広く活躍してくれること請け合いだ。合わせるパンツやコーディネートを選ばず、コーディネートに清潔感や抜け感をプラスすることができる。
カラー5
クールな佇まいの「ブラック×ブラック」
スタンスミスは基本的にホワイトがベースだが、ブラックのワントーンも定番カラーの1つ。細部まで黒で統一していて、スタンスミスとは思えないほどクールな佇まいに仕上がっている。ミニマルな印象で汎用性に優れ、カジュアルなコーディネートの引き締め役としても適任だ。
なぜ、『ABCマート』で販売されているスタンスミスはお手頃価格なのか?
スタンスミスには2つの種類が存在する。それは、『アディダス』より公式で発売されているD品番のものと、ABCマート限定で発売されているM品番のもの。欧州や日本などの地域へ向けて作られている前者とは異なり、後者は米国で流通されているモデルで、天然皮革と合成皮革の混成で作られているため、値段も比較的お手頃。それでいて足馴染みが良く、履きやすいのが特徴だ。
スタンスミスはベルクロタイプの”コンフォート”にも注目
スタンスミスの発展系として、スタンスミスコンフォートは1997年に登場。ベルクロを使った甲デザインが新鮮で、着脱のしやすさも相まって瞬く間にシーンの主役へと躍り出た。最近ではカラバリにも独自性があふれ、オールブラックやオールホワイトなどをそろえている。なお、ベルクロとは、鉤状の突起が無数についた布と、無数のループした糸のついた布を2枚1組とし、主に接着するために用いられる。貼り付けや取り外しがイージーで、バリバリッとした独特な音も特徴。国内では、クラレの商標であるマジックテープの名でも知られている。
『アディダス スケートボーディング』から展開。スタンスミス“バルク”もおしゃれ
名作のリバイバルやコラボ、旬の新作をそろえるなど、ボーダーレスな展開を見せる『アディダスオリジナルス』。その一方で、『アディダス スケートボーディング』は、スケーターへ最高のアイテムを提供すべく2006年に誕生したライン。スケーターによるスケーターのためのアイテムをラインアップし、契約ライダーにはマーク・ゴンサレスなどそうそうたる面々が並ぶ。
クリーンなホワイトアッパーに映えるヒールパッチやシュータンのカラー。そしてエアホールで表現された三本ラインなど、スタンスミスの特徴をそのまま。ただ、着目すべきはシュータンのデザイン。スタン・スミス氏の似顔絵になんとヒゲが!? こんな遊び心もならでは。
目を見張る違いは細部のディテールワークだろう。アッパーには保護パッドが追加され肉厚になっており、これまでアッパーと同素材を使用していたシュータンは、通気性を考慮したメッシュ仕立てに。それによりサイドのエアホールとの相乗効果で蒸れを回避している。
スタンスミスはテニスシューズとして作られたが、こちらはスケーターのためのシューズをイメージ。そのため、スケーター仕様のさまざまな意匠が施されている。内部をくり抜き軽量化を進めたミッドソールや、グリップ力を高めたスケートボーディングに最適なアウトソールはその好例。
こんなスペシャルなスタンスミスにも注目を
チェック必須のスペシャルモデルをピックアップ。気になった方は売り切れる前に早めの購入を。
注目1
ライバルへのオマージュを込めたスペシャルモデル
名作スニーカーであるスタンスミスは、さまざまなコラボモデルも登場している。大人でも使える注目作として挙げたいのは、テニスプレイヤーとしてのスタン・スミス氏のライバルであったロッド・レーバー氏とのコラボモデルだ。一見オーセンティックなデザインだが、実は右足だけが通常のスタンスミスで、左足はスペシャル版。シュータンのデザインとカラーが異なっている。左右で色使いが異なるスニーカーは奇抜に見えがちだが、このバランスなら履きこなしやすい。
注目2
スター・ウォーズ好き垂涎のコラボ品
こちらもパッと見はスタンダードなスタンスミスだが、グリーンが少し渋みのある色味に。実は映画『スター・ウォーズ』の人気キャラ、ヨーダのカラーを投影している。ヒールやシュータンにヨーダの姿が描かれているものの、色数を抑えているので落ち着いた印象。ナチュラルカラーのソールがアーシーな雰囲気も加味している。リアルに使えるデザインにまとめたバランスが見事だ!
春夏秋冬使える! 『アディダス』スタンスミスを使ったメンズコーデ
スタンスミスの人気は、何もビジュアルや機能面だけに後押しされるものではない。季節を問わず、寒暖差による着こなしの変化にも対応し、常にセンスアップをフォローしてくれることにある。ここでは、オールシーズン履けるスタンスミスの魅力を伝えるべく、各季節の着こなしを紹介しよう。
▼春コーデ
春先のトレンドとして注目されているストライプ柄のシャツ。爽やかさや清潔感を象徴する柄には、やはりクリーンな白スニーカーを合わせたい。ミリタリー色が強いカーキのパンツでも、スタンスミスと合わせることで都会的な着こなしに映るはず。
ジャケパンスタイルには、スタンスタミスをハズし役として抜てき。清涼感のある着こなしをさらに軽快に、春らしく演出してくれる。
春先も頼りたいざっくりとしたニットは、淡い色みをセレクトして季節感をフォロー。ライトブルーのジーンズとのコンビはやぼったく映りがちだが、足元にスタンスミスを据えるだけで不思議とクリアな印象に。バングルや腕時計など、小物使いの上手さも手伝って洒落感を高めている。
▼夏コーデ
白のVネックTに合わせたのは、動きやすさを加味したスポーティな一本とスニーカー。モノトーン仕立てにしたことでモダンさを際立たせ、白を多めに採用したことで重たさを払拭している。
ボーダーTシャツにベージュのショーツというシンプルな着こなしにもスタンスミスは呼吸を合わせてくれる。上から下へと色みのトーンを明るめにすることで、より軽快な足元を演出。
夏の新定番アイテムになりつつあるサマーニットを装いながら、アンクル丈のスラックスにクリーンなスニーカーでより上品な印象に仕上げたスタイリング。スタンスミスで爽やかさをよりアップさせた好例。
▼秋コーデ
ジャケットやデニムなど定番アイテムとスタンスミスを合わせたシンプルな着こなし。トップスのボーダーの白をスニーカーで拾っているため、しっかりとはまっている。すぐに真似できる大人のカジュアルスタイルだ。
ジージャンを着用しながらも、キャップやナイロンパンツなどスポーツテイストのアイテムを集めることで、リラックスさを醸出。色みは、ブルー×ホワイトの2色でまとめると、すがすがしい印象を与えてくれる。
落ち着きがちな秋冬のスタイルも、上下から柔らかな色でサンドすればやさしいビジュアルに仕上がる。ブルゾン&スニーカーでラフに、シャツ&スラッックスでシャキッと、そのメリハリも絶妙だ。
▼冬コーデ
ステンカラーコートのトップボタンを閉じ、濃紺のワイドボトムスと組ませながら自然なAラインシルエットを構築。その中にあって随所に入れたクリーンカラーがやさしい雰囲気を作り上げている。
MA-1のカーキをアクセントカラーとし、ほかを白黒でまとめたすっきりとして着こなし。キャップからスニーカーまで白黒を交互に組み合わせることでメリハリがついている。MA-1のツヤ感あるナイロン素材と、スタンスミスのレザー素材で品の良さをさりげなくアピールして。
春先に重宝するボアジャケットとスラックスを組み合わせた、カジュアルなコーデ。足元に白のスタンスミスをセレクトすることで、クリーンな印象を加味している。
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地方の出版社にて編集を経験した後、独立。フリーのエディター・ライターとしてメンズファッションを中心に、スポーツ、グルメ、音楽など幅広い分野で活動。現在は、生まれ故郷である岩手県、そして東北の魅力を発信すべく東奔西走中。