カバンも白眉。ガンゾのレザーバッグが、いつか欲しい
手仕事にこだわる、国産最高峰ともいえるレザーブランドの『ガンゾ』。財布の魅力はご存じの方も多いでしょうが、今回はカバンに焦点を絞ってその長所を解説いたします。一生モノの価値がある。ガンゾのバッグは大人にこそふさわしい
大正時代から続く財布やカバンなど袋物製造の老舗メーカーであるAJIOKAが母体となり、革製品の本場であるイタリア在住経験の長い味岡儀郎氏をディレクターに迎えて1999年に立ち上がった『ガンゾ』。イタリアのバダラッシ・カルロ社のミネルバボックス、アメリカのホーウィン社のクロムエクセル、イギリスのJ&E セジュウィック社のブライドルレザーなど世界中から銘革を取り寄せ、国内で職人の手作業によって仕上げられています。革の品質の高さは言うまでもなく、菊寄せやコバ磨きなど磨き抜かれた技術を用い、製品の細部まで目の行き届いた作りはまさに国産最高峰のレザーブランドといえるでしょう。
オンタイムから週末まで、デイリーに使えるシンプルさと使い勝手の良さを重視している『ガンゾ』。その作りの確かさは他のメゾンブランドと比べても引けを取りません。特にバッグ類は財布と比べて値が張るものの、一生モノとして愛玩できる耐久性を十分に備えています。また、メゾンのアイテムはなるべく経年変化しないように素材や仕上げを吟味するのに対し、『ガンゾ』の場合は経年変化によって味わいが変わる革を積極的に選択しているのも特徴でしょう。ブランドネームではなく製品の質と価格で選びたい人や、革製品の経年変化を楽しみたい人にこそ『ガンゾ』はおすすめです。
素材も作りも最高峰。『ガンゾ』のバッグ、その魅力とは
財布が手触りで革の良さを楽しむものだとしたら、手で触って楽しむだけでなく、コーディネートに取り入れることで目でもその魅力をたっぷりと味わえるのがバッグです。ここでは『ガンゾ』のバッグの魅力について、より詳しくご説明します。
魅力1
財布同様、豊富なバリエーションと圧倒的なクオリティで展開される「素材」
世界各地のタンナーが生産する高品質な革を取り寄せ、その革の魅力を生かした作りを行っている『ガンゾ』。しかし、実は1970年代以降は食肉や農業のシステムが変わったこともあって原皮の品質が低下し、現在では品質の良い革は争奪戦ともいえる状況なんです。それにもかかわらずこれだけ多様な名革を使用しつつ、現実的な価格帯まで抑えられているのは『ガンゾ』が大正時代から続く歴史を有しており、革の供給元との厚い信頼関係を築いているからこそでしょう。
魅力2
裁断、漉き、縫製、磨き。全工程で一切の妥協を許さない「モノ作り」
革製品の品質の見分け方の1つが、コバの処理。ガンゾの財布では「ヘリ返し」や「切り目本磨き」といった手間のかかる製法によってコバの処理を行っていますが、バッグにおいてもその技術は健在。バッグのストラップをはじめとした細かなパーツまで、しっかりとコバの処理がされていることが見てわかります。また、革と革を貼り合わせる際に「コバ漉き」を行い革の厚みを部分的に調整して細部の表情を引き締めるなど、カバン作りにおいても一切の妥協をしていません。
魅力3
見えない部分も手抜かりなし。『ガンゾ』のバッグは「内装」も良い
例えば「GH」シリーズではヴィンテージ愛好家のディレクターが所有するMA-1のライニングから着想を得た生地が使用されるほか、ダレスバッグにはしなやかで薄手のピッグスキンが貼り込まれるなど、当然ながら内装にも『ガンゾ』のこだわりが込められています。また、手間のかかる袋返し縫い(裏返しに縫い、最終的に裏表をひっくり返して仕上げる仕立て方)とパイピングを組み合わせることで、内部のコバまでしっかりと革で覆った状態で仕上げるなど、見えない部分まで職人の技術が盛り込まれています。ペンポケットなどの内装の仕切りやハンドルの長さも日本人の体型とライフスタイルを想定して作られているため、使い勝手の良さはいうまでもありません。
厳選9点。各シリーズの見どころとおすすめを網羅
使用する革に合わせてテーマを設定し、さまざまなシリーズをラインアップしているのも『ガンゾ』の特徴。素材の選定も多種多様な、珠玉のバッグたちを見ていきましょう。
シリーズ1
7QS-H(ナナキューエスエイチ)
飛騨牛のシュリンクレザーを用い、素材・裁断・漉き・縫製・へり返し・磨き・仕上げの7つすべての工程で『ガンゾ』らしい上質を追求するライン「7QS-H」。こちらはビジネスシーンでも使用できる天ファスナーのトートバッグで、ハンドル持ちと肩掛けの2WAY仕様。国産原皮のため塩蔵ではなく生のままなめされており、肉厚でふわりとしたしなやかさと硬質な銀面を有しています。
シリーズ2
GUD(ジーユーディー)
イタリアのトスカーナ地方で100年以上続くタンナー、コンチェリア・グイディ&ロゼリーニ社製のカーフを使用する「GUD」シリーズ。アルプス地方で育った生後1年未満の子牛の原皮を用い、バケッタ製法により丁寧に仕上げられたレザーはオイル抜けが起こりにくく、経年変化によって独特の表情へと変わります。
シリーズ3
GD(ジーディー)
『エルメス』をはじめとした多くのメゾンブランドへも革を供給している名門、デュプイ社のフレンチカーフを全面に使用した「GD」シリーズのメッセンジャーバッグ。デュプイ社の中でもタンニンなめしで染料仕上げの革を用いており、独特の透明感と美しい発色、深みのあるムラ感が特徴です。内装材には肌触りを重視し、あえて人工スエードを使用しています。
シリーズ4
ブライドル
馬具に使われるほど非常に堅牢なJ&Eセジュウィック社のブライドルレザーを使用した、ハードタイプのブリーフケース。ブライドルレザーならではの硬さを生かして自立するハードケースとして仕上げられており、随所に得意の切り目本磨きを施すことで上質さを加えています。表面に浮き出た蝋は使用するに従って馴染み、美しいツヤを放つようになるのも魅力です。
シリーズ5
サケット3
「7QS-H」シリーズで使用している飛騨牛をベースに、オリジナルで開発したレザーを使用する「サケット3」シリーズのサコッシュバッグ。紙袋をモチーフにオリジナルで製作した歯型でピンキングカットしているのが特徴で、一枚革で仕立てているため非常に軽やかさに持ち運ぶことが可能です。また、革裏にバフをかけた後で丁寧にバキュームで革屑を取り除くなど、一枚革仕立てにあたって施された丁寧な仕事も『ガンゾ』らしいポイントです。
シリーズ6
ナリア
イタリア・リモンタ社製のナイロン生地にオリジナルの飛騨牛のレザーを合わせた「ナリア」シリーズのラグジュアリーなポーチ。高密度に織り上げられたポリエステルに独自のボンディング技術でコットンジャージーを貼り合わせたナイロン素材は落ち着いたツヤとハリ感が魅力。コンパクトながらしっかりと複数の仕分けポケットが設定されているあたりも、ジャパンブランドならではの気配りがうかがえます。
シリーズ7
チェルボ
クタッとしたドレープ感が魅力の「チェルボ」シリーズでは、レザーのカシミヤとも称されるディアスキンを素材に選択。ふっくらと肌に馴染みつつ、水に濡れても硬くなりにくいのが特徴で、他の革と比べて軽いのも重量がかさみがちなバッグ作りにとって大きなメリットです。こちらのブリーフも革のしなやかさを生かして仕上げられており、思わず撫でたくなるような質感を存分に味わえます。
シリーズ8
クラシックダレス
英国のヴィンテージを意識して製作されたダレスバッグはイタリアのトスカーナ地方で植物タンニンなめしを施されたステアハイドのショルダー部分のみを使用しており、金具類もトスカーナの工房で製作。2年をかけて職人と作り出した真鍮手管付きのハンドルや、バネ板が戻る量を考えながら1つずつ手曲げして作る口枠など、職人のこだわりが存分に詰まった逸品です。
シリーズ9
ラグビー
国産最高峰ブランドながら、遊び心を忘れないのも『ガンゾ』らしいところ。一瞬「え!?」と思ってしまいそうなこちらは、なんとラグビーボール型のクラッチバッグ。単なるお遊び商品かと思いきや、使ってみると意外にも持ちやすくファスナーの開閉も楽ちん。ラグビー好きの友人へプレゼントしたり、ポーチとしてバッグインバッグにしたりと、使い方を考えるのも楽しいものです。
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バイク専門誌と男性向けライフスタイル誌で編集を約8年務めたのちに独立。ファッションはアメリカンカジュアルからトラッドまで幅広く執筆を行い、特にブーツやレザー、ジーンズ、古着など男臭いアイテムの知識が豊富。また乗り物やインテリア、フードまでライフスタイル全般にわたって「ラギッド」を切り口に執筆する。