ボルサリーノを、そろそろ持ちたい。フェルトハットからパナマ帽まで
上質なハットは紳士の必需品。被るだけで着こなしが一気に格上げされます。なかでも『ボルサリーノ』のハットは別格。1つ大人になるために、ぜひ検討したい逸品です。いつまでも変わらぬ憧れ。『ボルサリーノ』が、似合う男になりたい
ファッションに詳しくない人でも『ボルサリーノ』という名前を一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。『ボルサリーノ』は世界最高峰の帽子ブランド。その格の高さは圧倒的で、他に比べるべきブランドは存在しないほど。まさに男の憧れのブランドですが、それだけにハードルの高さを感じてしまっている人もいるかもしれません。しかし、良いモノを知るのは早いに越したことはないでしょう。さまざまなグレードのアイテムがラインアップされているので、手の届きやすい価格帯のモノもありますし、フォーマルにもカジュアルにも幅広く活用できます。思い切ってチャレンジしてみてはいかがでしょうか?
効率より品質を。100年以上ぶれないスタンスが、紳士を魅了する
『ボルサリーノ』の製品の魅力を説明する前に、その歴史について紹介しておきましょう。ブランドの創業者、ジュゼッペ・ボルサリーノ氏は1834年にイタリアで生まれました。14歳で帽子職人としての修行を始め、さらに腕に磨きをかけるべく、当時、帽子作りが盛んだったパリに渡ります。高い技術を身につけたジュゼッペ氏はイタリアに帰国し、1857年にピエモンテ州アレッサンドリアに工房を設立。当初は選りすぐりの10人の職人を抱える小さな工房でしたが、4年後には60人にまで職人の数が増え、日産120個という生産体制を築き上げます。
ジュゼッペ氏には効率のために品質を犠牲にしないというポリシーがありました。工房の経営は順調でしたが、急激に生産体制を拡大することなく、良い素材を仕入れ優れた機械設備を導入するために投資を行いました。ジュゼッペ氏は息子に経営を譲った後、1900年にこの世を去ります。そして、同じ年に開催されたパリ万博で『ボルサリーノ』の帽子はグランプリを受賞し、世界的な名声を得ることになります。その後も『ボルサリーノ』は創業当時からのポリシーを貫いたクラフトマンシップ溢れるモノ作りを続け、高級帽子ブランドとしての地位を確固たるものにしました。
素材から厳選。妥協無き職人技術が支える『ボルサリーノ』
『ボルサリーノ』が最高峰とされる理由の1つが、素材から製法まで徹底的にこだわり抜いたモノ作りにあります。主要アイテムであるフェルトハットの原料には、最高級のラビットファーや高級素材のビキューナが使われており、収穫も自社で行っています。また、パナマハットの場合もエクアドル原産のトキヤ草を厳選して現地で編み込んで輸入するなど、素材の段階で超一流。そして、他の工場に製造を任せることなく、最終の仕上げまでの全工程を自社工場で手掛ける一貫生産体制を守り抜いているのも特筆すべき点です。さらに、製品によっては熟練の職人が7週間かけて1つの帽子を仕上げるなど、効率を度外視したモノ作りに対する姿勢もリスペクトを集めています。
モノを識る男に響く。『ボルサリーノ』を愛用する著名人たち
世界最高峰の帽子だけに、歴史に名を残す名だたる著名人が『ボルサリーノ』を愛用してきました。ハリウッドスターにも愛用者は多く、なかでも名優ハンフリー・ボガート氏はプライベートでも映画の中でも『ボルサリーノ』を愛用したことで有名。映画『カサブランカ』で見せた、トレンチコートに中折れ帽を合わせたボガートスタイルは今でも語り草になっています。他にも『ゴッドファーザー』シリーズでも同ブランドの帽子を使った貫禄溢れる着こなしを見ることができますし、ブランド名をそのまま冠した『ボルサリーノ』というギャング映画も製作されました。また、かつてはアル・カポネ氏が率いるギャング集団の正装として愛用されたというのも男心をくすぐるエピソードです。
さりげなくも光る品格。一流のハットが、男の着こなしを変える
『ボルサリーノ』のハットはフォーマルからカジュアルまで、トラッドからストリートまで、幅広いスタイルにフィットしつつ、着こなしに品格と風格を与えてくれます。ここでは、そんなハットを使ったお手本コーデをピックアップ。ぜひ参考にしてください!
着こなし1
『ボルサリーノ』で品格をプラスする、モノトーンコーデの正装
Tシャツ、パンツ、シューズをブラックでまとめたモノトーンコーデ。そのままだとシンプルで少々味気なくも見えそうですが、『ボルサリーノ』のハットがアクセントとして機能すると同時に風格も醸し出しています。なお、選んだモノはレインプルーフ機能のある一品。見た目はクラシックでも、こんな高機能なハットもあるんです。
着こなし2
大人なトラッドスタイルにも『ボルサリーノ』は難なくハマる
『ボルサリーノ』のハットは元々、紳士の装いの必需品。それだけに、ジャケットを軸としたシックなスタイルには問答無用でマッチします。例えばこんな、シャドウチェックが落ち着いたムードを醸し出すセットアップにも好適。インナーに白のカットソー、及びデニムジャケットをレイヤードすることでカジュアルダウンさせた分、『ボルサリーノ』のハットでフォーマルさをプラスしています。
着こなし3
涼しげなパナマハットが自然体のリゾート感を演出
これからの季節に真似したいリゾート感溢れるコーディネート。サンセット柄をプリントしたビビッドなアロハシャツを主役に、明るい色のショートパンツとスニーカーを合わせることで夏らしい爽やかな雰囲気を演出しています。そこに『ボルサリーノ』のパナマハットを加えることで、さらに涼しげな印象が増すとともに品格を演出。高品質なパナマハットは上品な光沢を湛えており、高級感も満点です。
フェルトも、パナマも。愛さずにいられない『ボルサリーノ』の製品たち
ここからは、物欲を刺激された方々のために『ボルサリーノ』の逸品たちをご紹介していきましょう。大定番のフェルトハットから、夏に活躍するパナマハット、そして気軽に被れるキャップまで、ワードローブに加えたくなる帽子がきっと見つかります。
アイテム1
ビーバー ミドルブリム
通常使われているラビットファーよりも、ランクの高いビーバーの毛皮を使ったフェルトハット。美しい光沢と滑らかな手触りはまさに『ボルサリーノ』の真髄を体現しています。軽量なうえ防水性にも優れているので、普段使いも十分可能。ブリムの幅は約6cmと程良く、被る人を選びません。
アイテム2
ラビットファー フェルトハット
ラビットファーを使用した定番のフェルトハット。いわゆるソフト帽や中折れ帽と呼ばれるタイプですが、それを発明したのも『ボルサリーノ』だといわれています。かつてはクラウン部分が丸くドーム状になったボーラーハットが主流でしたが、『ボルサリーノ』はあえてその中央を凹ませてセンタークリースを入れました。それ以来、現在まで帽子の定番デザインとして世の中に浸透しているのです。
アイテム3
ザ・ボガート
トレンチコートにソフト帽のボガートスタイルで知られたハリウッドスター、ハンフリー・ボガート氏が被っていた『ボルサリーノ』の帽子の復刻モデル。高めに設定されたクラウンや太めのリボンなどクラシックなディテールが魅力的です。また、内側のスベリ部分には、“At heart I am a lovable character."というボガート氏の言葉が記されているなど、ファン垂涎の逸品です。
アイテム4
パナマ中折れ帽
トキヤ草をきめ細かく編み上げた帽体が美しいパナマハット。リボン部分にワニ皮を使うことでラグジュアリーな雰囲気を醸し出しています。『ボルサリーノ』のパマナハットはクオリティによってクラスが分けられており、キート、ファイン、エクストラファイン、モンテクリスティ、モンテクリスティ エクストラファインの順に高級になります。写真のモデルはファインクラスで比較的リーズナブルな価格となっています。
アイテム5
パナマボーラーハット
イタリアのジュエリー工房、『エマニュアレ・ビコッキ』とのコラボモデルとなるパナマハット。ボーラーハットタイプのデザインやブラックのカラーリングが特徴的です。また、リボンの代わりにネックレスとしても使えるヒモ飾りを巻きつけてあるのもポイント。ペンダントトップには蜘蛛の巣をモチーフにしたチャームが付いています。
アイテム6
パナマ中折れ帽
やや編み目が太く、ハリがあるのが特徴のキートクラスに位置付けられるパナマハット。リボン部分には太さの異なるストライプの生地をあしらっており、軽やかで清涼感のある印象を醸し出しています。また、定番の蝶結びとは異なる羽根のないコンパクトなリボンの結び目や後頭部にあしらわれたロゴなど、随所にこだわりが見てとれます。
アイテム7
ウールカシミヤニットキャップ
『ボルサリーノ』はカジュアルなニット帽も作っています。こちらは上質なメリノウールとカシミヤの混紡素材を使った『ボルサリーノ』らしい高級感ある逸品。素材の良さが際立つシンプルなデザインも魅力となっています。もちろん、肌触りの良さは抜群。サイドにあしらわれたゴールドカラーのロゴでブランドを主張できるのもポイント。
アイテム8
レザーキャップ
『ボルサリーノ』が手掛けるベースボールキャップはひと味もふた味も違います。ご覧のように素材に用いられているのは高級感溢れる牛革。深みのあるボルドーカラーと相まって着こなしをラグジュアリーに演出してくれます。後部にゴムバンドがあしらわれているので幅広いサイズに対応し、フィット感も抜群です。
アイテム9
シルクハット
個性を主張したいならこんなシルクハットはいかがでしょうか? 最も上質なウサギの毛を使った「クァリタスーペリオーレ」というシリーズの逸品で19世紀のクラシックなシルクハットをモチーフにデザインされています。約13cmの高さがあり、存在感も抜群。被りこなすことができれば、他人と差がつくのは間違いないでしょう。
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髙須賀 哲
男性ライフスタイル誌「Free&Easy」の編集に8年間携わり、2013年にフリーランスの編集・ライターとして独立。紙媒体・WEB媒体を問わず、メンズファッション、ライフスタイルに関する記事を執筆しているほか、アパレルブランドのカタログやWEBビジュアルのディレクションも手がける。